2019 年 6 月、同社の開発チームは Android アプリの主要な開発言語が Kotlin に移行しつつあると判断し、Kotlin の導入を検討し始めました。Kotlin が採用された決め手は、Kotlin メインの Jetpack ライブラリを活用できること、コード量を減らしてメンテナンスの負担を軽減できること、構文の表現性が高く理解しやすいことなどでした。
同社の開発チームには Kotlin を使った開発経験があるエンジニアや、また、Java に精通しているエンジニアがいるため、Kotlin でのコーディングに難しさを感じることはありませんでした。Kotlin は Java との相互運用性が 100% なので、既存のコードベースを維持しながら、雨雲レーダーやニュース検索といった新機能を Kotlin で記述することができました。この雨雲レーダーでは、コルーチンを使用して画像のダウンロードとキャッシュを管理し、コルーチン ディスパッチャでタスクの管理を抽象化することで、raw スレッドの管理で陥りやすい罠を回避しています。
開発チームは、一部の Java コードをリファクタリングし、Kotlin の null 安全性機能も活用しています。Kotlin の構文では、可変性、null 可能性、初期化を特定できるため、早い段階でエラーを捕捉できます。これにより、コード変更の検証にかかる時間を 10% 短縮することができました。Kotlin の簡潔で効率的な構文を使用することで、コードベースの読みやすさが向上してメンテナンスが容易になり、実装から公開までの全体的な生産性が向上し、コード行数の 20% 削減に成功しました。
SmartNews アプリのコードはすでに全体で 45 % ほどが Kotlin に移行しています。新機能はすべて Kotlin で記述することにしているほか、既存のコードのリファクタリングを進めてさらにメンテナンス性を高めることにしています。
Kotlin を実装し、ボイラープレート コードを削減していくと、開発チームのモチベーションが向上してきました。開発メンバーがアイデアをより効率的に表現できるようになり、各自が読みやすいコード記述を心がけるように変化しました。同社でエンジニアリング マネージャーを務める大橋英雄氏によると、Kotlin はエンジニアの募集や採用にも効果的とのことです。
「応募者から最も多い質問のひとつが、"Kotlin は使っていますか?どれくらい活用していますか?" というものです。多くのエンジニアが Kotlin への移行に関心を寄せており、弊社としてもこの動きを支援したいと考えています。」
スマートニュース株式会社 Android エンジニアリングマネージャー 大橋英雄氏
SmartNews アプリへの Kotlin の導入は、アプリ開発だけに限らず、エンジニアのモチベーション向上や採用への良い反響を得ることができました。Android Developers の事例も併せてご覧ください。
Posted by Tamao Imura - Developer Marketing Manager, Platforms and Ecosystems
この記事は Miguel Guevara による Android Developers Blog の記事 "How we’re helping developers with differential privacy" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
Google は、イノベーションとプライバシーは車の両輪だと考えています。その一環として2021 年 1 月、オンラインのユーザーの安全を確保するための私たちの取り組みについてブログでお知らせしました。その中では、差分プライバシー(ディファレンシャル・プライバシー / differential privacy )などの先進的なプライバシー技術に言及しておりました。
毎年 1 月 28 日は、データ プライバシーの日です。そこで、それに合わせて、Google のプロダクトに差分プライバシー技術を適用し、この技術を世界のデベロッパーや企業に広めていこうという新しい取り組みをここに詳しく紹介させていただきます。この取り組みにより、個人情報を確実に保護しつつ、データや知見に広くアクセスできるようになります。
差分プライバシーは高度な匿名化技術で、初めて Chrome に導入されたのは 7 年ほど前になります。そして現在では、Google マップや Google アシスタントなどのプロダクトに日々活用されています。昨年、世界が COVID-19 と闘う中、COVID-19 コミュニティ モビリティ レポート(英語)を公開しました。差分プライバシーを使っているこのレポートは、世界の公衆衛生当局、エコノミスト、政策立案者がコミュニティにとって重要な決定をする際に活用していますが、いかなる時点においても、個人を特定できる情報は利用できないことが保証されています。
Google Play Console では、今年中に差分プライバシーの手法を用いたアプリの新たな指標やベンチマークをデベロッパー向けに提供する予定です。この機能がリリースされると、デベロッパーは個人が特定または再特定できないことが保証される方法で、日々のアクティブ ユーザー数、アクティブ ユーザーあたりの収益など、アプリがどのくらいユーザーを惹きつけているかを表す指標に簡単にアクセスできるようになります。
このようなアプリの新たな指標に差分プライバシーを加えることで、デベロッパーに有用な知見を提供し、アプリの改善に役立ててもらうことができます。その一方で、ユーザーのプライバシーやデベロッパーの機密性が損なわれることはありません。今後は、差分プライバシーを使った指標を増やすことを計画しています。
Google のプロダクトにおけるプライバシー保護技術は進化を続けていますが、デベロッパーがこの技術を利用できるようにすることも重要です。そこで、2019 年に差分プライバシー ライブラリをオープンソース化し、世界中のデベロッパーが自由にアクセスして簡単にデプロイして活用できるようになりました。それ以降、たくさんのデベロッパーや研究者、団体が Google の差分プライバシー アルゴリズムを利用して、プライバシーが保護される方法で責任をもってデータを使い、新しい問題の解決に取り組んでいます。そのような企業の 1 つに、フランスの新興医療企業 Arkhn があります。Arkhn は、差分プライバシーによって複数の部門にまたがる病院のデータを安全な方法で収集、照会、分析できるようになり、それを活用して人工知能で医療業界に革命を起こすというミッションを掲げています。
Arkhn のようなデベロッパーのチームに、高度な差分プライバシー ライブラリを広く提供するため、 2021 年 1 月 29 日(現地時間 1 月 28 日)、OpenMined との新たなパートナーシップを結びましたのでお知らせします。
OpenMined は、プライバシー保護技術を研究し、その活用法を世界中に広めることに注力しているオープンソース デベロッパー グループです。Google は、今後 OpenMined と協力し、差分プライバシー ライブラリの Python デベロッパー専用のバージョンを開発する予定です。Python デベロッパーは、Google の差分プライバシー対応インフラストラクチャと同じ仕組みを活用することで、ワールドクラスのプライバシーを備えた他にはない新しい方法でデータを扱うことができます。
昨年と同様、デベロッパーが既存の差分プライバシー ライブラリをさらに簡単に使えるようにする作業も継続します。たとえば今月には、Google で日々何千件ものクエリに利用されている、新しい差分プライバシーに対応した SQL データベース クエリ言語拡張機能をオープンソース化しました。アナリストがこのようなクエリを活用すれば、ビジネスに関する知見を得たりプロダクトのトレンドを確認したりできます。これは、プライバシーが守られたデータ分析を広め、世界中のデータ サイエンティストが個人のプライバシーを保護および尊重しつつ、強力な洞察を得られるようにするための一歩です。
2 年前、TensorFlow Privacy(GitHub)をローンチしました。TensorFlow Privacy はオープンソース ライブラリです。これを使うと、デベロッパーがプライバシーに配慮した機械学習モデルを簡単にトレーニングでき、研究者は TensorFlow Privacy を使ってより安全なプライバシーを保証し、機械学習の水準を高めることができます。
昨年は、このライブラリを拡張して TensorFlow 2 をサポートするとともに、Keras モデル インターフェースと TensorFlow の既製 Estimator の両方をサポートしました。また、ウォータールー大学の研究者と連携してパフォーマンスを向上させています。これにより、新しいリリースでは一般的なワークロードのトレーニングが 4 倍以上高速になりました。
さらに、プライバシーを考慮した機械学習のトレーニングはコストが高くなってしまい、現実的ではない可能性があることがわかっています。そこで、機械学習モデルはどの程度プライベートなのかを理解するための調査を開始し、昨年、それに役立つ仮想攻撃ライブラリをオープンソース化しました。このライブラリを使うと、機械学習モデルの全体的なプライバシーの保護状況を確認できます。
その後は、プリンストン大学やシンガポール国立大学の研究者と連携。ライブラリのスコープを拡張して生成モデルや非ニューラル ネットワーク モデルをテストする新機能を追加しています。
先日、スタンフォード大学医学部の研究者がこの機能をいくつかのモデルで試しました。そのテストから、モデルの中でのプライバシーに関する動作が明らかになりました。その中には、それ以前はできなかったことも含まれています。
また、差分プライバシーと堅牢性のトレードオフに関する新しい研究を発表しました。これは、AI 倫理の中核にあるもう 1 つの特性である、プライバシーと安全性に関わることです。
健全なオープンソース エコシステムを育み、広げていく一方で、Google 製品を使うユーザーをアルゴリズムによって保護するために、Google は高度なプライバシー保護を行う取り組みに投資をしております。私たちは、世界中のあらゆる人がトップレベルなプライバシー保護を享受すべきだと強く確信しています。そのためにさまざまな組織と協力してそのミッションを果たしてまいります。
この記事は Chet Haase による Android Developers - Medium の記事 "Now in Android #32" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
Android 開発の最新ニュースやトピックをご紹介する Now in Android。今回はKotlin と Jetpack の API、Navigation についての新コース、最近公開されたブログ記事・動画・関連ドキュメント、ポッドキャスト エピソードなどをご紹介します。
最先端の Android 開発に関する技術コンテンツを扱う連載シリーズ MAD Skills の新しいミニシリーズ Kotlin で Jetpack API を使用する が順調に進んでいます。最初のエピソードを紹介した前回以降、3 つのエピソードが追加されました。この 3 つのエピソードでは、大まかに言えば Room ライブラリと WorkManager ライブラリの使い方に関する情報をお届けしていますが、コルーチンなどの Kotlin 機能を使ってコードをシンプルにする具体的な方法にも触れています。
このエピソードでは、Florina Muntenescu が、Room Kotlin API を使ってローカル データベース ストレージ要件を実現し、それをテストする方法について説明します。
ブログ記事(英語)でもご覧いただけます。
このエピソードでは、Florina が WorkManager を使って非同期作業をスケジュールする方法を説明します。これは、すぐに実行することも、遅延実行することもできます。
Android の Google Developer Expert の Magda Miu さんとチームメンバーは、Kotlin を使ってわかりやすく、メンテナンスしやすい CameraX のベンダー拡張機能を記述しています。その方法について動画で説明してくれました。
Kotlin と Jetpack シリーズの締めくくりとして、1 月 15 日にからもう一度リアルタイム Q&A を開催しました。
1 月 18 日の週から、新しい MAD Skills シリーズが始まっています。連載中のコンテンツは、YouTube の MAD Skills プレイリスト、Medium の記事、またはすべてのリンクが掲載されているランディング ページからご覧いただけます。
Android Basics in Kotlin コースに新しいユニット「Unit 3: Navigation」が追加されました。
このユニットでは、Navigation コンポーネントや Android アーキテクチャ コンポーネント ライブラリのその他の API に関するチュートリアルとサンプルを確認できます。
Isai Damier が暗号と認証、セキュリティについての新しい記事(英語)を公開しました。暗号に関するさまざまな興味深い背景を取り上げながら、暗号を利用した安全なソリューションで生体認証が用いられることが多い理由について説明しています。
Florina Muntenescu が、Kotlin を使えば生産性が上がるという記事を公開しました。既にたくさんの Kotlin コードを書いている方なら、おそらくご存知のことでしょう。しかし、仕事で Kotlin を使うべきか迷っている方や、プロジェクトの他のメンバーを説得する方法を探している方なら、この記事に書かれている具体的な内容が役立つかもしれません。
Meghan Mehta が RecyclerView に関する連載シリーズの第 3 回目のブログ記事(英語)を公開しました。RecyclerView でよくある要件の 1 つが、ユーザーのクリックへの対応です。リストの項目をクリックすれば、通常は何かが起こります。記事では、この機能を扱うおすすめの方法を紹介します。
前回の Now in Android 以降、Android Developers Backstage に新しいエピソードが投稿されています。以下のリンクまたはお気に入りのポッドキャスト クライアントでご確認ください。
2020 年末、Tor Norbye と Romain Guy、そして私がこのエピソードを収録しました。昨年、それまでとは違う働き方を模索する中で起きたことや、Android のツールやプラットフォームの最新機能について解説しています。
今回は以上です。次回も Android デベロッパーの世界の最新アップデートをお届けします。お楽しみに。
Reviewed by Yuichi Araki - Developer Relations Team and Hidenori Fujii - Google Play Developer Marketing APAC
https://play.google.com/apps/test/<package name>/<version code>
この記事は Florina Muntenescu による Android Developers Blog の記事 "MAD Skills Kotlin and Jetpack: wrap-up" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
今回は MAD Skills シリーズの 1 つ、Kotlin と Jetpack についての動画と記事をまとめました。Android コードの表現力と簡潔さ、安全性を向上させ、Kotlin で非同期コードを実行しやすくするさまざまな方法を取り上げています。
それぞれのエピソードから、Kotlin と Jetpack についての最新情報をご確認ください。いくつかの具体的な API を取り上げ、API の使い方だけでなく、API が内部的にどのように動作しているか解説しています。また、すべてのエピソードには対応するブログ投稿があり、そのほとんどにサンプルか Codelab へのリンクが含まれているので、実際に試してみたり、コンテンツに関する理解を深めたりできます。また、Jetpack や Kotlin のエンジニアが登場するリアルタイム Q&A も実施しました。
このエピソードでは、Jetpack KTX 拡張機能を使って、Android と Jetpack のコーディングを簡単、快適、そして Kotlin らしくする方法を取り上げました。現在のところ、20 以上のライブラリに KTX 版があり、その中から特に重要なものを紹介します。core-ktx は、Android プラットフォームに由来する API を Kotlin らしく書けるようにする機能を提供しています。また、LiveData や ViewModel などの API と組み合わせてユーザー エクスペリエンスの向上を図れるいくつかの Jetpack KTX ライブラリも紹介します。
動画またはブログ記事(英語)をご覧ください。
エピソード 2 では、コルーチンと Flow を使って API をシンプルにする方法と、suspendCancellableCoroutine API と callbackFlow API を使って独自のアダプタを作る方法について説明します。このトピックを実際に試してみたい方は、Kotlin 拡張機能ライブラリの作成 Codelab をご覧ください。
動画を視聴するか、ブログ記事(英語)でご確認ください。
このエピソードでは、実際に Room を使ってみます。その上で、Kotlin を使って Room のテーブルやデータベースを作る方法、挿入などの 1 回限りの suspend 操作を実装する方法、Flow を使った監視可能クエリーについて簡単に確認します。コルーチンと Flow を使うと、Room はすべてのデータベース操作をバックグラウンド スレッドに移してくれます。Room のクエリーの実装方法やテスト方法については、動画またはブログ記事(英語)をご覧ください。実際に試してみたい方は、ビューで Room を使う Codelab をご覧ください。
エピソード 4 では、WorkManager を使って作業を簡単にする方法について説明します。この機能を使うと、非同期タスクのスケジュールを設定して、アプリが閉じられた場合や、デバイスが再起動した場合にも実行されることが期待されるタスクを、即時実行または遅延実行できます。このエピソードでは、WorkManager の基本について説明し、CoroutineWorker などの Kotlin API についても解説しています。
こちらの動画またはこちらのブログ記事(英語)をご覧ください。また、ぜひ WorkManager Codelab で実際に体験してみてください。
エピソード 5 では、Android の Google Developer Expert の Magda Miu さんが Kotlin の基本 API と CameraX を使った経験についてお話ししています。
最後のエピソードでは、リアルタイム Q&A を実施しました。司会の Chet Haase のほか、ゲストとして Architecture Components テックリードの Yigit Boyar、Kotlin プロダクト マネージャーの David Winer、そしてデベロッパー リレーションズ エンジニアの Manuel Vivo と私が参加し、YouTube、Twitter などから寄せられた質問に回答しています。
この記事は Florina Muntenescu による Android Developers - Medium の記事 "More productivity with Kotlin" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
Kotlin は簡潔なプログラミング言語として知られています。そしてそれは、高い生産性を意味します。そして実際に、Kotlin を使っている Android デベロッパーの 67% が、生産性が向上したと述べています。このブログ投稿では、Kotlin を使ってパートナーのエンジニアたちが生産性を向上させた方法をいくつか共有し、そのために役立つ Kotlin の機能も紹介します。
レビューやメンテナンスの担当者は、読むコードが少なくなるので、コードが行っていることを理解しやすくなります。そのため、レビューやメンテナンスが楽になります。
その一例として、Flipkart のチームを紹介しましょう。
「弊社の社内調査によると、デベロッパーの 50% が、Kotlin でモジュールを書くと [機能を完成させるまでの] 見積りが小さくなると回答しました」(Flipkart)
Kotlin の機能のほとんどは、簡潔さと高い可読性を持つため、高い生産性につながります。特によく使われる機能について見てみましょう。
Java プログラミング言語では、コンストラクタのパラメータが省略可能な場合、一般的に次の 2 つの方法のどちらかを利用します。
Kotlin ではデフォルト引数を利用できるので、どちらも必要ありません。デフォルト引数を使うと、ボイラープレートを追加することなく、関数のオーバーロードを実装できます。
Cash App チームが Kotlin を使い始めたとき、多くのビルダーを削減し、書く必要があるコードの量を減らすことができました。場合によっては、コードのサイズが 25% 少なくなりました。
たとえば、以下の一例は、 Task オブジェクトの実装で、タスクの名前のみが必須パラメータになっています。ビルダーを使った場合と、デフォルト引数を使った場合でそれぞれどうなるかを示しています。
/* Copyright 2020 Google LLC. SPDX-License-Identifier: Apache-2.0 */- public class Task {- private final String name;- private final Date deadline;- private final TaskPriority priority;- private final boolean completed;-- private Task(String name, Date deadline, TaskPriority priority, boolean completed) {- this.name = name;- this.deadline = deadline;- this.priority = priority;- this.completed = completed;- }-- public static class Builder {- private final String name;- private Date deadline;- private TaskPriority priority;- private boolean completed;-- public Builder(String name) {- this.name = name;- }-- public Builder setDeadline(Date deadline) {- this.deadline = deadline;- return this;- }-- public Builder setPriority(TaskPriority priority) {- this.priority = priority;- return this;- }-- public Builder setCompleted(boolean completed) {- this.completed = completed;- return this;- }-- public Task build() {- return new Task(name, deadline, priority, completed);- }- }-}+ data class Task(+ val name: String,+ val deadline: Date = DEFAULT_DEADLINE,+ val priority: TaskPriority = TaskPriority.LOW,+ val completed: Boolean = false+)
/* Copyright 2020 Google LLC.
SPDX-License-Identifier: Apache-2.0 */
- public class Task {
- private final String name;
- private final Date deadline;
- private final TaskPriority priority;
- private final boolean completed;
-
- private Task(String name, Date deadline, TaskPriority priority, boolean completed) {
- this.name = name;
- this.deadline = deadline;
- this.priority = priority;
- this.completed = completed;
- }
- public static class Builder {
- private Date deadline;
- private TaskPriority priority;
- private boolean completed;
- public Builder(String name) {
- public Builder setDeadline(Date deadline) {
- return this;
- public Builder setPriority(TaskPriority priority) {
- public Builder setCompleted(boolean completed) {
- public Task build() {
- return new Task(name, deadline, priority, completed);
-}
+ data class Task(
+ val name: String,
+ val deadline: Date = DEFAULT_DEADLINE,
+ val priority: TaskPriority = TaskPriority.LOW,
+ val completed: Boolean = false
+)
デフォルト引数の詳細については、連載シリーズ Kotlin Vocablary のブログ記事「Kotlin のデフォルト引数」をご覧ください。
おそらく、シングルトン パターンはソフトウェア開発で特によく使われるパターンの 1 つでしょう。オブジェクトのインスタンスを 1 つだけ作成し、他のオブジェクトから共有してアクセスできるようにしたい場合に役立ちます。
シングルトンを作るには、インスタンスが 1 つだけ存在するようにオブジェクトの作成方法を制御し、コードがスレッドセーフであることを保証する必要があります。Kotlin では、object キーワードだけでこれを実現できます。
/* Copyright 2020 Google LLC. SPDX-License-Identifier: Apache-2.0 */ - public class Singleton{- private static volatile Singleton INSTANCE;- private Singleton(){}- public static Singleton getInstance(){- if (INSTANCE == null) { // Single Checked- synchronized (Singleton.class) {- if (INSTANCE == null) { // Double checked- INSTANCE = new Singleton();- }- }- }- return INSTANCE;- }- private int count = 0;- public int count(){ return count++; }- }+ object Singleton {+ private var count = 0+ fun count(): Int {+ return count+++ }+ }
- public class Singleton{
- private static volatile Singleton INSTANCE;
- private Singleton(){}
- public static Singleton getInstance(){
- if (INSTANCE == null) { // Single Checked
- synchronized (Singleton.class) {
- if (INSTANCE == null) { // Double checked
- INSTANCE = new Singleton();
- return INSTANCE;
- private int count = 0;
- public int count(){ return count++; }
+ object Singleton {
+ private var count = 0
+ fun count(): Int {
+ return count++
+ }+ }
Kotlin 言語の簡潔さとシンプルさは、演算子オーバーロード、分割代入、文字列テンプレートなどの機能から明らかです。そのため、コードはとても読みやすくなります。
たとえば、本を集めたライブラリがあるとしましょう。ライブラリから本を取り出し、そのタイトルだけを出力する場合、コードは次のようになります。
/* Copyright 2020 Google LLC. SPDX-License-Identifier: Apache-2.0 */fun borrow(){ library -= book val (title, author) = book println("Borrowed $title")}
fun borrow(){
library -= book
val (title, author) = book
println("Borrowed $title")
}
使われている Kotlin の機能は次のとおりです。
Kotlin を使うと、コードは読みやすく、書きやすくなります。シングルトンや委譲などのパターンが言語に組み込まれており、たくさんのコードを書く必要がないため、バグが紛れ込む確率が低くなり、メンテナンスの負荷も軽減されます。また、文字列テンプレート、ラムダ式、エクステンション関数、演算子オーバーロードなどの機能で、コードをさらに簡潔かつシンプルにできます。書くコードが少なくなれば、読むコードやメンテナンスするコードも少なくなり、エラーが減って生産性が上がります。
詳しくは、Kotlin と Android Kotlin でより優れたアプリを作成するをお読みください。また、各社のケーススタディをご覧ください。デベロッパーにとっての Kotlin のメリットが確認できます。世界で特に好まれている開発言語の 1 つである Kotlin を使ってみたい方は、入門ページをご覧ください。
この記事は Eric Bahna による Android Developers Blog の記事 "Opening the Google Play Store for more car apps" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
2020 年 10 月、Android Auto にナビゲーション、駐車場、充電スポット アプリを提供できるよう、ベータ版として Android for Cars App Library を公開しました。改善のため、これまでフィードバックを寄せていただいた皆様には改めて感謝いたします。そしてこのたび、次のステップに進む準備が整ったことをお知らせします。
2020 年 12 月 16 日(日本時間 12 月 17 日)より、Google Play ストアのクローズドなテストトラックにアプリを公開できるようになりました。この機能を使うと、アプリがどの程度アプリ品質ガイドラインを満たしているかについてのフィードバックを得られます。また、アプリを Android Auto テストユーザーに体験してもらう方法としても利用できます。継続的に問題が発生する場合は、パブリック Issue Tracker から問題の報告や機能リクエストを行ってください。
まもなく Play ストアのオープンテスト トラックが公開できるよう準備をしています。ぜひ、事前にクローズド テストトラックにアプリを公開してお待ちください。多くのデベロッパーのみなさんが開発した自動車用アプリがリリースされるのを楽しみにしております。
この記事は Christopher Katsaros による Android Developers Blog の記事 "What’s your MAD score?" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
MAD Skills シリーズを通して最先端の Android 開発(MAD)についてさまざまなことをお話ししてきました。そして今回は、皆さんの MAD スコアについてお知らせします。2020 年 12 月 15 日(日本時間 12 月 16 日)、MAD スコアカードを公開しました。これは、皆さんが使っている Jetpack ライブラリの数や、Kotlin でコーディングしているアプリの割合などを使い、皆さんの Andorid 開発がどれだけ最新であるかを示すスコアです。
MAD スコアカードは Android Studio を使って、アプリが Android App Bundle でどれくらいサイズを削減したかなどの情報を示します。また、特定の Jetpack ライブラリや Kotlin 機能など、皆さんが使う可能性がある主要な MAD テクノロジーにもそれぞれスポットライトを当てています。さらに、皆さんの最も MAD なスキルに基づいて、特別な MAD キャラクターも表示されます。
ご自身の MAD スコアは、新しい Android Studio プラグインを通じて確認できます。スコアカードを確認して共有する方法は、以下のとおりです。
スコアカードを確認できたら、MAD Skills の各エピソードもご覧ください。この動画と記事のシリーズでは、最先端の Android 開発の最新技術を使って、優れたアプリを簡単に作る方法を説明しています。ナビゲーション、Kotlin、Android Studio などの各トピックは、3 週間のシリーズとして構成されています。各トピックの最後には、Q&A で皆さんの質問に回答します。マテリアル デザイン コンポーネント、App Bundle、ナビゲーションなど、以前のトピックも確認できます。今後のトピックは、YouTube の Android Developers で公開します。
ここから MAD スコアカードを確認して、共有しましょう!
Reviewed by Hidenori Fujii - Google Play Developer Marketing APAC
この記事は Chet Haase による Android Developers - Medium の記事 "Now in Android #31" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
Android 開発の最新ニュースやトピックをご紹介する Now in Android。今回は連載シリーズ MAD Skills のコンテンツ、最近公開されたブログ記事・動画・関連ドキュメント、ポッドキャスト エピソードなどをご紹介します。
MAD Skills シリーズに少しインタラクティブ性をもたせ、あなたのアプリがどのくらい MAD か、スコアで可視化できるようになりました。あなたの MAD スコアを確認するには、Android Studio に MAD Scorecard プラグインをインストールして実行します。すると、カードが作成され、最先端の Android 開発の大事な 4 つのトピックにおいて、皆さんのアプリを評価したスコアが表示されます。この結果は、 #MADscore ハッシュタグを付けて Twitter で共有できます。
詳しくは、MAD Score サイトをご覧ください。Christopher Katsaro のブログ記事(英語)でも詳しく説明しています。
最先端の Android 開発に関する技術コンテンツを扱う連載シリーズ MAD Skills が続いています。先週は、マテリアル デザイン コンポーネント (MDC) のシリーズが完結しました。前回の Now in Android 以降、さらに 3 つのエピソードが投稿されています。
#4: マテリアル モーション
MDC 4 つ目のエピソードでは、Nick Rout がマテリアルに動きをつける 4 つのパターンと、アプリでそれを実装する方法についてお話ししています。実際の活用例を紹介するため、Reply サンプルアプリとそのアプリに基づいた Codelab を題材に解説します。
#5: Zarah Dominguez さんからのコミュニティ ヒント
5 つ目の MDC エピソードは、Google Developer Expert の Zarah Dominguez さんが、チームでマテリアル カタログアプリを使って、各コンポーネントが実際にどのような外観になるか、またその実装例としてどのようなソースコードになるかの両方を確認している方法について説明しています。
#6: リアルタイム Q&A
最後の MDC エピソードは、これまでの App Bundle やナビゲーションのシリーズと同じく、MDC のエキスパートであるデベロッパー リレーションズ チームとマテリアル エンジニアリング チームが登場して、リアルタイム Q&A を行いました。Twitter からだけでなく、Q&A の最中も YouTube からリアルタイムで質問が寄せられました。すべてに答える時間はありませんでしたが、マテリアルについて理解を深めていただけたのではないかと思います。
MDC シリーズのコンテンツを見逃してしまった方のために、Nick Rout がシリーズのまとめのブログ記事を投稿しました。対応する動画や記事に加え、関連するサンプルやドキュメント、Codelab などへのリンクも含まれています。
12 月 第 3 週から、Kotlin と Jetpack について取り上げる新しい MAD Skills のミニシリーズが始まりました。具体的には、Kotlin と多くの Jetpack API を組み合わせて使う方法について、Florina Muntenescu が紹介しています。
#1: Using KTX
ミニシリーズ最初のエピソードで取り上げるのは、KTX の使い方です。KTX は、さまざまなプラットフォームや Jetpack ライブラリに対するアプローチを改善して簡単に使えるようにした Kotlin エクステンションです。Florina が、プラットフォームと Jetpack API の両方の例を挙げて、LiveData と ViewModel を利用する場合の使い方を示しながら、KTX の概要について説明します。
このコンテンツはブログ記事(英語)でもご覧いただけます。
#2: コルーチンで API をシンプルに
この 2 つ目のエピソードでは、Manuel Vivo が、Kotlin コルーチンを使って既存の API を簡単に利用できるようにする方法について説明します。たとえば、コルーチンを使ってアダプタを作成すれば、複雑にネストしたコールバックをシンプルに整理できます。Fused Location Provider を使うための API をシンプルにする例を挙げ、実際にこれを行う方法を解説します。
ブログ記事形式(英語)でもご覧いただけます。
これからの数週間で公開される Kotlin/Jetpack エピソードにご期待ください。YouTube プレイリストと Android Developers のブログ記事(英語)のどちらでもご覧いただけます。
連載中のコンテンツは、YouTube の MAD Skills プレイリスト、Medium の記事、またはすべてのリンクが掲載されている 便利なランディング ページ からご確認ください。
最近数回実施している Android のリリースでは、ユーザーによる制御やユーザーデータの透過性を重視することを続けているため、権限に関するいくつかの変更が行われています。場合によっては、最新のアップデートや動作の変更に追従するというデベロッパーの作業も伴います。そのため、そのプロセスをサポートするドキュメントの整備に取り組んでいます。
この作業の一環として、 Android の権限ガイドにいくつかの重要な改善を行いました。権限の仕組みに関するわかりやすいガイドのほか、アプリで権限を使う際のベスト プラクティスを確認できるようになりました。特に重要なのは、実際に権限の宣言が 必要かどうかを評価することです。多くの一般的なユースケースでは、権限は必要ではありません。
いくつかの Room ライブラリ ガイドを全面的に改訂し、一部の API の使い方をわかりやすく説明するようにしました。
Room DAO を使用してデータにアクセスするでは、組み込みのクエリーを使う方法や、@Query アノテーションを使うカスタムの方法など、DAO インターフェースの使い方の概要を説明しています。
Write asynchronous DAO queries では、UI スレッド以外で実行するクエリーの書き方についてさらに詳しく説明しています。データベースを操作する場合、この方法が求められることが非常に多くあります。このガイドでは、好みの言語や非同期 API に応じて利用できるいくつかの代替手段についても解説しています。
最近たくさんのアルファ版、ベータ版、RC 版の AndroidX ライブラリがリリースされましたが、安定版のリリース内容は次のとおりです。
Exifinterface 1.3.2、Media 1.2.1、Navigation 2.3.2 など、いくつかの安定版でもバグ修正リリースが行われています。
Jamal Eason が Android Studio の次期リリースについてのブログ記事(日本語)を投稿しました。現在、Canary チャンネルに Arctic Fox がリリースされ、試せるようになっています。このリリースについてまず注目すべき点は、新しい命名スキームとバージョニング スキームです。この記事では、その内容について詳しく説明しています。さらに、このリリースには、デバイスとペア設定して Wi-Fi デバッグを行うための UI(現在のところ MacOS のみ)、レイアウト検証ツール、継続的に行われている Jetpack Compose 開発のサポートなどが含まれています。なお、現段階のバージョンはかなり初期の状態です。Compose を利用する場合は常に Canary 版の Studio を使う必要がありますのでご注意ください。
Murat Yener も、新しい Android Studio に関するブログ記事(日本語)を投稿しました。この記事では、Android Gradle プラグインの新しいアルファ版リリースであるバージョン 7.0.0-alpha01 について説明しています。なお、AGP もバージョン名が変更されました。今後、AGP は Android Studio のバージョンと連動するのではなく、Gradle のリリース バージョンに追従する形になります。現在の 4.2 リリースからいくつかバージョン番号が飛んでいるように見えるのは、そのためです。この記事では、AGP 4.2 における最新 API のいくつかの変更点についても説明しています。
Meghan Mehta が、RecyclerView についてのシリーズにブログ記事を投稿(英語)しました。RecyclerView は新しいものではありませんが、おそらく、ほとんどの Android デベロッパーはすでにアプリで使っているはずです。一部の基本的なドキュメントやサンプルがドキュメントや記事の中で見つけにくいことがわかったので、基本から使い方を説明しています。さらに、実例を示すためのサンプルコードも提供します。
この最新記事では、ListAdapter の使い方を重点的に説明します。ListAdapter を使うと、パフォーマンスの向上や項目の自動アニメーションなどのすばらしい機能を RecyclerView で簡単に実現できます。ListAdapter は DiffUtil を使って発生した具体的な変更を確認します。RecyclerView は、それを使ってパフォーマンスやアニメーションを最適化します。
私は引き続き、最近 1.0 に到達した AndroidX ライブラリである App Startup についての 2 回シリーズの記事(英語)で、起動時のパフォーマンスについて説明しています。パート 1 では、ライブラリのインスタンス化に Content Provider が使われることが多く、それによってアプリの起動時間に見えない影響が生じている点について説明しました。
パート 2 では、App Startup ライブラリを使って見えない Content Provider を取り除き、代わりにライブラリの遅延初期化リクエストをプーリングする方法について検討します。
Android Developers ブログには、位置情報のシステムと API に加えた改善について詳しく説明した記事(日本語)が投稿されています。この改善により、都市部で正確な位置情報を得られるようになります。この記事では、都市部で GPS 位置情報を取得する際の問題点について説明しています。GPS テクノロジーは、デフォルトで対象が見通し線上にあることを前提としているので、信号が高層ビルで反射する都市部ではうまく機能しない場合があります。Tor と私は、2014 年の ADB ポッドキャストで、位置情報チームの Marc Stogaitis から、「アーバン キャニオン」と呼ばれるこの現象について話を聞きました。
このチームは、精度の高い位置情報を得るために、主要都市の 3D 建造物モデルを統合しました。現在、一部の Pixel デバイスでこの技術のバージョン 2 を利用できます。初期バージョンはすでにエコシステムで広く使われており、来年の早いうちにこの最新バージョンも利用できるようになる予定です。
もちろん、この機能はユーザー機能で、Now in Android はデベロッパーが対象です。しかし、ここでこの機能を紹介したのは、(a)この記事と技術は興味深く、(b)デベロッパーは Fused Location Provider(FLP)を使って高度な位置情報データにアクセスすることが求められる場合があるからです。
さらに、FLP に新しい API が追加され、現在の位置情報をはるかに簡単に取得できるようになっています。具体的には、位置情報の変化をサブスクライブして最初の結果が得られたときにサブスクライブを解除するのではなく、現在の位置情報をリクエストして結果を得ることができます。詳しくは、FLP の getCurrentLocation() API のドキュメント、新しい CurrentLocationKotlin のサンプル、そしてブログ記事をご覧ください。
Chris Banes は、Tivi アプリを現在の UI Toolkit を使うアプリから、Jetpack Compose を使うアプリに移行しています。すべての UI を Compose 化し、移行作業の大部分を終えたところで、APK サイズ(大幅に減少)、メソッド数(減少)、ビルド時間(少し減少)について興味深い結果をブログ記事(日本語)で報告してくれました。
CameraX の CameraView API は、UI の制御から制御ロジックまで、あまりに多くのことを行い過ぎていました。そこで、ロジックをリファクタリングし、PreviewView と新しい CameraController クラスに分割しました。このブログ記事(英語)では、CameraController の使い方を説明するとともに、これまでの CameraView を使った機能との比較を行っています。
Romain Guy、Tor Norbye と私は、Square の Jesse Wilson 氏から、OkHttp、Okio、[Ok]Moshi など、同氏が手がけたいくつかの有名なオープンソース ライブラリについて話を聞きました。これらのライブラリのほかにも、Android、ライブラリ、フレームワーク、Kotlin 開発について語り合っています。また、機能リクエストや細かな問題を新しいオープンソース ライブラリを作るプロジェクトにしてしまう一部のエンジニアの厄介な癖に関する話題も登場しました。
Reviewed by Takeshi Hagikura - Developer Relations Team and Hidenori Fujii - Google Play Developer Marketing APAC
この記事は Chris Banes による Android Developers - Medium の記事 "Jetpack Compose — Before and after" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
今年になってから、サンプル アプリTivi の UI を Jetpack Compose に徐々に移行していました。そして 2020 年 12 月第 2 週、移行作業の第一段階がほぼ完了しました。
今回のブログ投稿では、重要な指標の数値を振り返って比較し、Compose によって何が変わるのかを確認してみましょう。比較するのは、APK サイズ、ビルド速度、コードの行数です。
Compose の話題を進める前に、まずは簡単にアプリについて説明します。
Tivi はかなり細かくモジュール化されており、それぞれの UI の「画面」ごとに Gradle モジュール(ui-$NAME)があります。それぞれの画面は Fragment で実装され、メインアプリ モジュールでは AndroidX Navigation を使ってそれらを組み合わせています。
ナビゲーション グラフはディープリンク URI を使って実装されているので、ほとんどの Fragment はお互いのことを知りません。そのため、疎結合が保証されます。しかし、それよりも重要なことは、独立してコンパイルできるため、ビルドの並列化がしやすくなることでしょう。
Compose に移行する前の Tivi は、Android デベロッパーが利用できるありとあらゆるクールな UI を利用していました。一例をあげれば、データ バインディング、Epoxy、マテリアル デザイン コンポーネント、Insetter DBX、MotionLayout などです。しかし残念ながら、これらの大半ではアノテーション処理が使われているため、ビルドのコストがかかります。
先ほど、移行の「第一段階」を終えたばかりだと書きました。これはどういう意味でしょうか。2020 年 1 月にこの作業を始めたときから、アプリの見た目はほとんど変わっていません。
アプリがモジュール化されているということは、移行自体も部品単位になり、一度に 1 つの Fragment だけ移行できるということです。この 11 か月間はまさにそれを実践し、46 個のプル リクエストに対応しています。
最初に簡単な画面 Episode details を移行し、次に Show details、そして ‘Discover’、‘Search’、‘Followed shows’ と移行を進めました。最近追加された Compose の Paging3 サポートと合わせて、最後の画面となった ‘list’ グリッドを移行できました。
2020 年 12 月 10 日(日本時間 12 月 11 日)、アプリから AppCompat、マテリアル デザイン コンポーネント、その他の AndroidX ウィジェット ライブラリを削除する処理を始めました。これは、Tivi の UI が Compose ベースになったことを意味します。
Remove AppCompat + MDC by chrisbanes · Pull Request #737 · chrisbanes/tivi
アプリで Fragment と Navigation を使っている点は変わりませんが、論理的な次のステップは、Fragment から移行して直接新しい Navigation Compose コンポーネントを使うようになります。
この移行の過程は近日中に別のブログ記事で書きたいと思いますが、本投稿の最後の「まとめ」から、私自身の言葉を引用しておきます。
いろいろ考えなくても、Compose が Android の UI 開発の未来であることはわかります。
では、いくつかの指標を確認してみましょう。
以下のそれぞれの指標では、3 つのバージョンのアプリを比較します。
ユーザーが最も気にする指標は、APK サイズです。
以下の結果は、リソース圧縮を有効にし、R8 を使って最小化した release APK を APK Analyzer で測定したものです。
‘adjusted’(調整済み)の値と ‘Pre-Compose’ を比較すると、Compose を使った場合は APK サイズが 41%、メソッド数は 17% 削減されていることがわかります。
Compose を使った場合は、APK サイズが 41%、メソッド数は 17% 削減されていることがわかる
この数から、AppCompat や MDC などがアプリ内でどれほどの容量を占めているかがわかります。それだけではなく、レイアウト ファイルで使われる場合に備えてすべての View クラスを保持しなければならない場合には、最小化ツールはほとんど役に立たないこともわかります。
ソフトウェア プロジェクトを比較する場合、ソースの行数を数えても特に役立つ統計情報にはならないことは承知していますが、この比較によって、どのような変化が起きているのかは確実に把握できます。
このテストでは、cloc ツールで以下のコマンドを使い、すべてのビルドと生成されたファイル、設定ファイルを除外しました。
cloc . --exclude-dir=build,.idea,schemas
cloc ツールにはコメントを無視する機能が組み込まれているので(ただし、検証はしていません)、上記は実際の「コード」の結果です。当然ながら、XML の行数は大幅に少なくなり、76% 削減されています。レイアウト ファイル、スタイル、テーマなど、たくさんの XML ファイルとお別れできます。
同じように興味深いのは、Kotlin の合計行数も減っていることです。仮説としては、アプリ内のボイラープレートが減り、たくさんのビューヘルパーやユーティリティ コードを削除できたためだと考えられます。3,000 行近くを削除できたこちらの PR をご覧ください。
Remove a load of old code 🗑️ by chrisbanes · Pull Request #713 · chrisbanes/tivi
ビルド速度はデベロッパーの関心が非常に高い指標です。このプロセスを開始する前は、多くのアノテーション プロセッサを削除できることでビルド速度が向上するものと考えていましたが、どの程度かはよくわかりませんでした。
テストの設定
説明を続ける前に、以下の数値をどのようにして測定したのかを知っておくことが重要になります。ここでは、Chris Horner が異なる CPU でビルド速度を測定したときと同じ設定を使いました。
テストに使ったマシンは、192 GB の RAM と超高速な Xeon® Gold 6154 CPU を搭載した Lenovo P920 です。言うまでもなく、このマシンは一般的なデベロッパーの設定ではありません。そこで、現実に近いテストを行うため、CPU を最低クロック周波数に固定しました。
# Use performance governor to allow tweaking of max freq
sudo cpupower frequency-set -g performance
# Set max frequency to CPU minimum: 1.2GHz
sudo cpupower frequency-set -u 1.2GHz
その後、すべてのリモート アーティファクト キャッシュを準備するため、./gradlew assembleDebug を実行しました。
そして、テストを実行するため、次のコマンドをループで 5 回実行します。
./gradlew --profile \
--offline \
--rerun-tasks \
--max-workers=4 \
assembleDebug
厳密には --max-workers は必要ありませんが、この CPU では、デフォルトで Gradle が利用できる 64 個の「コア」のすべてが使われます。これを 4 に制限することで、通常のラップトップ CPU と比較しやすくします。
テスト結果は以下のとおりです。それぞれの結果プロファイル レポートの ‘Total Build Time’(合計ビルド時間)の値をご覧ください。
この結果にはかなり驚かされました。ほとんど数値が変わらなかったからです。予想では、多くのアノテーション プロセッサが削除されることで、‘Without view libs’(ビュー ライブラリなし)が大幅に速くなると思っていました。
結果の明細を見てみると、kapt の実行時間はすべて同じくらいでした。おそらくこれは、View Binding、Dagger/Hilt、Room の使用を継続しているためではないかと思います。
しかし、Kotlin コンパイラや Compose コンパイラ プラグインが行ってくれることを考えれば、ビルド時間が 5% 削減されたことに何も不満はありません。
これまでに説明してきた全ての結果に当てはまる注意点があります。
この 11 か月間、Tivi には何の機能も追加しませんでしたが、この点を厳密に制限したわけではありません。移行とはあまり関係のない部分で多くの変更を行っており、それが結果に影響した可能性もあります。
移行を行った 11 か月間で、多くの依存性が更新されました。ほとんどの依存性の更新はランタイム ライブラリの依存性だったので、APK サイズ指標に影響する可能性は低いはずです。
Gradle のアップデート(6.0.1 から 6.7.0)、Android Gradle Plugin のアップデート(3.6.0 から 4.2.0)、そして Kotlin のアップデート(1.3.61 から 1.4.20)などは、すべてビルド速度に大きな影響があります。
Compose は現在アルファ版なので、すべての成果物は開発中のスナップショットになります。来年 1.0 の安定版になったとき、これらのテストを再実行して違いが出るかを見るのが楽しみです。
結果と注意点を見る限り、リンゴ 🍎 とリンゴ 🍏 を比較しているわけではない(同じ条件で比較しているわけではない)ので、あまり多くの結論を出すべきではありません。これは、リンゴ 🍎 とそれよりも少し甘いナシ 🍐 を比べているようなものです。
果物の例はさておき、最大のポイントは Compose がほとんどのデベロッパー指標で良好な(または中立的な)影響を示していることです。この点と Compose でデベロッパーの生産性が大幅に向上することを踏まえれば、いろいろ考えなくても、Compose が Android の UI 開発の未来であることはわかります。
個人や小規模グループでゲームを開発するデベロッパーの情熱やイノベーションを称えるため、今年 3 年目となる Google Play | Indie Games Festival 2020 を開催しました。例年のようにファイナルイベントを公開対面形式で実施できないため、オンラインでの最終選考会をデベロッパーや、株式会社 Sisilala 安藤様を始めとする業界のさまざまな方からのご協力のもと開催することができました。
多くの取り組みが変更を余儀なくされる中でも、従来のイベントでは実現できなかった Top 20 全作品のプレゼンテーション枠の確保など、オンラインだからこそ実現できることに取り組みました。動画内では、Top 3 に入賞した合同会社リビルドゲームスの「METBOY!」様からイベントに対する感想も頂戴しています。
Google Play | Indie Games Festival 2020 の詳細をまとめた動画をご覧ください。