この記事はエンジニアリング部門副社長、Dave Burkeによる Android Developers Blog の記事 " Android 14 Beta 5" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
Android 14 の正式リリースが数週間後に迫るなか、2023 年 8 月 10 日にベータ版 5 をリリースしました。これは、Android 14 ベータ版プログラムで予定されていた最後のアップデートになります。ベータ版以外のユーザーが Android 14 を入手し始める前に、アプリを準備してフィードバックを提供する最後のチャンスです。ベータ版 5 は、対応する Google Pixel ファミリーや Android エミュレータだけでなく、Google Pixel Tablet や Google Pixel Fold でも利用できるので、さまざまなフォーム ファクタのデバイスでアプリをテストできます。
ベータ版 5 の内容
ベータ版 5 は、Android 14 リリースの 3 回目の プラットフォームの安定版 です。つまり、デベロッパー API とアプリに関連するすべての動作が確定し、アプリへの組み込みや確認する準備が整っているので、Android 14 の SDK バージョン 34 をターゲットとするアプリを Google Play で公開できます。最新の修正や最適化が含まれており、テストを終えるために必要なものがすべて提供されます。
SDK やライブラリ、ツール、ゲームエンジンを開発している方は、今すぐ必要なアップデートをリリースすることが特に重要です。下流のアプリやゲームのデベロッパーの作業が互換性の問題で止まることのないようにし、最新の SDK 機能をターゲットに指定できるようにしてください。Android 14 を完全サポートするためにアップデートが必要かどうかを、デベロッパーに周知してください。
アプリをテストするには、Google Play やその他の手段を利用して、本番環境で公開しているアプリを、Android 14 ベータ版 5 を実行しているデバイスにインストールします。アプリのすべてのフローを試し、機能や UI の問題を探します。重点的にテストを行うべき点については、動作の変更点を確認してください。Android のリリースの都度、プラットフォームに変更を加え、プライバシー、セキュリティ、全般的なユーザー エクスペリエンスを改善しています。その変更が、アプリに影響を与える可能性があります。特にテストしておくべき変更点は、以下のとおりです。
写真や動画への部分的なアクセス権の付与 - Android 14 では、Android 13(API レベル 33)で導入された視覚メディアの権限(READ_MEDIA_IMAGES(英語)または READ_MEDIA_VIDEO(英語))がリクエストされたときに、写真や動画に部分的なアクセス権を付与できます。すでに写真選択ツールを使っている場合、この変更に対応するアクションは不要です。そうでない場合は、新しい READ_MEDIA_VISUAL_USER_SELECTED(英語)権限を使ってユーザー エクスペリエンスを最適化する必要があります。
安全なフルスクリーン インテント通知(英語) - Android 14 では、フルスクリーン インテント通知を作成するアプリは、通話やアラームを提供するアプリに限定されます。また、Google Play ストアは、このプロファイルに一致しないアプリで、デフォルトの USE_FULL_SCREEN_INTENT(英語)権限を取り消します。
デフォルトで正確なアラームのスケジュールを拒否 - Android 14 以降の SCHEDULE_EXACT_ALARM(英語)権限は、 Android 13 以降をターゲットとするほとんどの新規インストール アプリで事前付与されなくなります。つまり、この権限はデフォルトで拒否されます。
200% までの非線形フォント スケーリング– Android 14 以降では、小さなサイズのテキストに対して最大 200% までのフォントのスケーリングがサポートされ、低視力のユーザーがウェブ コンテンツ ユーザー補助ガイドライン(WCAG)に対応した追加のユーザー補助オプションを利用できるようになります。
アプリで使っているライブラリや SDK でも、忘れずに互換性テストを行いましょう。現在の SDK バージョンのアップデートや、デベロッパーにサポートを求める必要があるかもしれません。
現行のアプリについて互換性のあるバージョンを公開すると、アプリの targetSdkVersion をアップデートするプロセスを開始できます。アプリのターゲットを Android 14 にしたときに適用される動作の変更点を確認し、互換性フレームワークを使って問題をすばやく検知しましょう。
Android 14 の利用を開始する
2023 年 8 月 10 日のベータ版 5 のリリースには、Android 14 の機能を試し、アプリをテストしてフィードバックをいただくために必要なすべてのものが含まれています。こちらからサポート対象の Google Pixel デバイスを登録すると、今回と今後の Android 14 ベータ版やフィーチャー ドロップのベータ版アップデートを無線(OTA)で受け取ることができます。64 ビット Android Emulator システム イメージは、近日中に Android Studio SDK Manager で公開されます。
Android 14 向けに最高の開発を行うには、Android Studio Hedgehog(英語)の最新リリースを使うことをおすすめします。セットアップの完了後にやるべきことは、以下のとおりです。
新しい機能と API を試してみる – 問題は、フィードバック ページのトラッカーで報告してください。
現在のアプリの互換性をテストする – アプリが Android 14 のデフォルト動作の変更による影響を受けるかどうかを確認します。Android 14 を実行しているデバイスかエミュレータにアプリをインストールし、幅広くテストします。
オプトインを変更してアプリをテストする – Android 14 では、新しいプラットフォームを指定した場合にのみアプリに影響するオプトインの動作の変更点があります。変更点を早めに把握し、評価することが重要です。簡単にテストできるように、変更点のオン、オフを個々に切り替えられるようになっています。
Android SDK アップグレード アシスタントでアプリをアップデートする - Android Studio Hedgehog の Android SDK アップグレード アシスタント(英語)を使うと、アプリに関連する特定の Android 14 API の変更点をフィルタリングして特定できます。さらに、targetSdkVersion をアップグレードする手順も説明してくれます。
ベータ版のシステム イメージは、Android 14 のリリース サイクル期間を通じて定期的にアップデートされる予定です。
すでに Android 14 ベータ版プログラムに登録しており、デバイスがサポートされている場合は、特に何もしなくても、無線(OTA)アップデートによってベータ版 5 が利用できるようになります。
ベータ版の入手方法の詳しい説明は、Android 14 デベロッパー サイトをご覧ください。
Reviewed by Mari Kawanishi - Developer Marketing Manager, Google Play
この記事は エンジニアリング部門副社長、Dave Burke による Android Developers Blog の記事 " Android 14 Beta 1" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
Android は、年間を通して機能強化と新機能を提供します。Android の継続的改善においては、Android ベータ版プログラムのフィードバックが重要な役割を果たします。Android14 デベロッパー サイト (英語) には、Pixel にダウンロード (英語) する方法やリリース スケジュール (英語) など、ベータ版に関する多くの情報が掲載されています。皆さんの感想を聞く (英語) のを楽しみにしています。そして、Android を誰もが使えるプラットフォームにするために、引き続き協力をお願いいたします。
Android 14 は、これまでのリリースで行われたタブレットや折りたたみ式のフォーム ファクタをサポートするための作業が基礎となっています。また、デザイン アイデア集や開発ガイドなど、アプリのエクスペリエンスを洗練するためのツールやリソースも作成しています。
Android オペレーティング システムでは、等しく重要な 2 つの異なるパッケージによって機能を実現しています。それは、サービスを提供するフレームワークと、ユーザーがそのサービスを操作するために使うシステム UI です。システム UI は Android のリリースのたびに微調整していますが、ベータ版 1 に導入されているものをいくつか紹介します。
新しくなった戻る矢印
システム共有シートの改善
また、ダイレクト シェア ターゲットのランキングを決定するために、さらに多くのアプリシグナルが使われるようになります。シグナルは、pushDynamicShortcut (英語) を呼び出し、対応する機能バインディング (英語) を使ってショートカットの使用方法を報告することによって提供します。
Android 14 では、アプリを際立たせるために、新しいグラフィック機能が追加されています。
パスのクエリと補間に対応
Android の Path API (英語) は、ベクター グラフィックの作成とレンダリングの強力で柔軟な仕組みです。Android 14 より、パスを照会して内容を確認できるようになります。今回の API アップデートには、構造が完全に一致するパス間の補間機能が含まれています。これにより、モーフィング効果を実現できるようになります。また、AndroidX ライブラリによって API 21 までの下位互換性が提供されます。詳細はこちら (英語) をご覧ください。
アプリ別の言語設定
Android 14 では、アプリ別の言語設定が強化され、Android の [設定] のアプリ別の言語リストに表示される言語セットを動的にカスタマイズ (英語) できるようになります。また、IME から現在のアプリの UI 言語を取得できるようになります。Android Studio Giraffe Canary 7 と AGP 8.1.0-alpha07 より、アプリ別の言語設定をサポートするようにアプリを自動構成できます。Android Gradle プラグインは、プロジェクトのリソースに応じて LocaleConfig (英語) ファイルを生成し、このファイルへの参照を生成されたマニフェスト ファイルに追加します。そのため、言語サポートを変更する際に、手動でファイルを作成したり更新したりする必要はなくなります。詳しくは、アプリ別言語の自動サポートをご覧ください。フィードバックもお願いいたします。
障がいのある方向けのユーザー補助サービスのみに公開範囲を限定する
Android 14 では、accessibilityDataSensitive 属性が導入されます。これを使うと、障がいのあるユーザーをサポートするものであることを宣言したユーザー補助サービスのみに、特定のビューを公開できるようになります。Google Play ストアからダウンロードするアプリでは、Google Play プロテクトがこの宣言の信頼性を保証します。TalkBack など、障がいのあるユーザーをサポートするものであることを宣言したサービスは、この属性の影響を受けません。
アプリでは、以下の目的で accessibilityDataSensitive を使うことを検討できます。
ユーザーデータを保護する(個人の詳細や平文パスワードなど)
重要なアクションが意図せずに実行されることを防ぐ(送金、ショッピング アプリでの決済など)
まだ Android 14 でアプリの互換性テストを実施していない方は、ぜひこのタイミングで行っておきましょう!Android 14 がベータ版になったので、デベロッパーだけでなく、先行ユーザーもアクセスできるようになります。今後数週間のうちに、Android 14 で皆さんのアプリを試すユーザーが増え、見つかった問題が報告される可能性があります。
互換性テストを実施するには、公開しているアプリを Android 14 ベータ版を実行しているデバイスかエミュレータにインストールし、アプリのフローをすべて試します。重点的にテストを実施すべき点については、動作の変更点 (英語) を確認してください。見つかった問題を解決できたら、できる限り早くアップデートを公開しましょう。
このタイミングで、アプリのターゲットを Android 14 にする準備を始めることをおすすめします。開発者向け設定で、アプリの互換性変更を切り替えてテストを実施しましょう。
今回のベータ版のリリースには、Android 14 の機能を試し、アプリをテストしてフィードバック (英語) を提供するために必要なすべてのものが含まれています。タブレットや折りたたみ式でアプリのテストを始める一番簡単な方法は、Android Studio SDK Manager (英語) の最新プレビュー版で、タブレットまたは折りたたみ式設定の Android Emulator を使うことです。ベータ版フェーズに入ったため、こちらからサポート対象の Pixel デバイスを登録するだけで、今回と今後の Android 14 ベータ版やフィーチャー ドロップのベータ版アップデートを無線(OTA)で受け取ることができます。Pixel デバイスをお持ちでない方は、Android Studio で 64 ビット システム イメージと Android Emulator を使うことができます。
Android 14 向けに最高の開発をするには、Android Studio Giraffe (英語)(または Giraffe 以降の最新版)の最新プレビュー版を使うことをおすすめします。セットアップ (英語) の完了後にやるべきことは、以下のとおりです。
新しい機能や API を試す - API の確定に向けて、皆さんのフィードバックが不可欠です。問題は、フィードバック ページ (英語) のトラッカーで報告してください。
現在のアプリの互換性をテストする - アプリが Android 14 のデフォルト動作の変更による影響を受けるかどうかを確認します。Android 14 を実行しているデバイスかエミュレータにアプリをインストールし、幅広くテストします。
変更をオプトインしてアプリをテストする - Android 14 では、動作の変更点はターゲットに新しいプラットフォームを指定した場合にのみアプリに影響するようになっており、それをオプトインすることができます。変更点を早めに把握し、評価することが重要です。簡単にテストできるように、変更点のオン、オフを個々に切り替え (英語) られるようになっています。
プレビューやベータ版のシステム イメージと SDK は、Android 14 のリリース サイクル期間を通じて定期的にアップデートされる予定です。
すでに Android 13 QPR ベータ版プログラムに登録しており、デバイスがサポートされている場合は、特に何もしなくても Android 14 ベータ版 1 が利用できるようになります。
ベータ版の入手方法の詳しい説明は、Android 14 デベロッパー サイトをご覧ください (英語) 。