Android Developers Japan Blog: Android Studio Bumblebee

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Android Studio Bumblebee (2021.1.1) 安定版

2022年3月10日木曜日

この記事は Adarsh Fernando による Android Developers Blog の記事 " Android Studio Bumblebee (2021.1.1) Stable " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。

Android Studio チームは、Android 公式の IDE とビルドシステムの最新版である Android Studio Bumblebee (2021.1.1) 🐝 と Android Gradle プラグイン (AGP) 7.1.0 の安定版リリースに向けて取り組んできました。一般的なデベロッパーワークフローの幅広い領域で機能強化をしました。具体的には、ビルドとデプロイ、プロファイリングと検査、そしてデザインです。注目すべき追加機能をいくつか挙げてみましょう。Android Studio と継続的インテグレーション (CI) サーバー間での統合テストの実行 ✅、ADB over Wi-Fi をサポートするための便利なペア設定フロー 📲、アプリのジャンクを特定して分析する際に役立つプロファイラツールの強化 🕵️、アプリをデバイスにデプロイせずにアニメーションをプレビューしたり 🎥 UI インタラクションしたりする新たな方法などです。今回のリリースも、プレビューユーザーの皆さんからの早期フィードバックがなければ実現できなかったはずです。以下では、今回の安定版の主な特長や新機能について紹介します。さっそく自分で試してみたい方は、公式ウェブサイトから Android Studio Bumblebee (2021.1.1) (英語) をダウンロードしてください。 Android Studio Bumblebee (2021.1.1) の機能以下では、Android Studio Bumblebee (2021.1.1) のすべての新機能を 3 つの主なテーマにまとめています。ビルドとデプロイ

新しいデバイスマネージャ : この Bumblebee の新しいツールウィンドウを使うと、仮想テストデバイスや物理テストデバイスを簡単に表示したり管理したりできます。これを開くには、メインのメニューバーで [View] > [Tool Windows] > [Device Manager] を選択します。[Virtual] タブでは、新規デバイスの作成、デバイスの詳細の確認、デバイスの削除など、現在は削除されている AVD Manager でできたことがすべて行えます。[Physical] タブでは、ADB Wi-Fi を使って新しいデバイスとすばやくペア設定をしたり、それぞれの実機の詳細を一目で確認したり、Device File Explorer を使ってボタンをクリックするだけで各デバイスのファイルシステムをすばやく調べたりできます。詳細については、リリースノートの新しいデバイスマネージャをご覧ください。

デバイスマネージャ

ADB over Wi-Fi : Bumblebee では、簡単なフローによって Wi-Fi 経由で Android 11 以降のデバイスに接続し、ADB を使ってデプロイやデバッグが行えるようになっています。デバイスで Wi-Fi 経由のデバッグを有効化した後、新しい Device Manager の [Physical] タブで [Pair using Wi-Fi] アクションを選択し、ペア設定ウィザードを開きます。あとは、表示される手順に従って、同じネットワークに接続されたデバイスとペア設定します。

ADB over Wifi によるデバイスのペア設定

Android Studio での Gradle を使ったインストルメンテーションテストの実行 : Android Studio でテストを実行したとき、同じテストを CI で実行した場合と結果が異なるという経験はないでしょうか。これはもどかしく、生産性が失われる可能性があります。この問題を解決するため、Android Gradle プラグイン (AGP) 7.1.0 に、新しいテストランナーを導入しました。Android Studio Bumblebee がインストルメンテーションテストを実行するときは、これをデフォルトで利用します。つまり、すべてのテストが統合テストランナーから実行されます。Android Studio Arctic Fox では、すべての単体テストをデフォルトで Gradle から実行するようにしましたが、それと同じような機能強化になります。また、テストの記述方法や実行方法を変える必要がない点も同じです。

異なるランナーを使うと、結果が一致しない

今回より、Android Studio は Gradle からインストルメンテーションテストを実行

Android Gradle プラグイン Upgrade Assistant が API の使用方法を更新 : Android Studio 4.2 で最初に導入された AGP Upgrade Assistant は、プロジェクトを最新バージョンに更新する際に役立ちます。また、Arctic Fox での機能強化により、新しい UI が搭載され、アップグレードのバージョンや手順を確認したり選択したりできるようになっています。Bumblebee の Upgrade Assistant は、DSL の確認や更新の提案まで行うようになったため、非推奨の API が削除される前に使うのをやめることができます。詳細については、Android Gradle プラグインの DSL / API の移行スケジュールをご覧ください。

新規プロジェクトの非推移的 R クラス : Android Studio Arctic Fox では、新しいリファクタリングツールを導入し、非推移的 R クラスを使いやすくしました。これにより、複数のモジュールを含むアプリのビルドが速くなります。Bumblebee で新規プロジェクトを作成する場合、IDE はデフォルトで非推移的 R クラスを使うようにプロジェクトを設定します。これによってパフォーマンスは向上しますが、R クラスが推移的に解決されなくなるので、親モジュールのパッケージ名ではなく、適切なパッケージ名で R クラスを参照しなければならなくなります。詳細については、非推移的 R クラスの使用をご覧ください。

デフォルトでエミュレータツールウィンドウを有効化 : Android Studio 4.1 で導入されたエミュレータは、Android Studio のツールウィンドウ内で起動します。そのため、IDE のコンテキストを離れることなく、仮想 Android デバイスに対するデプロイや操作を行うことができます。この変更により、拡張コントロールやスナップショットの管理用の UX を改善します。詳細については、Android Studio で Android Emulator を直接実行するをご覧ください。

Apple Silicon サポートの更新 : Apple Silicon (arm64) ハードウェアで macOS を使っている方のために、Android Studio Arctic Fox と Android Emulator は昨年からこの新しいアーキテクチャをサポートしています。ただし、今回のリリースでは、Android SDK プラットフォームツール v32.0.0 (ADB や fastboot が含まれます) とビルドツール v32.1.0 (aapt が含まれます) をユニバーサルバイナリに更新しており、Rosetta バイナリ変換ツールを使わずに Android デベロッパーツールを実行できるようになっています。コミュニティからのフィードバックによると、このハードウェアプラットフォームを使っているデベロッパーは、顕著なパフォーマンス向上を実感しています。詳細については、リリースノートをご覧ください。

プロファイリングと検査

プロファイラのジャンク検出トラック : Android 11 (API レベル 30) 以降を実行するデバイスでアプリをプロファイリングする場合、CPU Profiler が新しいトラックグループを表示するようになります。このグループでは、[Frame Lifecycle] に各フレームのステージ、すなわち [Application]、[Wait for GPU]、[Composition]、[Frames on display] が表示されます。それぞれのトラックでは、フレームにフレーム番号を付け、四角形を色分けしているので、特定のフレームがライフサイクルのどこにあるかを簡単に見分けられます。また、ガイドを切り替えて Vsync イベントと比較することもできます。このデータを使うと、アプリのどこでジャンクが発生する可能性があるかを把握し、その根本原因を調査できます。[Analysis] パネルには、すべてのフレームのレンダリング情報を要約してくれる便利な [Frames] タブが追加されています。詳細については、UI ジャンクの検出をご覧ください。

CPU Profiler の詳細なフレームライフサイクル情報

Studio のプロファイラによる profileable アプリのプロファイリングのサポート : アプリをプロファイリングする場合、ユーザーがインストールするものに非常に近いバージョンのアプリで、正確なデータを生成することが重要です。これを行うため、次のようにしてアプリのマニフェストに <profileable> プロパティを含めることができます。すると、デバッグはできないがプロファイリングはできるアプリになります。

<profileable android:shell="true"/>

profileable は Android 10 で導入されたマニフェスト設定で、CPU とメモリのプロファイリングタスクで利用できます。debuggable フラグの代わりに profileable フラグを使うことによる主なメリットは、パフォーマンス計測のオーバーヘッドの低下です。ただし、profileable ビルドでは、イベントタイムライン、API から開始する CPU プロファイリング、ヒープダンプ、ライブ割り当て記録など、一部のプロファイリング機能が利用できなくなります。詳細については、プロファイル可能なアプリをご覧ください。

ジョブ、アラーム、ウェイクロックの検査: Background Task Inspector が拡張され、ジョブ、アラーム、ウェイクロックの検査ができるようになっています。ワーカーの検査と同じ方法で、これらのバックグラウンドタスクがどのようにスケジュールされるかをライブで確認し、その実行に関する詳細な情報を表示できます。さらに、ワーカーを検査する場合、ワーカーがスケジュールしたジョブの追跡や検査が可能です。以前のバージョンの IDE で Energy Profiler を使っていた方は、メニューバーから [View] > [Tool Windows] > [App Inspection] を開き、[Background Task Inspector] を選択してジョブ、アラーム、ウェイクロックを検査してください。

Background Task Inspector でのジョブ、アラーム、ウェイクロックの検査

ネットワークの検査 : アプリのネットワークトラフィックを検査する Network Profiler は軽量化され、App Inspection ツールウィンドウに移動しています。Network Profiler のルックアンドフィールはそのままで、API レベル 26 以降を実行するデバイスのすべての debuggable アプリで動作します。新しいインスペクタを使うには、メニューバーから [View] > [Tool Windows] > [App Inspection] を開き、[Network Inspector] を選択します。詳細については、Network Inspector を使用してネットワークトラフィックを検査するをご覧ください。

Layout Inspector のスナップショットのキャプチャ: アプリのレイアウト階層のスナップショットをキャプチャし、保存や共有、事後検査を行えるようになります。スナップショットとしてキャプチャできるのは、通常 Layout Inspector を使うときに表示されるデータで、レイアウトの詳細な 3D レンダリング、ビューや Compose またはハイブリッドレイアウトのコンポーネントツリー、UI の各コンポーネントの詳細属性などが含まれます。ライブで実行中のアプリのレイアウトを検査したい場合は、Layout Inspector ツールバーで [Export snapshot] をクリックし、*.li 拡張子でスナップショットを保存します。すると、メインのメニューバーから [File] > [Open] を選択して *.li ファイルを開き、Layout Inspector のスナップショットを読み込むことができます。スナップショットは、[Editor] ウィンドウのタブに表示されるので、実行中のアプリと簡単に比較できます。詳細については、レイアウト階層のスナップショットをキャプチャするをご覧ください。

Layout Inspector での Compose セマンティクスのサポート : Compose では、セマンティクスにより、ユーザー補助サービスとテストフレームワークから認識しやすい別の方法で UI が記述されます。Android Studio Bumblebee では、Layout Inspector を使って Compose レイアウト内のセマンティック情報を検査できるようになります。Compose ノードを選択すると、それが直接セマンティック情報を宣言しているのか、子からセマンティクスを結合しているのか、その両方なのかを、[Attributes] ウィンドウから確認できます。宣言しているか結合しているかにかかわらず、セマンティクスを含むノードをすばやく確認したい場合は、[Component Tree] ウィンドウの [View options] ドロップダウンで [Highlight Semantics Layers] を選択します。

デザイン

インタラクティブプレビュー : Android Studio Arctic Fox では、エディタの [Design / Split] ウィンドウでコンポーズ可能な関数を静的にプレビューする機能がサポートされました。Bumblebee では、Compose レイアウトの一部のコンポーネントを操作できるように機能を拡張します。これにより、完全なアプリをビルドして実行中のデバイスにデプロイしなくても、動作を検証できるようになります。これを使うには、プレビュー可能なコンポーズ関数に移動し、[Design / Split] ウィンドウで [Start Interactive Mode] をクリックします。詳細については、インタラクティブモードをご覧ください。

Compose プレビューを操作して動作を検証

アニメーション付きベクター型ドローアブルのプレビュー : ベクター型ドローアブルを表示する際も、[Preview] ウィンドウを利用できるようになります。静的なドローアブルを表示する場合、プレビューウィンドウでバックグラウンドオプションを [None]、[White]、[Black]、[Checkedered] に変更し、異なる条件でドローアブルを表示できます。アニメーション付きドローアブルでは、バックグラウンドに加えて、異なるスピードでアニメーションをプレビューするオプションも提供されます。これにより、アプリで使う前に、アニメーションをテストできます。詳細については、アニメーション付きベクター型ドローアブル (AVD) のプレビューをご覧ください。

アニメーション付きベクター型ドローアブルのプレビュー

デザインツール上のデバイス選択ツールの更新 : さまざまな Android デバイス向けにアプリを簡単にデザインできるように、Layout Editor や Layout Validation などのさまざまなデザインツールウィンドウのデバイス選択ツールを更新し、各デバイスフォームファクタの一般的なサイズを反映したリファレンスデバイスを追加しました。スマートフォン、タブレット、Wear デバイス、Android TV など、実際によく使われるデバイスの代表的な画面サイズで、簡単にレイアウトのプレビュー、検証、編集を行えます。詳細については、プレビューの表示方法を変更するをご覧ください。