この記事は Jonathan Koren による Android Developers - Medium の記事 " Trackr comes to the Big Screen " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
Trackr は、タスク管理のサンプルアプリです。Trackr の主な用途は、ユーザー補助をサポートする観点で一般的な UI パターンを確認できるようにすることですが、最先端の Android 開発におけるベスト プラクティスの実例にもなっています。先日、このアプリを大画面対応にしました。その際にマテリアル デザインやレスポンシブ パターンを適用することで、大画面デバイスで洗練された直感的なユーザー エクスペリエンスをどのように実現したのかをご紹介します。
変更前 : タスク一覧画面の下部にあるアプリバーのメニューから、アーカイブと設定にアクセスできました。大画面では、タッチのターゲットとなるメニュー コントロールが小さく、不便な場所にありました。また、下のアプリバーが伸びすぎていました。
左: スマートフォンのナビゲーション。右: タブレットのナビゲーション
変更後 : 画面が広い場合は、ナビゲーション レール (英語) を表示します。さらに、ナビゲーション レールにフローティング アクション ボタン(新規タスク画面を開きます)を表示し、下のアプリバーは完全になくしました。
大画面のナビゲーション レール
この変更は大画面デバイスを念頭に行いましたが、スマートフォンの横表示でも有効で、タスク一覧を表示する縦のスペースを広く使えるようになります。
横向きのスマートフォンのナビゲーション レール
変更前 : タスク一覧画面とアーカイブ画面が横幅いっぱいに広がり、項目をタップすると、一覧が項目の詳細に置き換わっていました。大画面では、UI 要素が引き伸ばされるか、片側に寄ってしまい、画面のバランスが悪く感じられました。
スマートフォンでは自然に見えるが、大画面では最適な形でスペースを利用できていない
変更後 : タスク一覧画面とアーカイブ画面の両方で、SlidingPaneLayout (英語) を使って一覧/詳細 UI を表示します。これを行う方法は、Google I/O アプリに対して行った変更に関する以前の記事 (英語) で解説していますので、技術的な詳しい説明に興味がある方は、ぜひご覧ください。
タスク詳細画面にもフローティング アクション ボタン(タスク編集画面を開きます)がありますが、ナビゲーション レールがある場合に 2 つのフローティング アクション ボタンが表示されることになるので、理想的ではありません。そこで、2 つ目のフローティング アクション ボタンは非表示にし、右上のツールバーに編集ボタンを追加します。
2 ペイン化で画面スペースを活用
変更前 : タスクを編集すると、タスク編集 UI がタスク詳細の代わりに表示され、画面全体を覆っていました。タスク詳細と同じく、画面のバランスが悪く感じられます。新規タスク UI でも同じ問題が発生していました(実は、新規タスクとタスク編集は、ナビゲーション グラフで同じ遷移先になっています)。
左: スマートフォンのタスク編集。右: タブレットのタスク編集
変更後 : 大画面では、DialogFragment を使って他のコンテンツの上にタスク編集 UI を表示します。
ユーザーが現在の目的に集中できるようにするフローティング UI
最初は、タスク詳細の代わりにこの UI を詳細ペインに表示することを考えました。その方が単純でしたが、次の理由により、このアプローチでは納得できないとすぐに感じました。
新規タスク UI は、タスク編集と同じパターンを利用
ここでの学びは、何も考えずにシンプルにデザインしてしまうと、実装してみると機能的におかしい可能性があるということです。そうなったときは、一歩下がってユーザー エクスペリエンスに注目し、ユーザー エクスペリエンスを向上させるデザイン パターンを探しましょう。
タブレットや折りたたみ式デバイスの人気は上昇しています。そのため、レスポンシブな UI を作ることの重要性がこれまでになく高まっています。ナビゲーション レールを追加したり、SlidingPaneLayout を使ったりすると、Trackr アプリの見栄えがよくなるだけでなく、ユーザビリティが劇的に向上し、スマートフォンにはないエクスペリエンスを実現できることをお見せしました。さらに、単に画面のスペースだけではなく、ユーザビリティに注目し、ユーザーのニーズを最大限に満たすことができるようなデザインの再考が必要になる場合があることもお伝えしました。
新たに改善された Trackr が気に入ってもらえることを期待しています。コードは github.com/android/trackr から確認できます。
Reviewed by Tamao Imura - Developer Marketing Manager, Google Play
この記事は The Android Team による Android Developers Blog の記事 "Android @ Google I/O: Recapping building across devices" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
今年の Google I/O では、どのようにすれば、アプリで大小さまざまな Android の画面を活用できるかについてお話ししました。この記事では、見逃してしまった方のために、知っておくべき重要なことをご紹介します。
※日本語字幕に対応しています
タブレット、折りたたみ式デバイス、Chrome OS ノートパソコンなどの大画面でもうまく動作するアプリを開発することが、今までになく重要になっています。既に 2 億 5000 万台以上の大画面 Android デバイスが使われています。また、新しい折りたたみ式デバイスによってマルチタスクがさらに簡単になり、ハンズフリー アクティビティに対応したテーブルトップ モードなど、新たなエクスペリエンスが登場しています。Samsung Galaxy Z Fold2 のテーブルトップ モードで動作する Disney+ の例をご覧ください。
どんなデバイスのサイズにもシームレスに対応できるアプリの設計も、今までになく簡単になっています。たとえば、Jetpack Compose や ConstraintLayout を使ってレスポンシブ レイアウトを作成し、Chrome OS や折りたたみ式デバイスでサイズを動的に変更できます。さらに、どこに指を置くかなど、ユーザーが大画面をどのように使うかを調査したうえで、そのようなエクスペリエンスを簡単に実現できる API やツールを提供しています。
また、Android プラットフォーム、Chrome OS、Jetpack WindowManager もアップデートし、デフォルトの状態でのアプリの動作を向上させています。たとえば、デフォルトで多くの UI 要素に最大幅の値が設定されるようになったので、大画面での見栄えがよくなります。また、Display API の変更によって、既存のアプリが WindowManager を使ってウィンドウ指標を問い合わせなくても、折りたたみ式デバイスで正しくレンダリングされるようになっています。
大画面での開発サポートについての詳細は、以下の I/O セッションをご覧ください。すべての動画が日本語字幕に対応しています。
さらに詳しく知りたい方は、折りたたみ式デバイス、タブレット、大画面の最新情報のブログ記事や、エンゲージメントを向上させて評価を上げた Google Duo のケーススタディ(英語)をご覧ください。
これまでの Wear プラットフォームで最大のアップデートについてご紹介しました。このアップデートには、美しく高品質なウェアラブル エクスペリエンスを実現するために役立つ新しい機能や API、ツールが追加されます。
開発を効率化できる新しい Jetpack API も登場しました。Tiles ライブラリを使うと、特によく使う情報やアクションにすばやく直感的にアクセスできるようになります。また、もう 1 つの注目すべき追加機能が Ongoing Activities API です。これを使うと、アプリを閉じた(音楽の再生などの他のタスクを始めた)ユーザーをアプリに引き戻すことができます。現在、どちらのライブラリもアルファ版です。
健康とフィットネス向けの新たな API 群もリリースしました。デバイスのセンサーとそれに関連するアルゴリズムとの間を仲介してくれるので、アプリがアクティビティ、エクササイズ、健康に関連する高品質なデータを利用できるようになります。現在、Health Services プラットフォームのアルファ版が公開されています。
Android Studio Arctic Fox Beta をダウンロードすると、新しい Wear システム イメージのデベロッパー プレビューを試し、新しいプラットフォームでアプリの準備を始めることができます。さらに詳しく知りたい方は、以下の I/O セッションをご覧ください。すべての動画が日本語字幕に対応しています。
また、ブログ記事(英語)や、Spotify の Wear 開発ケーススタディも併せてご覧ください。
現在、Android TV OS は、毎月 8000 万台以上のアクティブなデバイスで使われ、米国では 80% の成長を遂げています。また、Android TV OS は、昨年秋に登場した Google TV エクスペリエンスの中核を担っています。Google TV は、Chromecast with Google TV、Sony のスマート TV、タブレットを含む Android デバイスのアプリなどのストリーミング デバイスで利用できます。
今年の I/O では、Android TV OS での開発を簡単にするいくつかの新しいツールや機能について発表しました。
以上のリリースにより、幅広いデバイス構成でアプリの開発やテストを簡単に行えるようになるだけでなく、最新の Android 12 や Google アシスタント、Cast 機能が TV で利用できるようになります。詳しくは、I/O の What's new in Android TV and Google TV セッションをご覧ください。なお、動画は日本語字幕に対応しています。
Android Auto のアプリは、多くの最新の自動車に搭載されているインフォテインメント ディスプレイに接続できます。これをさらに簡単にするために、先日、Jetpack の一部として Android for Cars App Library を公開しました。このライブラリを使うと、対応する自動車にナビゲーション、EV 充電スポット、駐車場のアプリを組み込めるようになります。
今後は、さらにアプリのカテゴリを拡張する予定です。Android Auto にアプリを提供することに興味がある方は、こちらのフォームから登録をお願いします。g.co/androidforcars にアクセスすると、早速今日から Android for Cars App Library をお使いいただけます。詳しくは、I/O の What’s new with Android for Cars セッションか、ブログ記事(英語)をご覧ください。
この記事は Oscar Wahltinez による Android Developers Blog の記事 "What's new in foldables, tablets, and large screens" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
ユーザーは より大きな画面で、かつ、1 台のデバイスのみを活用し、より多くのことができることに価値を見出しています。大画面デバイスに対応したアプリは、その価値をさらに高めることができます。
折りたたみ式デバイスは、大きな画面を持つデバイスの使い勝手を向上させました。タブレットのような画面サイズのデバイスをポケットに入れて持ち運べる様になり、従来型のスマートフォンでは実現の難しかった使い方ができるようになります。アプリのエコシステムへの影響について考えると、とてもワクワクします。このハードウェアの大きな変化は、スマートフォンで新しくできるようになることがあるに違いない、という期待をもたらしているからです。私たちは、この大画面化の流れは、タブレットにも及ぶと考えています。同じようなアプリ エクスペリエンスでも、画面の大きいデバイスで操作した場合は、段違いに評判が良くなります。
このブログ記事では、大画面向けにアプリを準備するときに何をすべきか、アプリの開発を効率化する最近のアップデートについてご説明します。まずはじめに、大画面についての私たちの考えと、アプリを最適化するべき理由についてお話しします。
この 1 年で、各社が新しい折りたたみ式デバイスやタブレットを発表しています。また、ユーザーが自宅で新型デバイスを使ってより多くのことをしようとしているため、需要も増加しています。つまりデベロッパーの皆さんは現在、Android の大画面デバイス向けにアプリを開発すると、2 億 5,000 万台以上のアクティブな折りたたみ式デバイス、タブレット、Chromebook にリーチすることができます。タブレット の売上は 2020 年に16% 増加し、アナリストは 2023 年までに 4 億台以上の Android タブレットが登場すると予想しています。また、Android アプリは、現在 2 番目に人気のあるデスクトップ OS である ChromeOS でも動作します。
大画面化によって、ユーザーのデバイスとの付き合い方が変わりつつあります。このようなデバイスでは、メモを見ながらスライドデッキを編集したり、夜の外出に備えておすすめのレストランを調べたり、友達とチャットしながらビデオを見たりすることができます。ここでは、アプリを大画面に対応するためにサポートしなければならない機能である、基礎レベルのサポートについて説明します。大画面に対応するためには、主に 大きく分けて 3 つのカテゴリに注目します。
これらについて以下にまとめますが、詳しくは大画面アプリの品質ガイドラインを必ずご覧ください。
最初のステップは、アプリを確実に大画面向けに設計することです。これを簡単にするために、特定のウィンドウサイズのブレイクポイントとデバイスクラスを定義して、デベロッパーが最適化できるようにしました。最短のサイズが 600dp 以上のディスプレイにはタブレットレイアウトを追加し、アプリが端から端まで表示されるようにします。また、大画面は横向きで使用されることが多いため、デベロッパーはアプリが縦向きと横向きの両方で使用されるように考慮する必要があります。画面のスペースをより有効に活用できるように、マテリアル アダプティブ コンポーネントをご用意しました。詳しくは後ほどご説明します。
分割画面(またはマルチウィンドウモード)への移行や、ドラッグ&ドロップのようなジェスチャーによる操作は、ユーザーが大画面デバイスでシームレスに動作することを期待する、自然なインタラクションになりつつあります。
アプリのサイズを変更可能にすることで、アプリをシームレスにマルチタスク対応にできます。また、画面の折りたたみ/ 展開イベントを適切に処理し、アプリをマルチウィンドウモードに対応させることで、アプリがレターボックス表示になることを防げます。
多くの人は生産性を高めるためにより大きな画面を使います。そのため、タブレットは基本のキーボード、マウス、スタイラスの使用をサポートする必要があります。
Jetpack と Material Design ライブラリの UI コンポーネントをアップデートし、スマートフォンの UI を大画面に拡大しても柔軟なユーザー エクスペリエンスを開発できるようになりました。
アプリを大画面に最適化するときに最もよく使われるアダプティブ レイアウトの 1 つが、一覧・詳細UI です。例えば、メッセージングアプリでは、片側にメッセージを一覧表示し、もう片側にメッセージの詳細を表示します。
SlidingPaneLayout ライブラリのアップデート版を使うと、小さな画面では上下に重なってしまう UI も、簡単に横に並べることができます。2 ペインスタイルのレイアウトをサポートするためにアップデートされた SlidingPaneLayout は、2 ペインの幅を使って UI のレイアウトを決定します。これは、コンテンツの幅と利用可能なスペースに基づいて、横に並べることができるかどうかを自動的に判断して実行します。例えば、リストペインの 最小幅が 200dp、詳細ペインが 400dp 必要と測定された場合、SlidingPaneLayout は、少なくとも 600dp の幅が利用可能であれば、自動的に2つのペインを横に並べて表示します。
折り目やヒンジなどのディスプレイの特徴を認識する機能も追加しました。例えば、ヒンジ付きのデバイスで画面の一部が遮られている場合、自動的にコンテンツをどちらかの画面に配置します。
ロックモードも導入しました。ロックモードでは、ペインが重なったときのスワイプ動作をコントロールできます(プログラムによる切替もサポートされます)。例えば、ユーザーがスワイプで空のペインに移動するのを防ぐために、リストのアイテムをクリックしてそのペインの情報を読み込ませ、スワイプでリストに戻れるようにすることができます。2 つのビューを横並びで表示する大きさがある折りたたみ式デバイスやタブレットでは、ロックモードは無視されます。
垂直ナビゲーション レールは、機能的にはボトム ナビゲーションと同等で、より大きな画面のナビゲーションの使用感を改善し、UI のサイズを調整する時に、NavRail が指が届く範囲内に配置することをサポートします。スマートフォンは下向きに持つユーザーが多いですが、タブレットなどより大きいサイズのデバイスは横向きに持つことが多いからです。
例えば、縦スクロールが重要なアプリの場合に、NavRai lが役立ちます。このような場合、ナビゲーション バーが下部にあると表示できるコンテンツの量が減ってしまいます。特に、タブレット デバイスを横向きに使っている場合に、より顕著になります。
他にも、複数のコンポーネントをアップデートしました。アプリを大画面対応するときの最大の落とし穴の 1 つは、UI要素が画面全体に引き伸ばされることです。これを防ぐために、この問題が最も多く発生する要素、例えば下のような要素にデフォルトのmax-width を追加しました。
今後、他の要素にも同じ対応を行う予定です。これらの変更により、独特のデフォルトが提供され、アプリを大画面デバイス対応にし、アプリのレイアウトが崩れないようにサポートします。追加設定は必要ありません。コンポーネントのサイズ制限に関する詳細は、マテリアル デザイン ガイドラインをご覧ください。
UI のサイズ調整をサポートするコンポーネントのアップデートだけではなく、これらのデバイスでより良いエクスペリエンスを開発するための WindowManager Jetpack ライブラリを提供しています。このライブラリは、現在アルファ版が公開されており、折りたたみ式デバイスやタブレットをはじめとするさまざまなデバイスタイプに対応する一般的な API サーフェスを提供しています。
WindowManagerを使用すると、折り目やヒンジなどのディスプレイの特徴を検出することができます。また、そのディスプレイ機能がアプリにどのような影響を与えるかについての情報も提供されるので、最適なエクスペリエンスを生み出すことができます。例えば、ユーザーが動画を見ているときにデバイスがテーブルトップ モードに折り畳まれた場合、折りたたみ式デバイスの状態変化に反応します。
WindowManager では、API レベル 14 以降の下位互換性のある方法で、現在および最大の WindowMetrics 情報を取得する便利なメソッドもいくつか提供します。
アプリは、各デバイスに適切にコンテンツを表示するために、画面またはディスプレイのサイズを決定する必要があります。WindowMetrics API を導入したため、ディスプレイ サイズに関連する多くのメソッドが非推奨となりました。下位互換性のある代替手段として、Window Manager Jetpack ライブラリを使用する必要があります。
Android 10 では、「トップの再開アプリ」が 1 つになり、複数の再開アプリを同時に実行することが可能になりました。ほとんどのアプリケーションは、アップデートの必要なくこの変更の恩恵を受けます。ただし、マイクやカメラなどの排他的なリソースを使用しているアプリケーションは例外です。詳細については、以前のブログ記事(英語)をご覧ください。
アプリを大画面に最適化することで、ユーザー エクスペリエンスが改善され、ビジネスの成果につなげることができます。Google Play では、大画面での利用機会を活用するアプリが増えています。例えば、Google Duo は、タブレットと折りたたみ式デバイスのサポートを実装してユーザー エクスペリエンスを向上させ、アプリの評価とユーザー エンゲージメントの向上に繋がりました。
Google Duo の折りたたみ式デバイス対応最適化エクスペリエンス(Samsung Galaxy Z Fold2 など)
Google Duo のユーザー エクスペリエンスの向上に加えて、多くのアプリでアダプティブ レイアウトを採用し、大画面や折りたたみ式デバイスでの利用が可能になりました。
折りたたみ式デバイスおよび大画面デバイスの詳細については、以下の関連情報も併せてご覧ください。
この記事は Karen Ng、Jacob Lehrbaum による Android Developers Blog の記事 "What's new for Android developers at Google I/O" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
Android デベロッパーの皆さんは、世界中の人々を喜ばせるエクスペリエンスを作り出そうと日々努力を重ねています。人々がこれまでになくアプリを必要としている今、期待も大きくなり、デベロッパーとしての仕事の難易度も高まっています。私たちは Google I/O で、デベロッパーの皆さんをサポートするためにリリースした新機能をいくつか発表しました。過去最大級のデザイン変更を行った Android 12 や、高品質の優れたアプリ開発をサポートする Jetpack、Jetpack Compose、Android Studio、Kotlin などです。また、ウェアラブルデバイスや大画面対応が進むデバイスを通して、ユーザーによるアプリの使用シーンを広げるお手伝いをしています。こちらの Developer Keynote でもカバーしていますが、この記事でいくつかをハイライトしてご紹介します。
Android 12 は最初のベータ版のロールアウトがはじまったばかりですが、素晴らしい機能が満載です。ユーザーの安全のための機能である、Bluetooth や推定位置情報の利用許可、優先ジョブやスタートアップ アニメーションなどといったパフォーマンスの改善、よりインタラクティブなウィジェットやストレッチ オーバー スクロールなどの楽しいエクスペリエンスまで、このリリースで Android は過去最大級のデザイン アップデートをしています。
Android 12 Beta 1 の内容の詳細についてはこちらをご覧ください。内容をご確認いただき、年内公開のコンシューマ リリースに向けて、アプリの準備を始めてください。今すぐベータ版をダウンロードして、あなたのアプリでお試しください。
ここ数年間、私たちは Android 開発エクスペリエンスを進化することに取り組んできました。デベロッパーの皆さんのフィードバックに耳を傾け、フィードバックにオープンであり続けました。それが、Android の特徴だからです。しかしながら、自分たちが正しいと信じることに関しては、妥協しないよう心がけてきました。このことは、Android Studio(デベロッパーに合わせることができる高性能 IDE) 、Kotlin(より少ないコードでより多くのことを実現できるプログラミング言語)、Jetpack ライブラリ(後方互換性でモバイルに関連する最も難しい問題を解決するライブラリ)を通して、おわかりいただけるでしょう。
このオファリングの次のステップは Jetpack Compose、あらゆる Android デバイス向けの優れたアプリを簡単に構築できる最新 UI ツールキットです。私たちは、ここ Google I/O で 2 年前に Compose を発表し、それ以来新しいバージョンを公開しながら強化を重ね、フィードバックに耳を傾け、反映させてきました。今年はじめに公開した Compose Beta 版 では、世界中のデベロッパーの皆さんが、すばらしく革新的なエクスペリエンスを提供するアプリを通常の半分ほどの時間で作り出すことも実現されています(株式会社メルカリのケーススタディ)。また、Compose を使ったコンテストである #AndroidDevChallenge へのデベロッパーの皆さんからの熱い反響に、私たちはとても感動しました!
次回の Material You のアップデート(詳細はこちら)では、新しい マテリアル コンポーネントを追加し、大画面に対応する開発をさらにサポートする予定です。短期間で楽に素晴らしい UI を作成できるようになります。Compose のテストは最後の追い込み中です。1.0 Stable は 7 月にリリース予定です。ご準備ください。
公式の強力な Android IDE の最新リリース、Android Studio Arctic Fox (2020.3.1) Beta が、2021 年 5 月 19 日(現地時間 5 月 18 日)に公開されました。より楽に、より短期間で良質なアプリを開発できるようデベロッパーをサポートする IDE です。このツールスイートを提供しアップデートすることで、私たちは 3 つの主要テーマを強化してきました。そのテーマとは、UI 設計期間の短縮、新しいデバイスへのアプリ拡張、デベロッパーの生産性向上です。この最新リリースと Compose を合わせて使うことで、最新の UI を作成することができます。複数のデバイスでのテスト結果をご覧ください。そして App Inspector で、デバッグ データベースとバックグラウンド タスクを最適化してください。また、Accessibility Scanner (ユーザー補助検証ツール)を用いるとアプリがより使いやすく、Memory Profiler を用いるとアプリがより高性能になります。開発期間短縮のため、Android Gradle プラグイン 7.0、新しい DSL、さまざまな API を用意しました。Android Studio アップデートの詳細についてはこちらをご覧ください。
最近の調査によると、Kotlin はいまや、プロの Android デベロッパーに最も使われている第 1 言語です。実際、Google Play Store の 120 万以上のアプリで Kotlin が使用されています。これには、トップ 1000 アプリの 80% が含まれます。Google でも、Kotlin は愛されています。Drive、Home、Maps、Play など 70 以上の Google アプリで Kotlin が使用されています。そして Kotlin の注釈処理のために新しく作られた、まったく新しいネイティブソリューション、Kotlin Symbol Processing が本日リリースされました。Kotlin のコードを直接解析するための、強力だがシンプルな API です。Room のようなライブラリで最大 2 倍の速度を誇ります。
Android Jetpack で開発されたライブラリ スィートを利用すると、ボイラープレート コードが減り、本来のコードに集中することができます。現在、トップ 10,000 アプリの 84% 以上で Jetpack ライブラリが使用されています。そして 5 月 19 日(現地時間 5 月 18 日)、Jetpack 向けの新リリースがいくつか公開されました。アプリをリリースする前にアプリの起動に影響を与える大きなインタラクションやジャンクを把握するための Jetpack Macrobenchmark(Alpha)、Jetpack DataStore(Beta)を介してデータをより効率良く維持するための新しい Kotlin Coroutines API などです。Android Jetpack のアップデートの詳細についてはこちらをご覧ください。
最新の Android 開発環境を構築する上で、私たちが心掛けているもっとも大事なことは、これらのツールを提供することで 皆さんがより容易に Android の次の時代を切り開いていけるようにするということです。そしてそれは、電話と各種デバイス(テレビ、自動車、時計、タブレット)が接続し、連携することで生まれる新たな世界を実現することに他なりません。
今日 5 月 19 日(現地時間 5 月 18 日)から私たちは、ウェアラブルにむけて大きな一歩を踏み出します。まず、Samsung と合同で Wear と Tizen の長所を組み合わせた統合プラットフォームを構築すると発表しました。次に、刷新した Google アプリによる新しいコンシューマ エクスペリエンスをベストプラクティスとして共有しました。3 つめとして、Fitbit の世界クラスの健康フィットネス サービスをプラットフォームに取り入れることにしました。これは、Android デベロッパーにとっては、手が届く範囲が広がること、そしてモバイルアプリを素晴らしいものとする既存のスキル、ツール、API のすべてを使えることを意味します。結果として、世界中の人に使われる単一のウェアラブルプラットフォームが構築されるのです。
Wear 向けの新しい Jetpack API は、小型スクリーン用に調整し、バッテリーの寿命を伸ばすために設計しました。Jetpack Tiles API を使えば、Wear エコシステムの中のあらゆるデバイス向けカスタムタイルを作成できます。他にも Wear での開発を支援する新しい機能がたくさんあります。Samsung と共同してつくられた健康フィットネス向けの新しい API セットを使用すると、センサーやメトリクス計算のデータ コレクション(心拍数、カロリー、毎日の移動距離など)が、1 つの信頼できるデータソースから取得された、無駄のない、一貫性を持った、正確なデータになります。これらすべてが新しいツールにまとめられて、Android Studio Arctic Fox Beta でリリースされています。アプリをテストするための簡易なペアリングや、エミュレータでの仮想の心拍数センサーまで揃っています。アプリが配信されたら、ユーザーは、大きくアップデートされアプリの見つけやすさも向上した Google Play で、 より容易に Wear アプリの世界を楽しむことができます。Wear アップデートの詳細については、こちらをご覧ください。
タブレット、折りたたみ式デバイス、Chrome OS ノートパソコンなど、スマホのコンテンツをより大きな画面で体験するユーザーが増えています。人々は、家族や友人とのつながりを保ったり、学校に行ったり、リモートワークしたりする目的で、大型画面デバイスにますます依存するようになっています。実際に使用されている大型画面の Android デバイスは 2 億 5000 万台を超えています。Chrome OS は昨年、PC 市場の成長率の 5 倍、前年比で +92% 成長しました。その結果、Chrome OS は最速の成長を遂げて、2 番目に人気のデスクトップ OS になりました。この機会を掴むべく、大型画面でのエクスペリエンスをより簡単に最適化するための API と各種ツールを用意しました。たとえば、SlidingPaneLayout 1.2.0 と新しい垂直ナビゲーション レール コンポーネントを使うと大きくなった空間に合わせてコンテンツのサイズが自動調整されます。コンポーネントの幅を最大化することで UI が間延びしないようにします。また、プラットフォーム、Chrome OS、および Jetpack windowmanager がアップデートされたため、デフォルトでもアプリが問題なく動作します。詳細についてはこちらをご覧ください。
以上のことは、高品質の Android アプリを構築しやすくする、新しい方法のほんの一部です。5 月 19 日(現地時間 5 月 18 日)以降、私たちは Android と Google Play に関するテクニカル セッションを 20 以上公開し、バックグラウンド タスク、プライバシー、Android における機会学習、Android 12 に備えるトップ 12 のヒントなど、さまざまなトピックを扱います。自動車、テレビ、ウェアラブルの構築を担当する方のためのセッションもあります。こうしたセッションなどのすべての情報は、I/O の Web サイトにあります。今年の Google I/O では、セッションやニュースだけでなく、Google 関係者や他のデベロッパーとバーチャルにつながることができる楽しい仕掛けがたくさんあります。I/O Adventure の Android ドームをチェックしてください。新しいブログ投稿、ビデオ、コードラボなどをご覧いただけます。Jetpack Compose スキルを試したり、ドーム内部の自動車を巡るバーチャルツアーにもご参加ください!(注:会期外でアクセスできないプログラムがありますのでご了承ください)
Reviewed by Yuichi Araki - Developer Relations Team and Tamao Imura - Developer Marketing Manager, Google Play