この記事は Andrew Flynn & Jon Boekenoogen による Android Developers Blog の記事 " Play Time with Jetpack Compose " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
2020 年、Google Play ストアのエンジニアリング チームのリーダー陣は、ストアのショーウィンドウにあたる部分全体の技術スタックを再構築するという大きな決断を下しました。既存のコードは 10 年以上前のもので、無数の Android プラットフォーム リリースや機能アップデートを経て、大きな技術的負債を抱えていました。デベロッパーの生産性やストア自体のユーザー エクスペリエンスとパフォーマンスに悪影響を与えることなく、数百名のエンジニアが開発できるようにスケールアップできる新しいフレームワークが必要でした。
ネットワーク レイヤからピクセルのレンダリングに至るまで、ストアのあらゆるものを更新するため、複数年にわたるロードマップを作成しました。その一環として、インタラクティブ性とユーザーの快適さを目標とした最新の宣言型 UI フレームワークも採用したいと考えました。さまざまな選択肢を分析した結果、まだアルファ版にもなっていなかった Jetpack Compose を使うという、(当時としては)大胆な決断をすることになりました。
それ以来、Google の Google Play ストアチームと Jetpack Compose チームは、ストアの具体的なニーズを満たせるバージョンの Jetpack Compose を実現するため、非常に密接な連携のもと、リリースや改善を重ねてきました。この記事では、移行のアプローチやその過程で明らかになった課題や利点について説明し、多くのエンジニアが関わるアプリで Compose を採用するとはどういうことかについて共有したいと思います。
新しい UI レンダリング レイヤとして Jetpack Compose を検討するときの最優先事項は次の 2 つでした。
Google Play ストアはすでに 1 年以上 Jetpack Compose で UI のコードを記述しており、Jetpack Compose によって UI 開発がこれまで以上にシンプルになっていることを実感しています。
特にうれしいのは、UI の記述に必要なコードがかなり減ったことで、場合によってはコードが最大 50% 少なくなったことです。これが実現できたのは、Compose が宣言型 UI フレームワークであることに加え、簡潔な Kotlin を活用できるからです。カスタムの描画やレイアウトを作成する際も、ビューをサブクラス化してたくさんのメソッドをオーバーライドする必要はなく、シンプルな関数呼び出しで実現できます。
評価テーブルを例に説明しましょう。
ビューを使う場合、このテーブルは以下の要素で構成されます。
Compose を使う場合、このテーブルは以下の要素で構成されます。
@Composable
「そうは言っても、ライブラリの依存関係でビューが提供される場合どうすればいいのか」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。たしかに、すべてのライブラリ所有者が Compose ベースの API を実装しているとは限りません。私たちが最初に移行をしたときは特にそうでした。しかし、Compose では ComposeView と AndroidView API によって、ビューを簡単に利用できる相互運用性が実現されています。ExoPlayer (英語) や YouTube の Player などの人気ライブラリは、この方法によって問題なく統合できました。
Google Play ストアチームと Jetpack Compose チームは、Compose がビュー フレームワークと同じくらい速くジャンクなしで動作できるようにするため、密接に連携しました。Compose は Android フレームワークの一部というよりはアプリにバンドルされるものなので、これは難しい要件でした。画面上の個々の UI コンポーネントのレンダリングは高速でしたが、アプリが Compose フレームワーク全体をメモリに読み込むために必要な時間をすべて合わせれば、かなりの時間になりました。
Google Play ストアで Compose を採用するうえで、特に大きなパフォーマンス改善に貢献したのはベースライン プロファイルの開発でした。以前から利用できたクラウド プロファイルもアプリの起動時間の短縮に役立ちますが、これが利用できるのは API 28 以降に限られ、頻繁な周期で(毎週)リリースされるアプリにとっては効果的ではありません。この問題に対応するため、Google Play ストアチームと Android チームが連携して、ベースライン プロファイルの開発にあたりました。ベースライン プロファイルは、デベロッパーが定義し、アプリの所有者が指定してバンドルできるプロファイルです。アプリに同梱され、クラウド プロファイルとは完全な互換性があり、アプリレベルに限定して定義することも、ライブラリレベルで定義することもできます(Compose を採用すると、このプロファイルもついてきます!)。ベースライン プロファイルをロールアウトすることで、Google Play ストアの検索結果ページの最初のレンダリング時間は 40% 短縮されました。これは大きな成果です。
Compose は、特にスクロールの際に効率的なレンダリングをします。その中核をなす仕組みとなっているのが、UI コンポーネントの再利用です。Compose は、スキップできることがわかっている Composable の再コンポーズをできる限りスキップしようとします(不変である場合など)。しかし、すべてのパラメータが @Stable (英語) アノテーション要件を満たしている場合は、デベロッパーが強制的に Composable をスキップ可能にすることもできます。Compose のコンパイラでも、特定の関数をスキップできない理由を説明した便利なガイドが提供されています。Google Play ストアでは、スクロールが発生する状況で頻繁に再利用される UI コンポーネントを作りましたが、不要な再コンポーズが積み重なってフレーム時間が足りなくなり、ジャンクにつながるという状況が発生しました。そこで、デバッグ設定でもそのような再コンポーズを簡単に見つけることができるように、Modifier を作成しました。この手法を UI コンポーネントに適用することで、ジャンクを 10-15% 減らすことができました。
@Stable
Modifier
Modifier による再コンポーズの視覚化の例。青(再コンポーズなし)、緑(1 回の再コンポーズ)
Google Play ストア アプリの Compose を最適化するうえで、もう 1 つの重要な要素となったのが、アプリ全体の一連の移行戦略を詳細に作成したことです。最初に組み込みの実験をしたとき、「二重スタック問題」に直面しました。これは、1 つのユーザー セッション内で Compose とビューの両方のレンダリングを実行すると、特にローエンドのデバイスにおいて、メモリに大きな負荷がかかるという問題です。これはコードを同じページに展開した場合だけでなく、異なるスタックのそれぞれに 2 つのページ(Google Play ストアのホームページと検索結果ページなど)が存在する場合にも発生しました。これに起因する起動の遅さを解消するには、ページを Compose に移行する順番やスケジュールについて、具体的な計画を立てることが重要でした。さらに、アプリが完全に移行されるまでの穴埋めとして、よく使うクラスの短期的なプリウォーミングを追加することも有用であることがわかりました。
Compose は Android フレームワークにバンドルされていないので、Google Play ストアチームが Jetpack Compose に直接的に関与する手間も少なくすみました。その結果、短い時間でデベロッパーに役立つ改善をすることができました。Jetpack Compose チームとの共同作業で、LazyList のアイテムタイプのキャッシュのような機能追加をしたり、無駄なオブジェクトの割り当てなどに関する簡単な修正をすばやくしたりすることもできました。
Google Play ストアで Compose を採用したことで、チームのデベロッパー満足度は大幅に上昇し、コードの品質と健全性も大きく向上しました。Google Play ストアの新機能は、すべてこのフレームワーク上に構築されています。Compose はアプリの速度向上や利便性に貢献しています。Compose への移行戦略の性質上、APK サイズの変化やビルド速度は細かく測定できませんでしたが、可視化できたものについてはすべて順調に進んでいます。
Compose は Android UI 開発の未来です。Google Play ストアの事例から言うと、これ以上すばらしいものはありません!
この記事は Florina Muntenescu による Android Developers Blog の記事 " Jetpack Compose 1.1 is now stable! " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
私たちは、Android の最新ネイティブ UI ツールキット、Jetpack Compose のロードマップを実現する作業を続けており、2022 年 2 月 9 日にバージョン 1.1 をリリースしました。今回のリリースには、フォーカス処理の向上、タッチ ターゲットのサイズ調整、ImageVector のキャッシュ、Android 12 のストレッチ オーバースクロールのサポートなどの新機能が含まれています。さらに、Compose 1.1 では、これまで試験運用版だったたくさんの API が安定版になっているほか、より新しいバージョンの Kotlin もサポートされています。すでにサンプル、Codelab、Accompanist ライブラリもアップデートしており、Compose 1.1 と合わせて利用できるようになっています。
Compose 1.1 に ImageVector のキャッシュ機能を導入し、パフォーマンスを大幅に向上させています。painterResource API にキャッシュ機構を追加しており、解析した ImageVector のすべてのインスタンスを、与えられたリソース ID やテーマと合わせてキャッシュできるようになっています。このキャッシュは、構成が変わると無効になります。
Compose 1.0 と比較した場合、マテリアル コンポーネントのレイアウトでは、マテリアルのアクセシビリティ ガイドライン(英語)に記載されているタッチ ターゲット サイズ(英語)を満たすようにレイアウト領域が拡大されます。たとえば、RadioButton のタッチ ターゲットは、最小サイズの 48x48 dp に拡大されます。RadioButton のサイズをそれ以下に設定した場合も同様です。これにより、Compose のマテリアルとマテリアル デザイン コンポーネントの動作が一致し、ビューと Compose が共存しても、動作の一貫性が保たれます。また、この変更により、Compose のマテリアル コンポーネントを使って UI を作成すれば、タッチ ターゲットのアクセシビリティ最低要件が確実に満たされるようになります。
この変更によって既存のレイアウト ロジックが壊れる場合は、LocalMinimumTouchTargetEnforcement (英語) を false に設定することで、この動作を無効化できます。ただし、アプリのユーザビリティが低下する可能性があることを認識したうえで、慎重に利用するようにしてください。
RadioButton のタッチ ターゲットの更新
左 : Compose 1.0、右 : Compose 1.1
いくつかの API が試験運用版から安定版になっています。主なものを紹介します。 (以下、リンク先はすべて英語)
Compose に新機能を導入する作業も続いています。いくつかの主な機能を紹介します。
@OptIn (英語) を使うと、新しい API を試すことができます。ぜひフィードバックをお願いします!
注 : Compose 1.1 を使うには、Kotlin 1.6.10 が必要です。詳しくは、Compose と Kotlin の互換性マップをご覧ください。
次に登場するのは何でしょうか。現在検討中または作業中の機能は、更新版のロードマップで確認できます。たとえば、遅延項目アニメーション、ダウンロード可能フォント、移動可能コンテンツなどです。
Jetpack Compose は安定版で、本番環境で利用できます。また、要望が寄せられた機能を追加する作業も続いています。すでに多くのアプリで Jetpack Compose が本番環境として使われ始めているのを見て、とてもうれしく思っています。皆さんが開発したアプリを見るのが、待ち遠しくてたまりません。
アルファ版やベータ版を通して Issue Tracker (英語) にバグレポートや機能リクエストをお送りいただき、大変感謝しています。Compose の改善や、皆さんに必要な API を作るうえで役立っています。Compose をよりよいものにするために、今後もフィードバックをお願いします!
Compose をお楽しみください!
この記事は Marcel Pintó Biescas による Android Developers Blog の記事 " Announcing Jetpack Glance Alpha for app widgets " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
Android 12 では、多くの Android ユーザーにとって重要な機能であるアプリ ウィジェットを刷新し、より便利で美しく、そして見つけやすくしています(84% のユーザーが少なくとも 1 つのウィジェットを使っています)。先日、アプリ ウィジェットの構築をさらに容易にするために、Jetpack Glance の最初のアルファ版をリリースしました。Jetpack Glance は、Jetpack Compose のランタイムをベースに作られた新たなフレームワークで、ホーム画面などで利用できるアプリ ウィジェットをすばやく簡単に構築できるように設計されています。
ぜひ試してみて、フィードバックをお寄せください。
Glance は、Jetpack Compose と同じように最新の宣言型 Kotlin API を提供し、美しくレスポンシブなアプリ ウィジェットを少ないコードで実現します。
Glance の “Hello World” ウィジェット サンプル
class GreetingsWidget(private val name: String): GlanceAppWidget() { @Composable override fun Content() { Text(text = "Hello $name") }} class GreetingsWidgetReceiver : GlanceAppWidgetReceiver() { override val glanceAppWidget = GreetingsWidget("Glance")}
class GreetingsWidget(private val name: String): GlanceAppWidget() {
override fun Content() {
Text(text = "Hello $name")
}
class GreetingsWidgetReceiver : GlanceAppWidgetReceiver() {
override val glanceAppWidget = GreetingsWidget("Glance")
Glance は、“Glanceables” (一目で把握できる)な操作を作成する Composable の基本セットを提供します。今回はまず、アプリ ウィジェットのコンポーネントを提供しますが、今後さらに追加する予定です。Glance は、Jetpack Compose ランタイムを使って Composable (英語) を実際の RemoteView (英語) に変換し、それをアプリ ウィジェットに表示します。
図: Glance の構造
つまり、Glance を使うには Compose を有効にする必要があります。ランタイム、グラフィック、ユニット UI の各 Compose レイヤーを使用しますが、Jetpack Compose の他の既存の UI 要素を直接使うことはできません。ただし、アプリの状態などのロジックは、Glanceables UI を作成する際に共有できます。
今回の初回リリースでは、アプリ ウィジェットを構築するためのメイン API を導入します。また、既存の RemoteView との相互運用性が提供されます。
以下に、このライブラリが提供する内容の概要をまとめます。
GlanceAppWidget
GlanceAppWidgetReceiver
Box
Row
Column
Text
Button
LazyColumn
Image
Spacer
GlanceModifier
Action
actionStartActivity
actionRunCallback
actionStartService
actionStartBroadcastReceiver
ActionParameters
SizeMode.Single
SizeMode.Exact
SizeMode.Responsive
GlanceStateDefinition
GlanceAppWidget state
LocalContext
LocalState
LocalGlanceId
LocalSize
RemoteViews
AndroidRemoteViews
現在は、デフォルト テーマや Android Studio サポートの強化など、さらなる機能の追加作業を進めています。今後の新規リリースにご期待ください。
注: minSDK は 21 ですが、現在は SDK v23 までの互換性しかサポートしていません。
クイックスタートとして、GitHub のサンプルをご覧ください。Glance は最新の安定版 Android Studio (英語) で動作しますが、Compose のランタイムを使っているので、まず Jetpack Compose ドキュメントの手順に従ってセットアップを行ってください。
また、さらに詳しい説明を見たい方は、AndroidX リポジトリのデモをご覧ください。
ResponsiveAppWidget.kt デモ
アルファ版は API に皆さんの要望を反映させるチャンスなので、フィードバックを通して感想をお寄せください。
ぜひ Glance と Compose を使ってみてください!
この記事は Jeremy Walker による Android Developers Blog の記事 " Watch out for Wear OS at Android Dev Summit 2021 " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
今年の Android Dev Summit (英語) では、Wear OS プラットフォームのいくつかの主要なアップデートなど、Android デベロッパー期待のお知らせがたくさんありました。Google I/O では、新しい Wear OS のリリースを発表しました。その後、Galaxy Watch4 シリーズに Wear OS Powered by Samsung が搭載されました。Strava、Spotify、Calm などの多くのデベロッパーが、既に最新バージョンの Wear OS 向けに便利なエクスペリエンスを作成しています。今後、デベロッパーの皆さんがスマートウォッチにどんな新しいエクスペリエンスをもたらしてくれるのか、とても楽しみです。詳細な情報を入手してスマートウォッチ向けの優れたアプリを作成したい方は、このままお読みください。API やデザインツール、Google Play ストアのアップデートについて説明します。
Jetpack Compose ライブラリを使うと、短時間で簡単に UI を開発できます。(英語) そして今回 Wear OS に Compose のサポートを追加します。皆さんは、スマートウォッチ向けになったおなじみの UI コンポーネントを使ってアプリをデザインできます。こういったコンポーネントには Material You が含まれているので、少ないコードで美しいアプリを作成できます。
Compose for Wear OS は、現在デベロッパー プレビュー段階です。詳しく知りたい方や試してみたい方は、以下を参考にしてください。
お試しいただき、こちらでフィードバックを共有、もしくは、Jetbrains Slack の #compose-wear チャンネルに参加して感想をお聞かせください。ベータ版で API が確定する前にお願いします!
ウォッチフェイスは、ユーザーがスマートウォッチで自分を表現する方法の中でも、特に特徴的なものものの 1 つです。ウォッチフェイスを作成すると、Wear OS のユーザーに皆さんのブランドをアピールできます。私たちは Samsung と連携し、ウォッチフェイス作成のツールを改善して、Wear OS エコシステムでのウォッチフェイスのデザインを簡単にしました。
Samsung が作成したデザインツール Watch Face Studio (英語) を使うと、コーディングなしで独自のウォッチフェイスを作成、配布できます。直感的なグラフィックス ツールが搭載されているので、簡単にウォッチフェイスをデザインできます。個人で使うためのウォッチフェイスを作ることも、Google Play Console にアップロードして API レベル 28 以上をサポートする Wear OS デバイスのユーザーと共有することもできます。
先日、たくさんの Android Jetpack Wear OS ライブラリ (英語) をリリースしました。これらは、ベスト プラクティスに従い、ボイラープレートを減らし、ユーザーが一目でわかる高パフォーマンスなアプリを作るうえで役立ちます。
現在、タイルはマーケットのほとんどのデバイスで有効で、予測どおりに動作し、一目で情報にアクセスしたりクイック アクションに使用したりできます。API は現在ベータ版です。ぜひお試しください!(英語)
ウォッチフェイスを(Watch Face Studio 以外の方法で)もっと細かく調整したいデベロッパーの皆さんのために、ゼロから Kotlin で開発した新しい Jetpack Watch Face API のベータ版をリリースしました。
新しい API では、たくさんの新機能が提供されます。
今こそ古い Watch Face Support Library から今回の新バージョンに移行を始める絶好のチャンスです。
Google Play ストアで、皆さんの Wear OS アプリを見つけやすくする取り組みも進めています。今年は既にウォッチフェイスを検索できるようにしたほか、ユーザーが Wear カテゴリのアプリを簡単に探せるようにもしました。さらに、スマートフォンの Google Play ストアから直接アプリをスマートウォッチにダウンロードする機能もリリースしました。この変更点の詳細は、こちら (英語) からご確認いただけます。
また、皆さんがユーザーの期待に応えることができるように、Wear OS 品質ガイドラインの更新版 (英語) も公開しました。合わせて、ユーザーがアプリの外見を深く理解できるように、新しいスクリーンショット ガイドライン (英語) も公開しています。2022 年には、フォーム ファクタと国に固有の評価を導入し、アプリがどのようなデバイスや国で利用され、どのように動作しているかを深く理解できるようにする予定です。
Wear OS の開発に関する詳しい情報は、デベロッパー ウェブサイト (英語)をご覧ください。
Reviewed by Tamao Imura - Developer Marketing Manager, Google Play
2021 年 10 月 18 日に開催された、『DroidKaigi 前夜祭』に Google 関係者がパネリストとして登壇しました。
このイベントでは、2021 年に発表した Android/Google Play 関連の製品のお話や、I/O 以降に発表された製品・技術関連の最新情報についての内容を中心に Google 関係者が解説をしました。
この記事では、イベント内で解説した内容をまとめます。
Jetpack Compose は、ネイティブ UI をビルドするための Android の最新ツールキットで、Kotlin API を使用して、少ないコードで Android の UI 開発を簡素化し、加速することができます。Google I/O では、株式会社メルカリ様のケーススタディもリリースされ、UI 開発の生産性が 56 % 向上したという実例もございます。今回のイベントでは、その Jetpack Compose の最新アップデートである、1.1.0 についてお話をさせていただきました。
このセッションでは、Android IDE Android Studio (英語) の Android Gradle Plugin API (AGP) (英語) や Test framework についてについてお話をさせていただきました。公式の強力な Android IDE Android Studio Arctic Fox (2020.3.1) ベータ版 を I/O で発表したあと、7 月に安定版をリリースしました。UI 設計期間の短縮、新しいデバイスへのアプリ拡張、デベロッパーの生産性向上を目的としており、Compose と合わせて使うことで、最新の UI をすばやくデザインすることができます。
このセッションでは、Google Play と Multi Form Factor についてお話をさせていただきました。
Wear OS や大画面対応から、セキュリティ ツールなどのトピックまで幅広くカバーしました。
ご参加いただきました皆さん、ありがとうございました!Android Developer Summit の動画も、ぜひご視聴ください。
この記事は Anna-Chiara Bellini, Nick Butcher による Android Developers Blog の記事 " Jetpack Compose is now 1.0: announcing Android’s modern toolkit for building native UI " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
2021 年 7 月 28 日(日本時間 7 月 29 日) Jetpack Compose のバージョン 1.0 をリリースしました。Android の最新ネイティブ UI ツールキットである Jetpack Compose を使うと、優れたアプリを短時間で構築できます。このリリースは安定版で、本番環境で利用できます。Compose は、この 2 年間、Android コミュニティのフィードバックや貢献を受けつつ、オープンに開発が行われてきました。1.0 に到達した現時点で、既に Google Play ストアの 2000 以上のアプリで Compose が使われています。実は、Play ストアアプリ自体にも Compose が使われています。それだけではありません。たくさんのトップ アプリ デベロッパーと協力し、フィードバックやサポートを受けることで、1.0 リリースはさらに強固なものになっています。たとえば、Square は Compose を使うことで「宣言型 UI フレームワークの構築に関するさまざまな問題を解決することではなく、Square 独自の部分や UI インフラストラクチャに集中できる」と教えてくれました。Monzo は、Compose を使うと「質の高い画面を短時間で構築できる」と述べています。また、Twitter は「とても気に入っています!❤️」と見事に一言で言い表しています。
Compose は、ネイティブ Android アプリを短時間で簡単に作成できるように設計されています。完全に宣言的なアプローチが採用されているので、UI を記述しさえすれば、あとは Compose が対応してくれます。アプリの状態が変わると、UI が自動的に更新されるので、UI の構築がはるかにシンプルかつ高速になります。直感的な Kotlin API を使うと、美しいアプリを はるかに 少ないコードで実現できます。また、すべての既存の Android コードにネイティブでアクセスできるので、自分のペースで導入することもできます。強力なレイアウト API とコード駆動型 UI により、タブレットや折りたたみ式デバイスなど、異なるフォーム ファクタのサポートも簡単です。Compose のサポートは、Wear OS や ホーム画面 ウィジェットなども追加される予定です。
今回の 1.0 リリースは本番環境で利用でき、以下の主要機能が提供されています。
完全な宣言型アプローチを採用している Jetpack Compose によって、UI の開発方法は大きく変わります。新しいワークフローと異なる考え方をサポートするため、Compose 向けに設計された新しいツールを提供します。また、いくつかの既存のツールに Compose のサポートを追加しています。
Android Studio Arctic Fox で利用できる新しい Compose プレビューでは、異なる状態、ライトテーマやダークテーマ、異なるフォント スケーリングのコンポーザブルをすべて同時に確認できます。アプリ全体をデバイスにデプロイする必要はないので、コンポーネントの開発が簡単になります。リテラルのライブ編集機能によって機能強化されているため、プロジェクトを再コンパイルせずにアップデートを確認できます。
作業中の画面まで移動せずにデバイスで UI のパーツをテストしたいと思っていた方なら、新しいデプロイ プレビューを気に入ってくれるはずです。Composable のプレビューを作成するだけで、デバイスにデプロイしてすばやく反復できます。
Layout Inspector に Composable サポートが追加されるため、Compose と既存のビューを確実に混在させることができます。
Android Studio Arctic Fox での Compose サポートの詳細については、こちらをご覧ください。
新しいフレームワークを採用するには、評価が必要です。新しい UI ツールキットのように広範囲にわたるものでは、特にそれが重要になります。皆さんにとって今が適切なタイミングかどうかを情報に基づいて判断できるように、パブリック ロードマップ (英語) を公開して今後の Jetpack Compose の開発計画をお知らせします。
Compose を活用していただくために、皆さんや皆さんのチームが利用できる幅広いリソースを準備しました。
学ぶべきことはたくさんあります。Jetpack Compose Pathway (英語) では、主要な コードラボ、動画、ドキュメントを順番に体験できます。
Jetpack Compose は大きな飛躍であり、すばらしい UI を短時間で簡単に作れるものだと確信しています。これを使って皆さんが作るものを見ることが楽しみでなりません。Compose が 1.0 の安定版になった今こそ、実際に使うべきときです。直接コードを触るのが最善の方法です。ぜひ Compose を使ってみてください!
この記事は Anna-Chiara Bellini、Nick Butcher による Android Developers Blog の記事 "Announcing Jetpack Compose Beta!" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
2021 年 2 月 24 日(日本時間 2 月 25 日)、Jetpack Compose のベータ版をリリースしました。新しい UI ツールキットである Jetpack Compose は、すべての Android プラットフォームでネイティブ アプリを高速かつ簡単に開発できるようにすることを目指して設計されています。Compose が提供するのは、最先端の宣言型 Kotlin API です。これにより、少ないコードで美しくレスポンシブなアプリを作ることができます。Compose は既存の Android アプリや Jetpack ライブラリに組み込めるので、Android のビューと Compose を組み合わせながら、自分のペースで採用できます。
今回のベータ版リリースで Compose の API は確定版になりました。これで本番向けのアプリを構築する際に必要な機能がすべてそろったことになります。ベータ版には、API が安定したという意味合いもあります。つまり、API が変更されたり、削除されたりすることはありません。Compose を学び始め、今後のプロジェクトや機能にどう活用するかについて計画を立てるには、今が絶好の機会です。Compose は今年中に 1.0 に到達する予定です。
Compose チームは、コミュニティの皆さんからのフィードバックも取り入れて、オープンに開発を進めています。2019 年に開発をオープンソース化して以来、30 回のパブリック リリースを行い、外部から寄せられた 700 個以上のバグに対応し、200 件以上の外部からのコントリビューションを受け入れました。皆さんに Compose を使ってアプリを開発していただくことはとても嬉しいことで、いただいたフィードバックや機能リクエストは API の微調整や作業の優先順位を付けることに役立っています。アルファ版リリース以降も、たくさんの機能を追加または改善しています。
ベータ版リリースでは、API の完全性を確保することに重点を置いています。つまり、1.0 やその先に向けて、土台となる API を提供することです。今後は、1.0 リリースに向けてこれらの API の機能を安定させる作業を進める予定です。アプリのパフォーマンスとユーザー補助機能には、特に重点を置いています。
最新の Android Studio Arctic Fox Canary 版は Compose ベータ版をサポートしており、たくさんの新しいツールも搭載しています。
🆕 ライブ リテラル: デバイスやエミュレータで、プレビューのリテラルをリアルタイムにアップデート🆕 アニメーション プレビュー: アニメーションの調査と再生🆕 Layout Inspector の Compose サポート🆕 インタラクティブ プレビュー: Composable を切り離して調査や操作が可能🆕 デプロイ プレビュー: アプリ全体をデプロイすることなく、デバイスに Composable をデプロイ
🆕 ライブ リテラル: デバイスやエミュレータで、プレビューのリテラルをリアルタイムにアップデート
🆕 アニメーション プレビュー: アニメーションの調査と再生
🆕 Layout Inspector の Compose サポート
🆕 インタラクティブ プレビュー: Composable を切り離して調査や操作が可能
🆕 デプロイ プレビュー: アプリ全体をデプロイすることなく、デバイスに Composable をデプロイ
Jetpack Compose は、Android ビューと共存してシームレスに動作するように設計されているので、自分のペースで採用できます。具体的には、Android ビューに Compose UI を埋め込んだり、Compose の中でビューを使ったりすることもできます。相互運用性に関するドキュメントに、たくさんの採用戦略をまとめました。
既存アプリに Compose を追加する際に役立つように、ビューとの相互運用性に加えて、よく使われるライブラリとの統合も行っています。そのため、アプリを書き直したり、アーキテクチャを変更したりする必要はありません。以下の統合が利用可能です。
MDC-Android Compose Theme Adapter ライブラリや Accompanist ライブラリを使えば Material および AppCompat のXML テーマとの統合機能を利用できるので、テーマを重複して定義する必要はありません。Accompanist は、よく使われるイメージ読み込みライブラリのラッパーも提供します。
Jetpack Compose は、 宣言型 UI ツールキットであり、現在のビューシステムからのパラダイム シフトです。つまり、記述するのは、アプリが特定の状態のときに UI がどのように見えるべきか であって、 どのように UI を生成するかではありません。アプリの状態が変わったときは、Compose によって UI がアップデートされるため、UI を操作して目的の状態に変更するという面倒でエラーが起こりやすい作業は必要なくなります。
また、Compose はすべて Kotlin で書かれているので、優れた言語機能を活用して、簡潔で強力かつ直感的な API を提供できます。たとえば、コルーチンを使うと、ジェスチャー、アニメーション、スクロールなど、はるかにシンプルな非同期 API を書くことができます。そのため、ジェスチャーに続いてアニメーションするなど、非同期イベントを組み合わせたコードを簡単に書けるようになります。キャンセルやクリーンアップはすべて構造化され、並列に行われます。
皆さんや皆さんのチームが Jetpack Compose に関するあらゆることを学習できるように、Jetpack Compose Pathway をアップデートしました。これは、動画やハンズオン Codelabs、重要なドキュメントを厳選した一覧であり、Compose を始める際に役立ちます。本日は、新しく作成またはアップデートしたガイド ドキュメントも公開します。たくさんのスクリーンキャストや新しい Animation Codelab を通じて、Compose で開発を始める方法を詳しく学ぶことができます。アーキテクチャ、ユーザー補助機能、テストに関するガイドから、アニメーション、リスト、Compose の思想に関する詳しい説明まで、作業をより早くするために役立つガイドも準備しました。
さらに、実際に動作する Compose をすぐに見てみたい方のために、8 つの公式サンプルアプリも提供しています。シンプルなものから複雑なものまで、すべて異なる API やユースケースを扱っています。詳しくは README をご覧ください。
Compose を始める準備ができ、賞品も獲得したい方は、#AndroidDevChallenge に挑戦してください。Jetpack Compose で優れたアプリをすばやく作成する技術を身につけられるよう、4 週間にわたって日本時間の木曜日朝、週単位のチャレンジを出題します。各チャレンジでは、「インサイトを開放する」をテーマに、アニメーションやマテリアル テーマ、Composable やリストなど、毎回 Compose の新しい領域を扱います。毎回のチャレンジの勝者に新しい賞品があり、Pixel 5 を含む 1000 個以上の賞品を準備しています*。2 月 25 日から始まっている第 1 週のチャレンジの詳細は、こちらをご覧ください。
Jetpack Compose はベータ版に到達し、1.0 に向けた確定版の API や機能が完成しています。アプリで Compose を採用した方は、ぜひフィードバックをお寄せください。Kotlin Slack の #compose チャンネルで行われているディスカッションへの参加もお待ちしています。
*毎週のチャレンジに新しい賞品が設定されています。Google Pixel 5 が賞品になる週で、Google Pixel 5 が利用できない国にお住まいの方には、同程度の価値がある電子ギフトカードをお送りします。詳しくは公式ルールをご覧ください。
Reviewed by Yuichi Araki - Developer Relations Team and Hidenori Fujii - Google Play Developer Marketing APAC