この記事は Android Developers Team による Android Developers Blog の記事 " Outdooractive boosts user experience on wearable devices with 30% less development time using Compose for Wear OS " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
Outdooractive (英語) はヨーロッパ最大のアウトドア プラットフォームで、1,200 万人 (英語) を超える自然愛好家のグローバル コミュニティにトレイルマップや情報を提供しています。アウトドア活動の計画やナビゲーションに特化したプラットフォームである Outdooractive は以前より、ユーザー数の拡大にはスマートウォッチなどのウェアラブル デバイスが欠かせないと考えていました。ウェアラブルは、ナビゲーション ツールやアクティビティ トラッカーとしてユーザーに大きな価値を提供します。そのため、Outdooractive のデベロッパーは、Google から Android の新しい UI ツールキット Wear OS 向け Compose (英語) に関する打診を受けたとき、この成長市場でアプリを改善する絶好の機会だと考えました。
アプリの再構築に着手すると、Wear OS 向け Compose のメリットはすぐに明らかになりました。Outdooractive のデベロッパーは、開発時間を 30% ほど短縮でき、効率的なユーザー インターフェースを短時間で作成できるようになりました。Outdooractive のシニア プロジェクト マネージャーである Liam Hargreaves 氏は、「数日かかりそうなものが、数時間でできるようになりました」と話します。
コードベースの最新化と開発スピードの向上によって、デベロッパーが UI のコードを直感的に読み書きできるようになりました。また、デザイン フェーズでのプロトタイピングが高速になり、柔軟なコラボレーションができるようになりました。そのため、デベロッパーは、ユーザーのためにさらに便利な機能を作れるようになっています。
Outdooractive のアプリが目指しているのは、正確な情報をユーザーのウェアラブル デバイスまでリアルタイムに届けることです。たとえば、曲がるべき場所を伝えるナビゲーション、トレイルの状態、最新の気象情報といった情報です。
「私たちのアプリには、かなり複雑なインタラクションがあります」と Hargreaves 氏は言います。「こういった情報を、アクセスしやすい形で、シンプルかつ高速にわかりやすく提示しなければなりません。しかも、お客様は山道にいたり、嵐に遭遇していたり、手袋や冬用のハイキング装備を身につけていたりするかもしれません」
Outdooractive のデベロッパーは、Wear OS 向け Compose の新機能を活用して、移動中のユーザーに高品質な体験を提供できるアプリを作成しました。Chip コンポーネントを使うことで、リスト作成のプロセスを大きく改善できました。あらかじめ用意されているデザイン要素を使えるので、デベロッパーは数日分の作業を省略できました。また、ScalingLazyColumn を使うことで、RecyclerView や ScrollView に頼ることなく、最適なスクロール画面を作成できました。
AnimatedVisibility コンポーネントが使いやすいうえに、これまでは開発する余裕がなかったアニメーション機能を作成できるようになったことも、デベロッパーを喜ばせました。Wear OS 向け Compose で特に重宝されたのは、「読み込み中」や「エラー」など、さまざまな UI の状態をとても簡単にユーザーに提示できるようになったことでした。
「Compose を使うと、UI コードを直感的に読み書きできるようになります。デザイン フェーズでのプロトタイピングが高速になり、コードでのコラボレーションもしやすくなりました」
Wear OS 向け Compose を導入したことで、Outdooractive のユーザーは、ハイキング コースのナビゲーションなど、通常であればスマートフォンで行っていたことをウェアラブル デバイスで行えるようになりました。これは、Wear OS 向け Compose のおかげで実現した主要な UI の目標でした。
「ウェアラブルは、私たちのプロダクト戦略や市場戦略において欠かせない部分の 1 つです。ユーザーからの反応も非常に好意的です」と Hargreaves 氏は語っています。
Outdooractive のデベロッパーは、心拍数のモニタリングなどのフィットネス トラッキング機能をアプリに組み込むことで、ウェアラブル デバイスならではの機能も提供しています。これは、Health Services という別の Wear OS 機能を使い、デバイスに搭載されたセンサーにアクセスして実現しています。Wear OS の Health Services は、健康やフィットネスに関連するセンサーの設定をすべて自動で行い、データを収集し、心拍数や移動距離、速度などの指標を計算します。そのため、デベロッパーは電池寿命をできる限り延ばしながら、高度なアプリの機能を簡単に実現できます。Outdooractive のデベロッパーは、Health Services と Wear OS 向け Compose を活用し、ボディセンサーを使ってアプリの機能をさらに強化したいと考えています。
Outdooractive の効率的なプロセスは、Wear OS 向け Compose によってアプリ開発が簡単になるという実例を示しています。これが実現できたのは、デベロッパーの柔軟性が向上し、開発の負担を増やさずにさまざまなレイアウトを試せるようになったからです。
Hargreaves 氏は、Wear OS 向け Compose を使うことを検討している他のデベロッパーに向けて、「全面的に導入することをお勧めします」と明確にアドバイスしています。
Wear OS 向け Compose を使うと、ウェアラブル デバイスでエンゲージメントの高いユーザー エクスペリエンスを構築できます。
概要を知りたい方は、Google I/O の Wear OS 関連トーク (動画/英語 - 日本語字幕は、YouTube の自動字幕機能から日本語を選択してください) をご覧ください。さっそく学習を始めたい方は、Wear OS 向け Compose の Codelab をお試しください。