この記事は Lauren Mytton による Android Developers Blog の記事 " Raising the bar on technical quality on Google Play " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
アプリの品質は、Google Play が行うあらゆる施策の基盤です。Android ユーザーは、ダウンロードするアプリやゲーム上での優れた体験を期待しています。そのため、Google Play ストアでは、品質の高いタイトルをより見つけやすくするとともに、品質の低いタイトルからユーザーの目を遠ざけています。ユーザーの期待に応えるため、私たちの品質基準を満たさない一部のアプリやゲームは、「おすすめ」などの目立つ発見手段から除外されたり、ストアの掲載情報に警告が表示されることがあります。
アプリの品質を高め、より多くのユーザーを惹きつけるための最も重要な方法の 1 つは、技術的な品質に注力することです。この記事では、Google Play が技術的な品質の定義をよりユーザーの体験に沿ったものに進化させることを説明し、デベロッパーの皆さんが、技術的な問題や機会を監視測定し、対処するために役立つ Android Vitals の新機能を紹介します。
Android Vitals は、現場から上がってくる安定性やパフォーマンスの指標など、Google Play での技術的品質をモニタリングするための 1 番の近道です。最も重要な指標は core vitals と呼ばれ、Google Play ストアでのアプリの可視性に影響します。
今後、既存の core vitals の指標を、よりユーザーに焦点を当てた新しい指標に置き換える予定です。私たちは、これらの指標が、ユーザー エクスペリエンスを反映していると信じており、アンインストールとの相関もより強いことが確認されています。
全体的な品質を向上するために、引き続き全体的な不正な動作のしきい値を適用します。全体的なしきい値は新しい指標を使用しますが、ユーザーが認識したクラッシュ率は 1.09%、ユーザーが認識した ANR 率は 0.47% のままで変更されません。Google Play でタイトルの可視性を最大化するには、これらのしきい値を下回るようにすることが重要です。
技術的な品質は、デバイス間によって異なることがあります。例えば、あるスマートフォンのデバイスではアプリが安定していてスムーズでも、別のデバイスではそうでないことがあります。これを考慮し、スマートフォンのモデル(例:Pixel 6)ごとに評価される新しい不正な動作のしきい値を導入します。ローンチ時には、このしきい値は、ユーザーが認識したクラッシュ率とユーザーが認識した ANR 率の両方について 8% に設定される予定です。
皆さんのタイトルが特定のスマートフォン モデルの core vitals でデバイスの不正な動作のしきい値を超えた場合、Google Play はそのスマートフォン モデルのユーザーに対するタイトルの可視性を低下する場合があります。たとえば、一部の 検出サーフェスからタイトルを除外したり、場合によっては、ストアの掲載情報に警告を表示して、アプリがお使いのスマートフォンで正常に動作しない可能性があることをユーザーに示すことがあります。Google Play ストアは、2022 年 11 月 30 日からストアの掲載情報の警告の適用を開始する予定です。
2022 年 11 月 30 日以降、ユーザーが所有するデバイスにおいて、ユーザーが認識したクラッシュ率またはユーザーが認識した ANR 率が 8% を超えるタイトルがある場合、ストアの掲載情報で警告が表示される場合があります。なお、警告文は変更される可能性があります。
この新しい品質ガイドラインに対応するため、Android Vitals では、問題の監視と対処を容易にするためのさまざまな新機能をリリースしました。
新しい指標は、Google Play Console の Android Vitals で利用できるほか、Play Developer Reporting API (英語) も利用できます。既存の指標は、引き続きコンテキストとして利用できます。
Android Vitals で、全体的な不正な動作のしきい値に対するタイトルの状態をモニタリングすることができます。さらに、Android Vitals は、デバイスごとのしきい値を超えている場合は警告を表示します。また、どのデバイスで、何人のユーザーに影響を及ぼしているかも表示されます。
ユーザーが認識したクラッシュ率や ANR 率に対する技術的な品質問題の原因を理解するには、これらの率の原因となるクラッシュや ANR のクラスターを調べましょう。これらは、Android Vitals の [クラッシュと ANR] ページで、全体または特定のスマートフォン モデルについて見ることができます。多くのユーザーに影響を及ぼしている問題から順番に対処することで、問題発生率をより迅速に低減することができます。
デバイスのハードウェアやソフトウェアの特定の側面が、問題発生率に影響することがあります。このような問題を発見し解決するために、Android Vitals に新しい機能が追加され、関連性が見つかった場合に通知されるようになりました。また、[リーチとデバイスの概要]ページで、ご自身で関連性を調べることも可能です。
Android Vitals は、デバイスのハードウェアまたはソフトウェアに関連する可能性のある問題を警告します。
デバイスごとに取り組むべき品質の問題の優先順位を決める際には、既存ユーザーと、新規ユーザーに対する機会損失や影響の両方を考慮する必要があります。これを支援するために、インストールベース、収益、評価、レビューなどの統合デバイス情報へのワンクリックでのアクセスを Google Play Console 上で開始しました。この情報はサイドパネルに表示されるため、今見ているページを離れる必要はありません。
Google Play Console の新しいサイドパネルでは、統合されたデバイス情報を
コンテキストで提供します。
Android Vitals に関連のある方々全員にアクセス権を付与してください。新しい品質指標は Android Vitals で公開されており、全体的またはスマートフォンごとの技術的な品質問題が表示されます。Google Play Console で Android Vitals を定期的に確認するか、Play Developer Reporting API (英語) と統合して、データを、ご自身のワークフローに直接取り込むことをお勧めします。詳細については、Android Developer のサイト を参照してください。
しきい値は 8% からスタートしますが、デベロッパーの皆さんには、スマートフォンごとの安定性指標が 2% 以下になることを目指していただきたいと思います。このことを念頭に置き、2023 年の前半には、スマートフォンごとのしきい値が低くなる可能性があることを想定してください。将来的には、ユーザー エクスペリエンスの他の重要な側面を反映する新しい指標を追加するために、品質基準を拡張する可能性もあります。その場合も、事前にお知らせします。
ユーザーは端末上での素晴らしい体験を期待し、その期待に応えることができるデベロッパーの皆さんは Google Play でのさらなる成功を収めるでしょう。これらのアップデートは、ユーザーとデベロッパー両方の方々が最悪の体験を回避できるように設計されていますが、私たちの長期的な焦点は、優れたユーザー エクスペリエンスを増やすことです。そのためには、クラッシュや ANR 以外の技術的な品質への投資と、品質に関する非技術的な側面への投資が必要です。今後数か月間にわたり、このトピックの続報をお知らせする予定ですので、ご注目ください。
Reviewed by Maru Maruyama - Developer Relations Engineer, Tamao Imura - Developer Marketing Manager, Platforms and Ecosystems