2019 年 6 月、同社の開発チームは Android アプリの主要な開発言語が Kotlin に移行しつつあると判断し、Kotlin の導入を検討し始めました。Kotlin が採用された決め手は、Kotlin メインの Jetpack ライブラリを活用できること、コード量を減らしてメンテナンスの負担を軽減できること、構文の表現性が高く理解しやすいことなどでした。
同社の開発チームには Kotlin を使った開発経験があるエンジニアや、また、Java に精通しているエンジニアがいるため、Kotlin でのコーディングに難しさを感じることはありませんでした。Kotlin は Java との相互運用性が 100% なので、既存のコードベースを維持しながら、雨雲レーダーやニュース検索といった新機能を Kotlin で記述することができました。この雨雲レーダーでは、コルーチンを使用して画像のダウンロードとキャッシュを管理し、コルーチン ディスパッチャでタスクの管理を抽象化することで、raw スレッドの管理で陥りやすい罠を回避しています。
開発チームは、一部の Java コードをリファクタリングし、Kotlin の null 安全性機能も活用しています。Kotlin の構文では、可変性、null 可能性、初期化を特定できるため、早い段階でエラーを捕捉できます。これにより、コード変更の検証にかかる時間を 10% 短縮することができました。Kotlin の簡潔で効率的な構文を使用することで、コードベースの読みやすさが向上してメンテナンスが容易になり、実装から公開までの全体的な生産性が向上し、コード行数の 20% 削減に成功しました。
SmartNews アプリのコードはすでに全体で 45 % ほどが Kotlin に移行しています。新機能はすべて Kotlin で記述することにしているほか、既存のコードのリファクタリングを進めてさらにメンテナンス性を高めることにしています。
Kotlin を実装し、ボイラープレート コードを削減していくと、開発チームのモチベーションが向上してきました。開発メンバーがアイデアをより効率的に表現できるようになり、各自が読みやすいコード記述を心がけるように変化しました。同社でエンジニアリング マネージャーを務める大橋英雄氏によると、Kotlin はエンジニアの募集や採用にも効果的とのことです。
「応募者から最も多い質問のひとつが、"Kotlin は使っていますか?どれくらい活用していますか?" というものです。多くのエンジニアが Kotlin への移行に関心を寄せており、弊社としてもこの動きを支援したいと考えています。」
スマートニュース株式会社 Android エンジニアリングマネージャー 大橋英雄氏
SmartNews アプリへの Kotlin の導入は、アプリ開発だけに限らず、エンジニアのモチベーション向上や採用への良い反響を得ることができました。Android Developers の事例も併せてご覧ください。
Posted by Tamao Imura - Developer Marketing Manager, Platforms and Ecosystems