この記事は Dr. Stefan Frank による Android Developer Blog の記事 "11 Weeks of Android: People & Identity" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。




このブログ投稿は、これから毎週更新される #11WeeksOfAndroid シリーズの記事です。 Android の重要な内容を取り上げていきますので、お見逃しなく。今週は、人と ID に注目します。ぜひ知っておいていただきたいことを以下にまとめています。



「人」と「ID」



Android 11 は、皆さんの生活に最も重要な「人」を認識して優先できる OS にするよう務めました。愛する人とつながることが、なによりも大切だからです。人間には、そのようなつながりに対する根源的な欲求があります。現在の状況のように人と物理的な距離を取らなくてはならず、直接会えないといった制約が生じている中ではなおさら、つながりを重視したいというニーズがあります。Android 11 は、スマートフォンで会話する方法を新たな発想で見直し、複数の端末間で ID を維持できる新機能が追加されています。

Android 11 の新機能を活用すると、大切な人や友人、会社の同僚と簡単につながることができます。今回のリリースの中心となるのは、Android Conversation Shortcut API と Identity Services Library です。このような新しいツールを使うと、すぐに親友とつながって犬の面白い写真を共有したり、見つけたおいしいシーフードのレシピをおばさんに伝えたり、会社の同僚の昇進を祝うこともできます。また、ユーザーが簡単にサインアップおよびログインできるようになる新しいレベルのパスワード管理も提供されます。

まず初めにご紹介するのは、最も重要な人との会話をスマートフォンのロック画面に表示する機能です。アバターで簡単に判別できるので、家族や友人、同僚にすぐに返信できます。この機能は便利だろうと思っていましたが、ベータ版テスターの反応によってさらに確信してリリースしました。Conversation Shortcut API を使い、ユーザーの生活の改善を実現します。


着信した通知からバブルを作成し、バブルから会話にアクセスできます



ショートカットを使う新しい機能の 1 つが、通知エリアの上にある新しい会話スペースです。この機能は、皆さんにとって一番重要なこと、つまり会話にフォーカスしています。ユーザーは、この通知から Android 11 のもう 1 つの新機能であるバブルを呼び出すことができます。バブルは会話をコンパクトに表現したもので、画面横で他のコンテンツの上に表示されます。これを広げることで、端末で作業中の内容を維持したまま、すばやく会話にアクセスできます。端末で別のタスクを処理しながら会話を続けたい場合にとても便利です。


新しい会話スペースで会話を優先とマークすると、ロック画面に表示されます



会話の通知を長押しすると優先マークをつけることができ、一番重要な人を目立たせることができます。優先される会話は、アバターと一緒にロック画面に表示され、通知の上部に移動します。「サイレント モード(Do-Not-Disturb)」の時でも通知されるように設定することも可能です。また、会話ショートカットのもう 1 つの使用法として、Android 10 でリリースしたシステム共有シートの共有ターゲットとして使うこともできます。

次にご紹介するのが「ID」です。ユーザーやデベロッパーは ID の複雑さに悩まされており、それがデベロッパーにとっての課題になっています。この課題に対応するため、新しい Google Identity Services Library の一部として、One Tap と Block Store に取り組んでいます。One Tap は、ウェブと Android でクロスプラットフォームにログインするための新しい仕組みで、複数の種類の認証情報を効率よく管理します。Block Store は、バックアップと復元の機能を利用して構築されたトークンベースの新しいログインの仕組みです。これを使うと、複数の Android 端末でユーザーのログイン状態を維持できます。

私たちは、今回ご紹介した 2 つの新しい機能をリリースできたことをとても嬉しく思っています。私たち全員がつながってコミュニケーションをとり、大切な人や使っているアプリに対して自分を表現できるようになるからです。このような表現力の向上はさらに重要な要素になっています。


「人」と「ID」に関する機能を動画で解説



人間を認識して優先する機能については「What's new in Android」(日本語字幕あり)をご覧ください。また、Artur が会話ショートカットやバブルの実装方法についてご説明している「会話の通知」に関する新しい動画も公開しました。会話に関する追加機能やその他のシステム UI については、Dan が「What's new in System UI」(日本語字幕あり)で概要をご説明しています。さらに、私たちが人とバブルについてインタビューを受けている Chet のポッドキャストもお聴きください。

ID についてもっと詳しく知りたい方のために、「In Identity on Android: What’s new in sign-in」も公開しました。この動画では、Vishal が Google Identity System の新しいライブラリである One Tap と Block Store についてご説明しています。

このような会話機能に特化した機能について、早い時期から私たちと一緒に作業を続けてきたチームがあります。そのうちの 2 つが、Facebook の Messenger チームと Twitter のダイレクト メッセージング チームです。それぞれの実装についてのストーリーは、こちらこちらからお読みいただけます。


今週の機能をチュートリアルで確認する



今週ご紹介した「人」と「ID」の機能に関して、チュートリアル形式で動画や関連ブログ記事・コードラボをまとめて確認できる人と ID の Pathway をご覧ください。Pathway は、モジュールを順番に完了する形式になっており、最後にはクイズをご用意しています。クイズに合格した方には、もれなくバーチャル バッジが贈られます。人と ID について重要な知識を確認して、限定バッジを獲得しましょう。


今週のまとめ



Android 11 は、ユーザーにとって最も重要な「人」と「会話」に焦点をあわせる起点となります。Android のエコシステムを作り上げている多くのパートナーの皆さんがすばらしいアプリやサービスへ新しくリリースした機能を導入し、人とのつながりや会話を実現しています。私たち Android チームは、引き続きパートナーの皆さんが新機能を使いさらにアプリやゲームの新規開発や機能拡張ができるようにサポートしたいと考えています。そのため、

  • API 30 をターゲットに人とのリアルタイム コミュニケーションを行うアプリを作っているデベロッパーの方は、通知やバブル、共有といった機能が利用できる会話ショートカットベースの API を採用することを強くおすすめします。そうすれば、ユーザーの会話を一番目立つ場所に配置し、皆さんのアプリにユーザーがすばやくアクセスできるようになります。

  • ユーザーのアカウントを扱うアプリでは、ユーザーが厄介なパスワード探しや認証情報を忘れた場合に煩雑な操作をしなくてもいいように、One Tap を組み込んで認証情報の管理を効率化し、Block Store で端末のアップデートを扱えるようにすることをおすすめします。これらの機能は、Android M までの端末と互換性があります。

オンラインイベント Android 11 Meetups で最新情報を入手する




Android 11 Meetups は、6 月 23 日  から 9 月 29 日にかけて、計 8 回に渡って開催される、アプリ開発企業のエンジニアやプロダクト担当の皆さまを主な対象としたオンラインセミナーシリーズです。初回の 6 月 23 日には、「Android 11 の概要」をテーマにスペシャリストがお話しました。アーカイブを公開していますので、参加登録していただき、ウェブサイトよりご覧ください。

次回 7 月 7 日のセミナーでは、TensorFlowやML Kit 等、端末上で実行可能な機械学習についてのセッションを行いますので、興味のある方はぜひこちらのウェブサイトで登録・参加(視聴)ください。

最後になりますが、今回ご紹介した新機能で、ユーザーが大切な人と意味のある楽しいつながりが実現し、お気に入りのアプリをシームレスに使えるようになれば大変うれしく思います。この目的を実現するためにお役に立てれば幸いです。


関連情報



#11WeeksOfAndroid の動画の全プレイリストはこちらから、それぞれの週の詳しい内容は 11 Weeks of Android のウェブサイトからご覧いただけます。毎週新しい分野を取り上げますのでご期待ください。Twitter YouTube チャンネル のフォローもお忘れなく。


Reviewed by Yuichi Araki - Developer Relations Team and Hidenori Fujii - Google Play Developer Marketing APAC