この記事は Ben Weiss による Android Developers - Medium の記事 "Using WorkManager in multi-process apps" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
📝 WorkManager 2.5.0 をリリースしました。マルチプロセス環境で簡単に使えるようになり、さらに、安定性の改善もいくつか行われています。複数のプロセスを管理するアプリでバックグラウンド作業を確実に管理する必要がある場合は、新しい WorkManager 2.5.0 をお使いください。
利用するためには、コードにいくつかの変更を加える必要がありますので、詳しくご説明します。また、本記事の最後に、今回のバージョンの WorkManager ライブラリにおけるその他の動作の変更点および最新の追加機能を記載していますので併せてご覧ください。
新しいマルチプロセス アーティファクトでは、ジョブのスケジュール管理を 1 つのプロセスに統合することで、パフォーマンスを向上させています。この機能を使うには、まずアプリに追加します。
implementation "androidx.work:work-multiprocess:2.5.0"
これで、WorkManager が WorkRequest をキューに追加するために使う専用のプロセスを選び、プロセス内スケジューラを実行できるようになります。
Configuration.Provider を使って設定する方法は次のようになります。
class MyApplication() : Application(), Configuration.Provider { override fun getWorkManagerConfiguration() = Configuration.Builder() .setProcessName("com.example:remote") .build()}
注: setProcessName のパラメータには完全修飾プロセス名を渡す必要があります。具体的には、アプリのパッケージ名にコロンを付け、その後にホストのプロセス名を指定します。例: com.example:remote
work-multiprocess を使う場合は、WorkManager の代わりに RemoteWorkManager を使って作業リクエストを管理できます。RemoteWorkManager は、常に専用プロセスにアクセスして作業をキューに格納します。これにより、呼び出し側のプロセスで誤って新しい WorkManager を初期化してしまうことはなくなります。プロセス内スケジューラも、同じ専用プロセス内で実行されます。
このように WorkManager を設定し、RemoteWorkManager を使って作業をスケジュールすることで、ジョブを高速に管理し、マルチプロセス アプリの信頼性を高めることができます。指定するプロセスで WorkManager インスタンスが 1 つだけ実行され、ファイルベースのロックを使わなくてよくなるため、SQLite 接続の数を大幅に削減できることに加え、プロセス間でジョブを調整する必要がなくなるためです。
これまでは、ActivityManager が JobService のインスタンスを作成してジョブを開始することができなかった場合、ベースとなるプラットフォームのバグの影響で、そのジョブは破棄され、何の通知も行われませんでした。今回より、WorkRequest オブジェクトとジョブを調整して Application インスタンスが作成されると、WorkManager はすべての WorkRequest についてスケジューラ ジョブが存在することを確認します。
アプリがクラッシュする原因の 1 つは、デバイスのストレージ不足であることがわかりました。これが起きるのは、主に最初からストレージ容量が少なかったデバイスです。しかし、アプリが大量の作業をスケジュールする場合、WorkManager がデバイスのストレージ不足の原因になることもありました。
完了したジョブはデフォルトで 7 日間内部 WorkManager データベースに記録されていました。今回、それが 1 日間に短縮されたので、データベースのサイズが大幅に減少します。
バッファの期間は短縮されますが、ジョブを記録する期間は keepResultsForAtLeast() API を使って制御できます。
WorkManager と ListenableFuture を併用すれば、テストがさらに簡単になります。TestListenableWorkerBuilder Kotlin 拡張機能が、ListenableWorker を拡張したすべてのクラスを受け取れるようになり、テストの柔軟性が向上しています。
今回のリリースには、新機能に加えていくつかのバグの修正も含まれています。これにより、WorkManager の安定性、信頼性、パフォーマンスが向上します。すべての変更点と修正されたバグは、リリースノートで確認できます。
WorkManager を含め、いくつかの Jetpack ライブラリは GitHub からの貢献を受け付けています。Alan Viverette が、プロセス全体について説明しているブログ記事(英語)を書いています。
2.5.0 リリースで修正されたバグのほとんどは、パブリック Issue Tracker で寄せられたものです。
修正につながる問題を登録するコツは、再現できる問題を登録することです。問題の再現に役立つように、WorkManager のサンプルを使うか、問題の説明に手順を記載して独自のサンプルコードを提供することをお勧めします。
ぜひこの機会に作業に着手し、アプリでこのライブラリのバージョンをアップデートしてください。