この記事は Dave Burke による Android Developers Blog の記事 " Android 12 Beta 3 and final APIs " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
私たちは、毎月 Android 12 の公式版リリースに近づけるための Beta 提供をを行っています。Android 12 には、革新的な機能や、ユーザーに適応する (英語) 新しい UI、パフォーマンスの向上、プライバシーの強化、セキュリティ上のメリットなどが含まれています。多くの皆さんが、Android 12 Beta プログラムを通じて既に Android 12 の開発やテストを行っています。これまでフィードバックを提供してくださった皆さん、どうもありがとうございました。
引き続き公式版のリリースを微調整する作業を継続していますが、先日 2021 年 7 月 14 日 (現地時間)にAndroid 12 Beta 3 をリリースしました。ぜひお試しください。Beta 3 には、スクロール スクリーンショット、プライバシー インジケーター API、自動回転の強化などのアップデートとともに、確定版の Android 12 API と公式 SDK も含まれています。以上の機能をもって、次回の Beta 4 での Platform Stability を待たずに、アプリのテストとアップデートを開始することができます。ぜひご自身のアプリやゲームのご準備をお願いいたします。
Beta 3 は、既に対象となる Pixel デバイスで利用でき、こちらから登録 (英語) すると OTA (無線) アップデートも行えます。Beta プログラムに登録済みの方は、自動的にアップデートを受け取ります。パートナーのデバイスメーカーである、シャープや TCL などの、一部のデバイスでも Android 12 Beta 3 を試すことができます。詳しくは android.com/beta をご覧ください。使用を開始する方法について詳しくは、Android 12 デベロッパー サイトにアクセスしてください。
Beta 3 には、機能、ユーザー エクスペリエンス、パフォーマンスを改善する様々なアップデートが含まれています。ここでは、いくつかのポイントを紹介します。
スクロール スクリーンショット - スクロールするコンテンツを簡単にキャプチャして共有できるように、スクロール スクリーンショットを追加します。Beta 3 以降では、スクロール可能なコンテンツのスクリーンショットをキャプチャする場合、[Capture more] ボタンが表示され、それを押すことでスクリーンショットを全コンテンツに拡張できます。その後、切り取る範囲を調整することもできます。
設定アプリでのスクロール スクリーンショットのキャプチャ例
スクロール スクリーンショットは、ほとんどのアプリでそのまま動作します。標準のビューベースの UI を使っているアプリでは、何の変更も必要ありません。ビューベースの UI を使わないアプリや UI ツールキット、または高度にカスタマイズされた UI でスクロール スクリーンショットをサポートするために、新しい ScrollCapture API (英語) を導入しています。この API を使うと、システムはアプリにスクロール キャプチャ リクエストを通知するとともに、UI を描画する Surface を提供します。スクロール スクリーンショットに関する反復作業はまだ続いています。Beta 4 では、スクロールする ListView など、デフォルトのサポートが改善される予定です。また、Web コンテンツなどサポート対象のコンテンツを増やすための作業も行っています。引き続き、皆さんのフィードバックをお待ちしています。
オンデバイス検索 - Beta 3 では、新しい高パフォーマンス オンデバイス検索エンジンである AppSearch がプラットフォームでサポートされます。AppSearch (英語) を使うと、アプリが構造化データをインデックスに登録したり、組み込みの全文検索機能を使って検索したりできます。非常に効率的なインデックスの登録や検索、多言語サポート、関連度ランキングなどのネイティブ機能を使うこともできます。
AppSearch には、ローカル インデックスとセントラル インデックスという 2 つの仕組みを搭載しています。ローカル インデックスはアプリで利用でき、新しい AppSearch Jetpack ライブラリを通して下位互換性も提供されます。セントラル インデックスは、Android 12(およびそれ以降のリリース)のシステム全体で維持されます。セントラル インデックスを利用すると、オプトアウトしない限り、システム UI の表層にアプリのデータが表示されます。さらに、他のアプリと安全にデータを共有し、自分のアプリのデータだけでなく他のアプリのデータも検索できるようになります。詳しくはこちらをご覧ください。(英語)
WindowInsets のプライバシー インジケーター API - Beta 2 では、アプリがデバイスのカメラまたはマイクを使っているときに、ステータスバーにプライバシー インジケーターが表示されるようになりました。アプリが没入モードのときにインジケーターが表示されると、コントロールやコンテンツが隠れてしまう可能性があるので、アプリはインジケーターを描画できる場所を把握し、有用なコンテンツが隠れないように必要な調整を行う必要があります。Beta 3 では、WindowInsets (英語) に新しくプライバシー インジケーター API (英語) を追加します。これを使うと、インジケーターの最大領域と画面上での相対的位置を取得できます。現在の画面の向きや言語設定も考慮されます。詳しくはこちらをご覧ください。
カメラとマイクの切り替えの企業設定 - Beta 2 では、新しい切り替え機能も導入し、すべてのアプリでユーザーが即座にデバイスのマイクやカメラをオフにできるようにしました。フルマネージド デバイスに必要な制限を設定できる企業の管理者は、この機能にアクセスできるようになります。詳しくはこちらをご覧ください。(英語)
CDM でペア設定され、フォアグラウンド サービスを開始するアプリの新しいパーミッション - システムの透過性を提供しつつ、コア機能を担うコンパニオン アプリのサポートを向上させるため、Companion Device Manager(CDM)とペア設定されたアプリは、新しい通常のパーミッションを宣言することで、バックグラウンドからフォアグラウンド サービスを起動できます。詳しくはこちらをご覧ください。(英語)
自動回転の向上と高速化 - 画面を回転させるタイミングを正確に認識できるように、前面カメラによる顔検出を使って Android の自動回転機能を強化しました。この機能は、ソファやベッドで横になりながらデバイスを使う場合などに特に便利です。デベロッパーにとっては、ユーザーが設定でオプトインした場合、自動回転の動作のユーザー エクスペリエンスが向上することになります。この自動回転機能の強化は、最近発表された Private Compute Core (英語) の機能です。そのため、画像が保存されたり、デバイス外に送信されたりすることはありません。Beta 3 では、この機能は Pixel 4 以降の Pixel デバイスで利用できます。
すべてのデバイスで画面の回転をできる限り高速化するため、アニメーションと再描画を最適化し、ML を利用したジェスチャー検知アルゴリズムを追加しました。その結果、ベースとなる自動回転機能の遅延が 25% 減少しました。顔検出による機能強化は、これらの改善が土台となっています。ぜひ改善された自動回転機能をお試しいただき、感想をお聞かせください。
ゲームに向けた Android 12 - Game Mode API (英語) を使うと、プレーヤーがゲームのパフォーマンス プロファイル(長時間通勤用に電池寿命を延ばす、パフォーマンス モードで最高のフレームレートを実現するなど)を選択する操作に応答できます。この API は、近日中に公開されるゲーム ダッシュボードと連携します。ダッシュボードでは、ゲームプレイ中に重要なユーティリティにすばやくアクセスできるオーバーレイ エクスペリエンスが提供されます。ゲーム ダッシュボードは、一部のデバイスで今年中に利用できるようになる予定です。
Android 12 での Touchgrind BMX の Play as you download
それまでの間は、インストール時にバックグラウンドでゲームアセットをフェッチできるようにする Play as you download (英語) を使って、プレーヤーをすばやくゲームプレイに導くことができます。
Android 12 のすべての新機能について知りたい方は、Android 12 デベロッパー Web サイトをご覧ください。
この数週間、Android 12 API を確定する作業を行ってきました。そして Beta 3 で、公式の API レベル 31 SDK と併せて確定版 API をリリースします。Beta 4 では完全な プラットフォームの安定版に到達する予定です。この段階では、API サーフェスに加えて、アプリ向けのすべてのシステム動作と非 SDK インターフェースの制限も確定します。
Android 12 API でアプリをコンパイルする場合は、今回のリリースを使って環境をアップデートし、確定版の SDK と最新ツールでアプリを再コンパイルすることをお勧めします。
Pixel などの対応デバイスで Android 12 Beta を利用するアーリー アダプターやデベロッパーが増えてきた今が、アプリを Android 12 Beta 3 に対応する絶好のタイミングです。
Beta 3 でアプリの互換性テストを行うには、Android 12 Beta を実行しているデバイスかエミュレータに、Google Play や他のソースで公開されているバージョンをインストールします。そしてアプリのすべてのフローを試し、機能や UI の問題を探します。変更によってアプリが影響を受ける領域を集中的にテストするため、動作の変更点を確認してください。この段階では、アプリの targetSdkVersion を変更する必要はありません。問題が解決できたら、Android 12 Beta のユーザー向けにできる限り早くアップデートを公開することをお勧めします。
前述のとおり、Android 12 は次のリリースとなる Beta 4 で Platform Stability に到達します。Platform Stability では、アプリに面するすべての動作、SDK/NDK API、非 SDK 制限が確定します。このタイミングで最終的な互換性テストを終え、完全に互換性があるバージョンのアプリ、SDK、ライブラリのリリースをしてください。デベロッパー向けの Android 12 のタイムラインの詳細は、こちらをご覧ください。
今回の Andorid 12 Beta 3 リリースには、Android 12 の最新機能を試し、アプリの動作をテストしてフィードバックを提供するために必要なすべてのものが含まれています。サポート対象となっている Pixel デバイスを登録するだけで、OTA(無線)でアップデートを入手できます。また、Android 12 に対応したアプリの開発を行うために、Android 12 SDK をセットアップしてください。
Android 12 Beta 3 は、シャープや TCL などの一部の主要メーカー パートナーのデバイスでも利用できます。Android 12 Beta に対応しているデバイス パートナーの全リストは、android.com/beta に掲載されています。さらに幅広くテストしたい場合は、Android GSI イメージで Android 12 Beta をお試しください。デバイスをお持ちでない場合は、Android Emulator でテストできます。
Beta 3 は Android TV でも利用できるので、ADT-3 デベロッパーキットを使って、新しくなった Google TV エクスペリエンスで最新の TV 機能を確認したり、アプリをテストしたりできます。詳しくはこちらをご覧ください。(英語)
Android 12 Beta の詳細については、Android 12 デベロッパー Web サイトをご覧ください。
Reviewed by Tamao Imura - Developer Marketing Manager, Google Play