この記事は Dave Burke による Android Developers Blog の記事 " Android 12 is live in AOSP! " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
2021 年 10 月 4 日 (日本時間 10 月 5 日) 、ソースを Android オープンソース プロジェクト(AOSP)にプッシュし、Android の最新バージョンを正式にリリースしました。お手元のデバイスに配信される Android 12 にご注目ください。今後数週間で Pixel に、その後今年中に Samsung Galaxy、OnePlus、Oppo、realme、TECNO、Vivo、Xiaomi の各デバイスに配信されます。
いつものことですが、Android 12 ベータ版期間中のフィードバックをありがとうございました。225,000 人以上の方が Pixel やパートナー デバイスで早期リリースをテストし、リリースの品質を改善するために 50,000 件近くの問題を報告してくれました。また、多くの記事やディスカッション、アンケート、そして直接顔を合わせて意見を述べてくださった皆さんや、リリースに間に合うようにアプリの互換性対応を行ってくださった皆さんにも感謝いたします。Android があらゆる人のための偉大なプラットフォームであるのは、皆さんのサポートや貢献があってこそです。
また、10 月 27 日から28 日に開催される今年の Android Dev Summit (英語)では、Android 12 についてさらに詳しくお伝えする予定です。各セッションの動画は、後日日本語字幕もご用意いたしますので、YouTube の「設定」から日本語字幕をオンにしてご覧ください。Android テクニカル セッションの概要など、イベントについての詳細情報も公開されています。この記事でも、後ほど改めてお知らせします。
ここでは、デベロッパーのための Android 12 の新機能をいくつか紹介します。Android 12 デベロッパー サイトでは、すべての新機能について詳しく説明しているので、そちらもご覧ください。
Material You - Android 12 には、Material You (英語) と呼ばれる新しいデザイン言語が導入され、今まで以上にパーソナライズされた美しいアプリを構築できるようになっています。最新のマテリアル デザイン 3 アップデートのすべてをアプリに組み込むには、アルファ版の Material Design Components をお試しください。また、近日中に公開される Jetpack Compose のサポートにも注目です。
通知 UI のアップデート - 通知のデザインも更新し、モダンで使いやすく、便利になりました。Android 12 をターゲットとしたアプリ では、カスタム通知も標準のアフォーダンスで装飾されるようになり、その他すべての通知との一貫性が向上します。詳しくはこちらをご覧ください。
ストレッチ オーバースクロール - アプリのコンテンツをスクロールするときのスムーズさを向上させるため、Android 12 をターゲットとしたアプリでは、すべてのスクロール コンテナに新しい「ストレッチ」オーバースクロール効果が追加されています。この効果は、システムとアプリ全体に共通する自然なスクロール終了インジケーターになります。詳しくはこちらをご覧ください。
アプリ起動時のスプラッシュ画面 - Android 12 をターゲットとしたアプリ では、すべてのアプリにスプラッシュ画面が導入されます。アプリのスプラッシュ画面はさまざまな方法でカスタマイズできるので、アプリ独自のブランディングのニーズを反映できます。詳しくはこちらをご覧ください (英語) 。
システム パフォーマンスの高速化と効率化 - コア システム サービスが利用する CPU 時間を 22%、ビッグコアの利用を 15% 削減しました。また、アプリの起動時間を短縮し、アプリを速く読み込めるように I/O を最適化しました。さらに、データベース クエリでは、大きなウィンドウの CursorWindow を 49 倍近く高速化しました。
フォアグラウンド サービスの最適化 - ユーザー エクスペリエンスを向上させるため、Android 12 ではバックグラウンドのアプリがフォアグラウンド サービスを開始できないようになっています。それに代わる新機能として、アプリは JobScheduler で優先ジョブ (英語) を利用できます。詳しくはこちらをご覧ください。
通知のレスポンシブ性の向上 - Android 12 では、通知トランポリンが制限されるので、通知からアプリを起動する際の時間が短縮されます。たとえば、通知トランポリン削除後の Google フォト アプリは、34% 高速に起動するようになっています。詳しくはこちらをご覧ください。
パフォーマンス クラス - パフォーマンス クラス は一連のデバイス機能で、Android 12 デバイスで要求の厳しいユースケースや高品質なコンテンツをサポートします。アプリは、実行時にデバイスのパフォーマンス クラスを確認することで、デバイスのパフォーマンスを最大限に活用できます。詳しくはこちらをご覧ください。
機械学習の高速化 - Android 12 では、Neural Networks API を通して ML アクセラレータを限界まで活用し、常に最大限のパフォーマンスを発揮できるようになっています。また、ML アクセラレータ ドライバは、プラットフォーム リリースとは独立して Google Play 開発者サービスでアップデートできるようになるので、互換性のあるすべてのデバイスで最新ドライバのメリットを活用できます。
おおよその位置情報 - ユーザーは位置情報データをさらに細かくコントロールできるようになり、アプリが厳密な位置情報をリクエストした場合でも、おおよその位置情報のみを許可できるようになります。詳しくはこちらをご覧ください。
マイクとカメラのインジケーター - アプリがデバイスのカメラやマイクを使っているタイミングを、ステータスバーのインジケーターでユーザーに知らせます。詳しくはこちらをご覧ください。
マイクとカメラの切り替え - サポート対象のデバイスで、クイック設定の新しい切り替え機能から、アプリからのマイクやカメラに対するアクセスをすぐに簡単に無効化できるようにします。詳しくはこちらをご覧ください。
周辺デバイス権限 - アプリで新しい権限を使うと、位置情報の権限がなくても、周辺デバイスのスキャンやペア設定を行えます。詳しくはこちらをご覧ください。
リッチ コンテンツの挿入 - 新しい統合 API を使うと、UI で任意のソース(クリップボード、キーボード、ドラッグ アンド ドロップ)からリッチ コンテンツを受信できます。下位互換性を確保するため、この統合 API は AndroidX にも追加しています。詳しくはこちらをご覧ください。
角の丸い画面のサポート - 多くの最新デバイスで、角の丸い画面が使われています。こういったデバイスで優れた UX を提供するため、新しい API を使って角に関する詳細な情報を問い合わせ、必要に応じて UI 要素を管理できます。詳しくはこちらをご覧ください。
互換メディア コード変換 - HEVC 形式の動画は画質と圧縮率が大幅に向上しており、すべてのアプリでこの形式のサポートが推奨されています。それができないアプリでは、互換メディア コード変換機能を使って AVC ファイルをリクエストすると、システムがコード変換を行ってくれます。詳しくはこちらをご覧ください。
ぼかしや色フィルタなど、エフェクトの使い勝手の向上 - 新しい API では、ビューやレンダリング階層でよく使われるグラフィック エフェクトを適用しやすくなっています。RenderEffect (英語) を使うと、RenderNode (英語) やビューにぼかしや色フィルタなどを適用できます。新しい Window.setBackgroundBlurRadius() (英語) API を使うと、ウィンドウの背景にすりガラス エフェクトをかけることもできます。また、blurBehindRadius (英語) を使うと、ウィンドウの後ろにあるすべてのコンテンツをぼかすことができます。
触覚フィードバックの拡張 - Android 12 では、UI イベントに対する効果的な触覚フィードバック、ゲーム向けの迫力ある楽しい効果、生産性を高めるために注意を促す触覚フィードバックを作成するツールを拡張しています。詳しくはこちらをご覧ください。
新しいカメラ効果とセンサー機能 - アプリで新しいベンダー拡張機能 (英語) を使うと、ぼけ、HDR、ナイトモードなど、デバイス メーカーが組み込んだカスタムのカメラ効果を活用できます。新しい API では、Quad / Nona Bayer パターンを利用する超高解像度カメラセンサーをフル活用することもできます。詳しくはこちらをご覧ください。
ネイティブ コードでのクラッシュのデバッグの改善 - Android 12 では、今までよりも実用的な診断情報が提供されるので、NDK 関連のクラッシュのデバッグが簡単になります。App Exit Reasons API (英語) を使うと、アプリから Tombstone と呼ばれる詳細なクラッシュ ダンプファイルにアクセスできます。
Android 12 でのゲーム - Game Mode API (英語) を使うと、プレーヤーがゲームのパフォーマンス プロファイル(長時間通勤用にバッテリー寿命を延ばす、パフォーマンス モードで最高のフレームレートを実現するなど)を選択する操作に応答できます。インストール時にバックグラウンドでゲームアセットをフェッチできるようにする Play as you download を使うと、プレーヤーをすばやくゲームプレイに導くことができます。
Android 12 が一般公開リリースされたので、ユーザーがスムーズに Android 12 に移行できるよう、すべての Android デベロッパーの皆さんに互換性テストを終えてできる限り早くアップデートを公開することをお願いします。
アプリの互換性をテストするには、Android 12 が動作するデバイスにインストールし、アプリのフローを確認して機能や UI の問題を探します。Android 12 でのすべてのアプリが対象となる動作の変更点を確認し、影響を受ける可能性がある領域を集中的にテストしてください。特にテストしておくべき変更点は、以下のとおりです。
アプリのライブラリや SDK の互換性テストも忘れずに行ってください。SDK の問題を見つけた場合は、最新バージョンの SDK にアップデートするか、デベロッパーに連絡してサポートを求めます。
現在のアプリの互換性のあるバージョンを公開したら、アプリの targetSdkVersion をアップデートするプロセスを開始できます。Android 12 アプリの動作の変更点を確認し、互換性フレームワークを使って問題をすばやく検知します。
#AndroidDevSummit (英語) が帰ってきます。10 月 27 日から28 日(日本時間 10 月 28 日 - 29 日) に開催される、イベントでは、Android 12 を含む Android 開発の最新情報をご紹介します。今年のテーマは、Excellent apps, across devices(デバイスを超える優れたアプリ体験)です。開発ツールや API、タブレットやウェアラブルを含む数十億台のデバイス間で使用できる優れたアプリの開発や、生産性向上を支援する技術についてお話しする予定です。
30 以上の Android テクニカル セッションの概要など、イベントについての詳細情報も公開されました。セッションの情報はこちら(英語) から確認できます。どのセッションに参加するか、計画を立て始めましょう。今後数週間のうちに、皆さんの質問を #AskAndroid に共有することをお願いする予定です。寄せられた質問には、Android チームがイベントの中でライブで回答します。
イベントは、太平洋時間の 10 月 27 日午前 10 時(日本時間 28 日午前 2 時)に開催される 50 分の技術関連の基調講演「The Android Show」でキックオフします。ここでは、Android デベロッパー向けのあらゆる最新ニュースや最新情報を共有しますこちら (英語) のニュースレターに登録して最新情報を受け取りましょう。
Reviewed by Tamao Imura - Developer Marketing Manager, Google Play