この記事は Amanda Alexander による Android Developers Blog の記事 " Android Studio Arctic Fox (2020.3.1) Stable " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
Android Studio Arctic Fox が、安定版リリース チャンネルでダウンロードできるようになったことをお知らせします。この最新リリースでは、Android の新しいネイティブ UI 構築ツールキットである Jetpack Compose 1.0 を利用できます。さらに、Wear OS を含むデバイスにも注力し、新しい Background Task Manager などのデベロッパーの生産性を高める機能も搭載されています。皆さんのフィードバックをもとに開発されたこの新しい Android Studio 機能のスイートは、デベロッパー コミュニティがさまざまなデバイスで動作する質の高い最先端のアプリを迅速に作るために役立つことができれば幸いです。
注 : 昨年発表した通り、Android Studio のバージョン番号体系を Android Studio のベースになっている IntelliJ IDEA の年とバージョンに一致させ、そこに独自のパッチ番号を付加するように変更しました。今後はコードネーム(アルファベット順)を利用します。最初は Arctic Fox で、次は Bumblebee(現在カナリー版)です。Android Studio Arctic Fox(2020.3.1)では、Android Studio が IntelliJ プラットフォームのバージョン 2020.3 にアップデートされます。これには、デバッガ インタラクティブ ヒント、VCS のアップデート、いくつかの新しいコードエディタの強化など、ワークフローを高速化するたくさんの新機能が含まれています。詳細はこちらをご覧ください。(英語)
最新 UI をすばやくデザインできるように、Jetpack Compose 用の追加機能も搭載しています。Compose プレビューを使うと、Compose UI の複数のコンポーネントのプレビューを作成し、さまざまな要素(テーマ、画面、フォントサイズなど)にわたって変更の影響を即座に確認できます。デバイスへのデプロイ プレビュー機能では、Compose コードのスニペットを直接デバイスやエミュレータにデプロイし、小さなコードをすばやくテストできます。レイアウトを詳しく調べたい場合は、Layout Inspector に追加された Compose サポートを使って、レイアウトがどのようにレンダリングされるかを理解できます。さらに、リテラルのリアルタイム編集を追加しました。エミュレータや実機でアプリを動作させるときに、コンパイルを行うことなく、プレビューで Compose コードの変更を即座に確認できます。
サポート対象のデバイスを増やすため、新しい Wear OS ペア設定アシスタントを構築し、Wear OS エミュレータと物理スマートフォン、仮想スマートフォンとのペア設定を簡単に行えるようにしました。Wear OS の最新バージョンを使うには、Wear OS 3 システム イメージのデベロッパー プレビューをご利用ください。Wear OS エミュレータを実行すれば、心拍数センサー API のサポートが追加されていることにも気づくはずです。Google TV をターゲットにするアプリのために、最新の Google TV リモート コントロール機能を追加し、Google TV システム イメージをアップデートして最新の UI デザインを反映しました。さらに、Automotive OS で、運転に関するユースケースをシミュレーションするため、エミュレータで自動車センサーデータを利用できるようにして開発とテストのワークフローを完成させました。タブレットをターゲットにするアプリのために、すぐに横向きをサポートできるようにすべてのテンプレートを更新しました。開発のターゲットとなるデバイス画面の大小にかかわらず、新たな方法の導入とアプリの構築を継続するうえで役立つ新機能が含まれています。
最後に、デベロッパーの皆さんの生産性を向上させるために、作業の効率化に役立つ機能の追加についてご紹介します。たとえば、次期バージョンの Android アプリを構築する際のガイドとして、Android 12 向けの lint チェックを追加しました。コードのテストに役立ててもらうため、Layout Editor に Accessibility Scanner を追加し、レイアウトのユーザー補助に関する問題を簡単に見つけられるようにしました。また、新しいテスト マトリックスを使うと、複数のデバイスで並列実行されるテスト結果をリアルタイムに確認できます。さらに、Apple Silicon(arm64)ハードウェアのプレビュー サポートを追加し、幅広いテストをサポートできるようにエミュレータのコントロールを拡張しました。加えて、デバッグ用の新しい Background Task Inspector を使うと、アプリのバックグラウンド ワーカーを分析できます。
Android Studio Arctic Fox には、たくさんの機能強化が含まれています。すべての変更点のリストを確認したい方は、Android Studio Arctic Fox(2020.3.1)Beta リリースブログとリリースノートをご覧ください。以下では、主な変更点について紹介します。
Android Studio Arctic Fox の新機能
@Preview アノテーションを使うと、Compose コードのプレビューを生成して複数のコンポーネント(デバイス、テーマなど)をさまざまな構成で表示できます。Compose プレビューを活用すれば、コードで Composable のメンタル マッピングを簡単に作成できます。
Compose プレビュー
すべて Compose で書かれたアプリでも、Compose とビューを併用したアプリでも、Layout Inspector を使えばレイアウトの詳細を確認したり、トラブルシューティングを行ったりできます。たとえば、各 Composable に渡されたパラメータや修飾子を確認できます。アプリを開発する際に、ライブ アップデートを有効にしてデバイスからデータをストリーミングすることもできます。
Compose Layout Inspector
リテラル(文字列、数値、ブール値など)をインラインで編集すると、コンパイルしなおすことなく、変更の結果を画面(プレビュー、エミュレータ、実機)ですぐに確認できます。
リテラルのライブ編集 : 文字列を編集するとプレビューに即時反映
新しい Wear OS ペア設定アシスタントは、順を追ってペア設定プロセスを案内してくれるので、Wear OS エミュレータと仮想または物理スマートフォンのペア設定が簡単になります。なお、この機能は、Wear OS 2 コンパニオンとのペア設定をサポートします。Wear OS 3 は近日中にサポートされる予定です。詳細はこちらをご覧ください。
Wear OS エミュレータ ペア設定アシスタント ダイアログ
スマートフォン + スマートウォッチ エミュレータのペア設定が成功した状態
API レベル 26 以上を実行しているデバイスで WorkManager ライブラリ 2.5.0 以上を使っている場合、新しい Background Task Inspector を使ってアプリのバックグラウンド ワーカーを視覚化、監視、デバッグできます。メニューバーから [View] > [Tool Windows] > [App Inspection] を選択してアクセスできます。詳細はこちらをご覧ください。
Background Task Inspector
まとめると、Android Studio Arctic Fox(2020.3.1)安定版には、以下の機能強化と新機能が含まれています。
詳細は、Android Studio のリリースノート、Android Gradle プラグインのリリースノート、Android Emulator のリリースノートをご覧ください。
最新バージョンの Android Studio Arctic Fox はダウンロード ページ(英語)から、Apple Silicon プレビュー ビルドはこちら(英語)からダウンロードできます。Android Studio の以前のリリースをお使いの方は、最新バージョンの Android Studio にアップデートするだけで利用できます。Android Studio の安定バージョンを保持する必要がある場合、Android Studio Arctic Fox の安定リリース バージョンとカナリー リリース バージョンを同時に実行することができます。詳細はこちらをご覧ください。
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Reviewed by Tamao Imura - Developer Marketing Manager, Google Play