Android Developers Japan Blog: Google for Games Developer Summit 2021 Recap

日本のデベロッパーの方へ Google Play や Android に関する最新情報をお届け

Google for Games Developer Summit 2021 Recap | Japan を開催いたしました

2021年9月3日金曜日

Google for Games Developer Summit 2021 Recap | Japanこのイベントでは、Android/Google Play のゲーム向け製品開発の責任者である Greg Hartrell の基調講演の内容を中心に日本の Google 関係者が解説を行いました。この記事では、イベント内で解説した内容とご紹介した関連動画やリソースをまとめます。
エコシステム関連のアップデート

2020 年は、世界中で Android の月間アクティブ端末数は 30 億台、Play の月間アクティブユーザー数は 25 億人と新たなステージに到達し、多くの人が自宅で安全に、更に多くのゲームを楽しむようになりました。私たちは、Google Play をユーザーにとってよりよい場所にし続けることで、ゲームデベロッパーが世界中の様々なユーザーとつながることができる、より豊富な機会を提供してきました。

また、BRIIM 地域の成長も著しく、ここ数年、ユーザーボリュームだけでなく、売上も徐々に期待が持てるような兆候が見えてきていることが特徴です。データと分析結果を提供するリーチとデバイス、対象マーケットで 10-30 米セント相当の価格を設定できる 1 ドル未満の価格設定などの機能やツールをご活用いただき、これらの地域でのビジネス展開の可能性を模索してください。

そして、デベロッパーが持続可能なビジネスを構築できるよう支援することも、Google Play の重要なミッションのひとつです。そのため、2021 年 7 月 1 日より、ビジネスの大小に関わらず、すべての Google Play 上のデベロッパーに対し、年間合計収益が 100 万米ドルに達するまではサービス手数料の減額を適用します。適用されるには Google Play Console 上でアカウントグループを作成する必要がございますので、まだご対応を頂いていないデベロッパーの方は、こちらの登録方法をご確認いただき、登録をお願いします。

その他のエコシステム全体へのコミットメントとしての施策として、今年もインディーゲームフェスティバルを開催します。2018 年より開催していて今回で 4 回目となるこのイベントは、インディーゲームとそのデベロッパーの革新性や独自性を称えるために Google Play が主催しているイベントです。今年は 13 歳以上の学生を対象にした学生部門賞も新設いたしました。9 月 4 日 15:00 - 開催されるファイナルイベントにてトップ 10、トップ 3、学生部門賞を含む特別賞を発表いたしますので、ぜひご視聴ください。

プロダクト関連のアップデート (技術編）

Android Game Development Kit (AGDK) をリリースしました。これは包括的なツールとライブラリのパッケージで、高品質の Android ゲームを開発、最適化、配信する際に役立ちます。AGDK は 3 つのグループから成り立っています。1 つ目のグループは、Visual Studio 開発ツールやゲームエンジン用プラグイン、2 つ目のグループは、Game Activity, Game Text Input など開発時に使用して頂くライブラリ群、そして3 つ目のグループは、GPU profiling のためのツールや Android Performance Tuner などのゲームのパフォーマンスの最適化のためのツールやベストプラクティス情報です。これらを通じて、デベロッパーの皆さんが、Android 向けゲームを開発する際の環境をさらに充実させ、既存タイトルを Android 向けに最適化するのにも役立つツールやノウハウを提供できればと考えています。

Android 12 では、ユーザー目線、ゲームデベロッパー目線という視点から、3 つの新たな領域に取り組んでいます。

最初に、ユーザー目線の話として、ゲームダッシュボードをご紹介しました。ゲーム中、オーバーレイ表示によって、スクリーンキャプチャや録画などの重要なユーティリティにすばやくアクセスできるようにする機能です。その他にも、ゲームプレイに集中している間は通知などが制限できる Do not disturb mode、また、端末に合わせて、バッテリーの最適化ができるようにゲーム動作を合わせる機能など、ユーザー目線の項目や機能を多く備えています。ゲームダッシュボードは、一部のデバイスで今年中に利用できるようになる予定です。
次に、ゲームデベロッパー目線の話として、Game Mode API (英語) をご紹介しました。ユーザーの設定している好みの動作モードをゲーム側で読み取り、Android Manifest を通じて、どのモード（パフォーマンス重視、バッテリー制御重視、バランスを重視など）をゲーム側が許可したいのかを設定するための API です。
最後に、2 つ目のデベロッパー目線の話として、Game Performance Interventions (英語) をご紹介しました。この機能は、ゲームの実装内容を変更せずとも、OS 側からゲームのパフォーマンスを最適化する取り組みです。Graphics API を最適化する ANGLE というフレームワークや、WindowManager Resizer という画面の解像度が必要以上に高い場合に、端末に合わせて解像度を低くすることでパフォーマンスの向上を図る機能を含んでいます。こういったデベロッパー目線の機能は、最初の段階では、各ゲーム会社と連携しながら、機種ごと、ゲームタイトルごとの設定を行っていければと考えています。最終的に、Android のゲーム体験をより一層優れたものにすることで、ゲームビジネス全体の成功にも繋げていきたいと考えています。

Android 12 のその他の新機能として、Play as you download もご紹介しました。ゲームアセットをバックグラウンドダウンロードすることで、ゲームをインストール開始後に短時間でプレイ開始できるようにする機能です。いわばダウンロード処理の自動最適化とも呼べる機能で、アプリが公開された後、ユーザーの端末でのダウンロード傾向を計測し、それに応じてアプリの中で最初にダウンロードすべきデータ内容を Google Play が自動的に組み立てることにより、プレイ開始までのユーザーの待ち時間を短縮します。これにより、ユーザー獲得をより強力に支援できればと考えています。なお前提要件として、Android App Bundle、Play Asset Delivery に対応をして頂く必要があります。

セキュリティツールに関しても、最新情報を発表いたしました。従来の SafetyNet Attestation API のアップグレードとしてご紹介しました Play Integrity API (EAP) は、ゲームのバイナリーが改変されていないか、端末そのものが改変されていないか、アプリやゲームが Google Play ストアから適切にダウンロードされたものかどうかなどが確認できる API です。デベロッパーの皆さんが日々行われているセキュリティ対策のための 1 つのツールとして、ご活用いただければと考えています。

プロダクト関連のアップデート (ビジネス編）

Google Play のコマース機能関連のアップデートとして、Google I/O でもご紹介した、複数購入機能についても再度お話をいたしました。今年リリース予定のこの機能は、ユーザーがカートの複数のアイテムを一度に購入できるようにする機能です。また、一定の期間だけコンテンツにアクセスできるプリペイドプランも導入する予定です。これらの新機能は、Google Play Billing Library バージョン 4.0 を組み込むと利用できるようになります。Google Play Billing Library は、最新の決済方法やプロモーション機能への対応、時間差の決済 (コンビニなどでの現金支払い)、定期購読の最新機能への対応などを考慮して、日々進化を続けております。新規アプリは 2021 年 8 月 2 日までに、既存アプリのアップデートは 2021 年 11 月 1 日までに、バージョン 3.0 以降を組み込む必要がありますので、ご留意ください。

日本ではまだローンチしていない Google Play Pass ですが、このプログラムに参加しているアプリやゲームのデベロッパーは、対象の市場で Google Play の収益が平均して倍以上になっています。イベント内では、国外市場で既に Google Play Pass を活用されている日本のゲームデベロッパー様の事例もご紹介をいたしました。

また、イベントでは Google Play Points に関しても触れ、日本での加盟者数が 1000 万人を超えており、Google Play 特有のベネフィットとしてユーザーの方々から大変良い評価を頂戴している事もお話をさせていただきました。

その他にも、イベント内では、海外デベロッパーの事例が聞けるセッションのご紹介も行いました。

All About Battle Passes セッションは、Supercell、Small Giant Games, FunPlus の 3 社がバトルパスやシーズンパスと呼ばれるゲーム内の仕組みをどのような考えのもとで導入し、その結果どのような影響がゲームやユーザーコミュニティにあったのかということを説明しているセッションとなっております。

Developer journey from PC/console to mobile セッションは、2K, Riot Games, Wizards of the Coast といった PC やコンソール、トレーディングカードゲーム領域におけるトップカンパニーのエグゼクティブ達がそれぞれの領域で数十年続く IP をどのような思想のもとモバイルに持ってきたか、そしてその過程でどのような試行錯誤や、チャレンジがあったのかを語っているパネルです。世界中のファンに愛される IP 作りやモバイルの担う役割についてのヒントが得られるセッションとなっております。

なお、イベントのアーカイブ配信は、こちらのウェブサイトから登録後、いつでもご視聴いただけます。イベントを見逃した方は、ぜひアーカイブ配信もご活用ください。ウェブサイト上では、イベント内でご紹介した URL も多数公開していますので、こちらのリンク集からご確認ください。

Written by Tamao Imura - Developer Marketing Manager, Platforms and Ecosystems, Reviewed by Chongsa Kim - Head of Japan Games Google Play Partnerships and Ryosuke Matsuuchi -Developer Advocate