この記事は Newzoo による Android Developers - Medium の記事 " Data and Insights Into Mobile Gamers in Western Europe " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
この記事は、Newzoo と Google とのコラボレーションの一環です。ここで説明されている市場規模の推定や予測はすべて、Newzoo が 2022 年 1 月に更新した “Global Games Market Report” に基づいています。
西ヨーロッパは収益額において(東アジアと北米に次ぐ)第 3 位のモバイル ゲーム市場で、2021 年のユーザー課金額は 70 億ドルを超えています。この記事では、このエキサイティングな市場に関する “Global Games Market Report” (英語) のデータの一部を紹介し、西ヨーロッパのモバイル ゲーマーの属性、支出額、好みのジャンル、ゲーム コンテンツの視聴行動に関する消費者分析 (英語) データに注目したいと思います。
2021 年末時点で、西ヨーロッパのモバイル ゲーマー数は約 2 億 900 万人に達しています。2022 年 1 月に更新された “Global Games Market Report” によると、西ヨーロッパにおけるプレーヤー数の増加は他の成熟したモバイル ゲーム市場を上回る見込みです。2019 年から 2024 年にかけて、西ヨーロッパのモバイル ゲーマーの数は、+2.3% の年平均成長率(CAGR)で増加すると見られています。これは、北米の +0.8% や東アジアの +2.2% よりも高い数値です。
東南アジア、南米、インド、中東、アフリカといった新興市場が急成長しているため、世界全体の成長率はさらに高くなっています(2019-2024 年 CAGR:+4.4%)。重要な点としては、西ヨーロッパには(高額)支出者が多いため、大きな収益が期待できる点です。
西ヨーロッパでは 2021 年、モバイル ゲームへのユーザーによる課金から生じた収益は 72 億ドルに上ります(広告収益を除く)。2020 年〜2021 年の期間にも収益は伸びてはいましたが、伸び率はその前の同時期よりも小さくなっています。
2020 年から 2021 年にかけてモバイル収益の伸びが鈍化しているのは、西ヨーロッパだけの現象ではありません。2020 年は、新型コロナウイルスによるロックダウンの影響で多くの新規プレーヤーやリピーターが集まり、ゲーム業界全体にとって歴史に残る 1 年となりました。
西ヨーロッパのモバイル ゲーム市場は健全です。Apple が 2021 年第 2 四半期に IDFA を廃止したことや新型コロナウイルス関連などの課題により、iOS のユーザー獲得数に影響が生じたものの、図からわかるように、2020 年から 2021 年にかけて西ヨーロッパのモバイル収益とプレーヤー数は拡大を続けています。西ヨーロッパで Android モバイル ゲームが 2021 年も安定した増加を続けた理由は、次のとおりです。
西ヨーロッパのモバイル ゲーム市場は長期的にさらに成長し、2024 年には 86 億ドルに達する見込みです。以下に挙げる要因が、この成長の原動力となっています。
ここまでは、西ヨーロッパのゲーム市場の概要についてお伝えしてきましたが、その原動力となっているのはどんなプレーヤーなのでしょうか。どのような属性の人々がどのくらいの額を費やしているのでしょうか。それでは、見ていきましょう。
西ヨーロッパのプレーヤーの行動と動機を把握するため、フランス、イギリス、ドイツ、イタリア、スペイン、オランダ、ベルギー、スウェーデン、フィンランドの 1 万人以上のモバイル ゲーマーを対象にアンケートを実施しました。ここでは、課金額に基づいて、西ヨーロッパのモバイル ゲーマーを次の 4 つのグループに分けています。
課金額が多いグループほど、男性の比率が増加します。下の図からわかるように、高額課金ユーザーの 62% が男性です。それに対して、平均的な課金額のユーザーは 60%、少額しか課金しないユーザーは 58%、全く課金しないユーザーは 47% が男性の比率です。
課金額が多いほど、年齢は若くなります。高額課金ユーザーと平均的な額を課金するユーザーの平均年齢は 31.4 歳ですが、少額しか課金しないユーザーは 33.3 歳、全く課金しないユーザーは 36.5 歳です。
当然かもしれませんが、ゲームへのエンゲージメントが一番高いのは高額課金ユーザーです(そのため、プレイ時間も長くなります)。ゲームプレイ行動と課金の傾向を組み合わせて分析したところ、その結果は一目瞭然でした。
もちろん、一部のゲーム ジャンルではプレーヤーはより長い時間を費やします。
西ヨーロッパのモバイル ゲーマーに、過去半年の間に最も長い時間プレイしたジャンルを尋ねました。特に課金額が多いゲーマーは、シューティング、アドベンチャー、格闘、バトル ロワイヤル、ロールプレイングなど、コアで複雑なジャンルのゲームを挙げる傾向にありました。パズルなどのカジュアル ゲームの人気が高かったのは、モバイルゲームに 1 か月当たり 25 ドル以上は使わない非高額課金ユーザーでした。
当然ながら、このようなジャンルの好みはモバイル ゲーマーが購入するコンテンツの種類にも現れています。
高額課金ユーザーはすべてのカテゴリで課金する可能性が高くなっています。高額課金ユーザーの間では、他のグループに比べて、装飾やスキンへの支出が一般的に行われています。少なくともこの一因として、平均的な額を課金するユーザーや少額の課金しか行わないユーザーが楽しんでいるカジュアル ジャンルには、装飾品やスキンを購入する選択肢が少ないことが挙げられます。カジュアル ゲームのゲーム内のアイテム課金の目的は、主に追加ライフや技、パワーアップなどです。
上の図からわかるように、高額課金ユーザーと平均的な額を課金するユーザーでは、ゲーム内通貨、新コンテンツ、パワーアップ、コンテンツ パス、タイムセーバーにつながるアイテムを強く好む傾向も見られます。
シーズン パスやバトル パスなどに代表されるコンテンツ パスは、モバイルゲームで特に人気が高まっており、パブリッシャーにとっては予測可能な定期収益源になっています。このような収益化は、Call of Duty Mobile や Clash of Clans など、西ヨーロッパで特に人気の高いコアなモバイル ゲームでよく行われています。
4,700 万人の視聴者に支えられている西ヨーロッパの e スポーツシーンは、2021 年に 2 億 960 万ドルの収益を生み出しました。2021 年のライブストリーミング視聴者(過去半年の間に 1 度でもライブストリーミング配信されるゲーム コンテンツを視聴したことがある人)は、9,130 万人に達しました。
西ヨーロッパのモバイル ゲーマーの間では、ゲームのストリーミング コンテンツへの関心が高まっています。私たちのユーザー分析によれば、モバイル ゲーマーの 45% がゲーム コンテンツのライブストリーム配信を視聴しています。また、同じくらいの比率のゲーマーが、収録されたゲーム コンテンツを視聴しています。
西ヨーロッパのモバイル ゲーマーの間で圧倒的な人気を誇っているゲーム ストリーミング プラットフォームは YouTube です。ゲーム コンテンツ視聴者のうち 90% 以上が週に 1 度以上 YouTube を見ると答えています。一方で、ライバルの Twitch、Facebook、Twitter、TikTok でも、50~60% の視聴者が週に 1 度以上視聴しています。
西ヨーロッパのモバイルゲーム市場についてさらに詳しく知りたい方は、こちら (英語) か questions@newzoo.com までご連絡ください。