この記事は Matthew McCullough による Android Developers Blog の記事 " What’s new from Android, at Android Dev Summit ‘22 " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
アメリカのベイエリアで Android Dev Summit (英語) が始まりました。そこでは、皆さんが最新の Android 開発を活用して、ユーザー向けのすばらしい体験を構築するたくさんの方法を紹介しました。最新の Android 開発は、リストサイズからタブレットや折りたたみ式の大画面まで、Android が提供するさまざまな画面サイズのデバイスでアプリの拡張を支援しています。
ここでは、内容をまとめて紹介します。基調講演全編 (動画/英語) も忘れずにご覧ください!
Android Dev Summit ‘22 基調講演
* 日本語字幕は、YouTube の字幕機能から日本語を選択してください
最新の Android 開発、略して MAD (Modern Android Development) と呼んでいる一連のライブラリ、ツール、サービス、ガイドを導入したのは数年前のことでした。Android Studio、Kotlin、Jetpack ライブラリ、そして強力な Google & Play 開発者サービスで私たちが目指しているのは、あらゆる Android デバイスに対応した高品質なアプリを速く簡単に開発できるようにすることです。
何年か前には、美しく高度な UI を作れるように Jetpack Compose を導入しました。これは、新しい Android アプリの推奨 UI フレームワークになっています。
また、安定版の Compose ライブラリを指定した Gradle 部品構成表 (BOM) を導入しています。最初の BOM リリースとなる 22 年 10 月版 Compose (英語) には、マテリアル デザイン 3 コンポーネント、Lazy スタッガード グリッド、可変フォント、プルリフレッシュ、遅延リストのスナップ、キャンバスでのテキスト描画、テキストの URL アノテーション、ハイフネーション、LookAheadLayout が含まれています。Lyft のチームは、Compose を使うことで大きなメリットを実現し、「今では、すべての新機能のコードの 90% 以上を Compose で開発しています」 (英語) と話しています。
私たちは、Android のデバイス エコシステム全体を活用してもらうために Compose を役立てたいと考えています。Compose for Wear OS は、数週間前に 1.0 の安定版リリースに到達し、Wear OS での推奨の UI 開発方法になりました。2022 年 10 月 24 日は、さらにこの流れを拡大するため、Compose for Android TV の最初のアルファ版をリリースしました。フィーチャー カルーセルやイマーシブ リストなどのコンポーネントはすでに利用でき、近日中にさらに多くのコンポーネントが追加される予定です。Android を学習している方や新しいアプリを作ろうとしている方には、Jetpack Compose がお勧めです!
最新の Android 開発を実現しているのが、Android Studio (英語) です。公式 IDE である Android Studio には、あらゆる種類の Android デバイスに対応したアプリを開発するための強力なツールが搭載されています。22年 10 月版 Compose では、皆さんが試すことができるたくさんの新機能をリリースしています。デフォルトが Compose でマテリアル 3 を採用している更新版テンプレート、デフォルトでの Compose ライブ編集の有効化、コンポジションのトレース、Android SDK アップグレード アシスタント、App Quality Insights の改善などです。すべての機能は、Android Studio Flamingo の最新プレビュー版をダウンロード (英語) して試すことができます。ぜひ、フィードバックをお送りください。
今、ユーザーが注目しているのは、最も小さく身近なデバイス、つまりスマートウォッチです。昨年には、Samsung との合同プラットフォーム Wear OS を発表しました。そして今年は、Samsung Galaxy Watch 5 や Google Pixel Watch といったすばらしい新デバイスが登場したことで、デバイスのアクティベーション数が 3 倍になっています。Wear OS アプリの開発を速く簡単にする Compose for Wear OS は、この夏に 1.0 になり (英語)、Wear OS アプリで推奨の UI 開発方法になっています。20 を超えるウェアラブル専用 UI コンポーネントがデザインされており、マテリアル テーマやユーザー補助機能も組み込まれています。
2022 年 10 月 24 日に、Android Studio の Wear OS 向けテンプレートと、Wear OS の安定版 Android R エミュレータ システム イメージが更新されたことをお知らせします。
ウェアラブルからはパーソナライズされたデータが得られるので、データを公開せず、完全に安全な状態に保つことが重要です。そこで、それを簡単に実現するソリューションとして、ヘルスコネクトに取り組んできました。健康データを格納して共有する API は、Samsung と密接に連携して開発しました。ユーザーはこの 1 か所のみで、簡単にパーミッションを管理できます。
Wear OS に注力しているデベロッパーは、大きな成果を挙げています。Todoist は、アプリを Wear 3 向けに再構築して、インストールの増加率が 50% 上昇しました。また、Outdooractive は Compose for Wear OS を使って開発時間を 30% 短縮しました。他にはない魅力的な体験を Wear OS ユーザーに届けるなら、今が狙い目です!
* 日本語字幕は、YouTube の自動字幕機能から日本語を選択してください
以前もお知らせしたように、Google は全力を挙げてタブレット、折りたたみ式、ChromeOS に注力しています。Samsung Galaxy Z Fold4、Lenovo P12 Tab Pro、今後発売予定の Google の Pixel Tablet など、すばらしい新ハードウェアが登場する今こそ、アプリを見直して大画面に対応する絶好のチャンスです。私たちは、Android のアップデート、Google アプリの改善や Google Play ストアの変更といった作業に懸命に取り組んでおり、タブレットに最適なアプリを見つけやすくしています。
Android Studio Electric Eel では、サイズ変更可能なエミュレータとデスクトップ エミュレータ、どんなサイズの画面でもベスト プラクティスに従えるようにするためのビジュアル lint チェックなどを通して、これまでになく簡単にアプリを大画面でテストできるようにしています。
さらに、こういったデバイス向けのデザインやレイアウトのガイドを増やしてほしいという声も寄せられていることから、2022 年 10月 24日、developer.android.com を縦断した (英語) 新しいアプリ レイアウト ガイドと、正規レイアウト (英語) 向けのデベロッパー ガイドとサンプルを追加しました。
大画面機能に対応すると、アプリのエンゲージメントが向上します。たとえば Concepts (英語) の場合、描画機能や図形ガイドなどの優れたタッチペン操作を ChromeOS とタッチペン デバイスで実現したことで、タブレットでの使用がスマートフォンに比べて 70% 高くなりました。
Android Studio や Window Manager Jetpack などの改善に関する最新情報は、11 月 9 日にライブ中継されるフォーム ファクタ トラック (英語) をご覧ください。
成功につながるプラットフォームの中心となるのはオペレーティング システムです。そして、8 月にリリースされた Android 13 では、パーソナライズ、プライバシー、セキュリティ、接続性、メディアなど、プラットフォームの実にさまざまな面で機能強化が行われています。
たとえば、アプリ別の言語設定では、多言語ユーザーの操作が改善され、状況に応じてデバイスの言語を使い分けられるようになります。
パーミッションが不要な新しい写真選択ツールでは、ユーザーが写真や動画を閲覧して選択できますが、ユーザーが明示的にアプリと共有することを選んだものだけが対象になります。これは、Android がプライバシーを重視していることを示す好例です。
また、新しい API レベルをターゲットにしやすくするため、最新の Android Studio Flamingo のプレビュー版に Android SDK アップグレード アシスタント ツールを導入しています。特に重要な変更点について、手順が細かく記載されたドキュメントが提供されるので、アプリのターゲット SDK をアップデートする際に参考にできます。
ここで紹介したのは、ほんの一例に過ぎません。私たちは、Android が提供する最新機能 (英語) を活用できるようにしつつ、プラットフォームの変更にアプリを対応する作業をこれまで以上に簡単にしています。
プラットフォームについて知っておきたい 3 つのこと
Android Dev Summit の初日に基調講演を行い、最新の Android 開発に関する最初のトラック (英語) が始まりましたが、今後もまだまだ続きます。11 月 9 日には、次のトラック:フォーム ファクタ (英語) がライブストリームされるので、お楽しみに。最後のテクニカル トラックはプラットフォーム (英語) についてで、11 月 14 日にライブストリームされます。
どうしても聞いてみたい質問がある方は、#AskAndroid を使ってツイートしてください。毎回のトラックのライブストリームの最後には、ライブ Q&A でチームが皆さんの質問に回答しますので、ぜひご覧ください。
大変うれしいことに、今年は世界中のデベロッパーの皆さんと直接お会いできる機会があります。本日のベイエリアはその初回です。11 月 9 日には、Android Dev Summit をロンドンからお届けします。お楽しみは 12 月のアジアまで、各地で続きます。12 月 16 日には DevFest & Android Dev Summit Japan 2022 が東京で(詳細は後日)、12 月中旬にはバンガロールで行われます(参加希望はこちら (英語) から登録できます)。
Android をより良いプラットフォームにするためには、オンラインで参加する方も世界各地の会場に直接お越しになる方も含め、デベロッパーの皆さんのフィードバックが必要です。皆さんと一緒に優れたアプリを開発し、Android が提供するさまざまなデバイスでユーザーを喜ばせる機会をいただけたことに感謝します。どうぞ 2022 Android Dev Summit をお楽しみください!