この記事は Android Developers Team による Android Developers Blog の記事 " Outdooractive boosts user experience on wearable devices with 30% less development time using Compose for Wear OS " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
Outdooractive (英語) はヨーロッパ最大のアウトドア プラットフォームで、1,200 万人 (英語) を超える自然愛好家のグローバル コミュニティにトレイルマップや情報を提供しています。アウトドア活動の計画やナビゲーションに特化したプラットフォームである Outdooractive は以前より、ユーザー数の拡大にはスマートウォッチなどのウェアラブル デバイスが欠かせないと考えていました。ウェアラブルは、ナビゲーション ツールやアクティビティ トラッカーとしてユーザーに大きな価値を提供します。そのため、Outdooractive のデベロッパーは、Google から Android の新しい UI ツールキット Wear OS 向け Compose (英語) に関する打診を受けたとき、この成長市場でアプリを改善する絶好の機会だと考えました。
アプリの再構築に着手すると、Wear OS 向け Compose のメリットはすぐに明らかになりました。Outdooractive のデベロッパーは、開発時間を 30% ほど短縮でき、効率的なユーザー インターフェースを短時間で作成できるようになりました。Outdooractive のシニア プロジェクト マネージャーである Liam Hargreaves 氏は、「数日かかりそうなものが、数時間でできるようになりました」と話します。
コードベースの最新化と開発スピードの向上によって、デベロッパーが UI のコードを直感的に読み書きできるようになりました。また、デザイン フェーズでのプロトタイピングが高速になり、柔軟なコラボレーションができるようになりました。そのため、デベロッパーは、ユーザーのためにさらに便利な機能を作れるようになっています。
Outdooractive のアプリが目指しているのは、正確な情報をユーザーのウェアラブル デバイスまでリアルタイムに届けることです。たとえば、曲がるべき場所を伝えるナビゲーション、トレイルの状態、最新の気象情報といった情報です。
「私たちのアプリには、かなり複雑なインタラクションがあります」と Hargreaves 氏は言います。「こういった情報を、アクセスしやすい形で、シンプルかつ高速にわかりやすく提示しなければなりません。しかも、お客様は山道にいたり、嵐に遭遇していたり、手袋や冬用のハイキング装備を身につけていたりするかもしれません」
Outdooractive のデベロッパーは、Wear OS 向け Compose の新機能を活用して、移動中のユーザーに高品質な体験を提供できるアプリを作成しました。Chip コンポーネントを使うことで、リスト作成のプロセスを大きく改善できました。あらかじめ用意されているデザイン要素を使えるので、デベロッパーは数日分の作業を省略できました。また、ScalingLazyColumn を使うことで、RecyclerView や ScrollView に頼ることなく、最適なスクロール画面を作成できました。
AnimatedVisibility コンポーネントが使いやすいうえに、これまでは開発する余裕がなかったアニメーション機能を作成できるようになったことも、デベロッパーを喜ばせました。Wear OS 向け Compose で特に重宝されたのは、「読み込み中」や「エラー」など、さまざまな UI の状態をとても簡単にユーザーに提示できるようになったことでした。
「Compose を使うと、UI コードを直感的に読み書きできるようになります。デザイン フェーズでのプロトタイピングが高速になり、コードでのコラボレーションもしやすくなりました」
Wear OS 向け Compose を導入したことで、Outdooractive のユーザーは、ハイキング コースのナビゲーションなど、通常であればスマートフォンで行っていたことをウェアラブル デバイスで行えるようになりました。これは、Wear OS 向け Compose のおかげで実現した主要な UI の目標でした。
「ウェアラブルは、私たちのプロダクト戦略や市場戦略において欠かせない部分の 1 つです。ユーザーからの反応も非常に好意的です」と Hargreaves 氏は語っています。
Outdooractive のデベロッパーは、心拍数のモニタリングなどのフィットネス トラッキング機能をアプリに組み込むことで、ウェアラブル デバイスならではの機能も提供しています。これは、Health Services という別の Wear OS 機能を使い、デバイスに搭載されたセンサーにアクセスして実現しています。Wear OS の Health Services は、健康やフィットネスに関連するセンサーの設定をすべて自動で行い、データを収集し、心拍数や移動距離、速度などの指標を計算します。そのため、デベロッパーは電池寿命をできる限り延ばしながら、高度なアプリの機能を簡単に実現できます。Outdooractive のデベロッパーは、Health Services と Wear OS 向け Compose を活用し、ボディセンサーを使ってアプリの機能をさらに強化したいと考えています。
Outdooractive の効率的なプロセスは、Wear OS 向け Compose によってアプリ開発が簡単になるという実例を示しています。これが実現できたのは、デベロッパーの柔軟性が向上し、開発の負担を増やさずにさまざまなレイアウトを試せるようになったからです。
Hargreaves 氏は、Wear OS 向け Compose を使うことを検討している他のデベロッパーに向けて、「全面的に導入することをお勧めします」と明確にアドバイスしています。
Wear OS 向け Compose を使うと、ウェアラブル デバイスでエンゲージメントの高いユーザー エクスペリエンスを構築できます。
概要を知りたい方は、Google I/O の Wear OS 関連トーク (動画/英語 - 日本語字幕は、YouTube の自動字幕機能から日本語を選択してください) をご覧ください。さっそく学習を始めたい方は、Wear OS 向け Compose の Codelab をお試しください。
この記事は Android Developers Team による Android Developers Blog の記事 " The new Google Pixel Watch is here - start building for Wear OS! " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
2022 年 10 月 6 日の Made by Google イベント (英語) を見た方は、Pixel ポートフォリオ (英語) の最新デバイスをご覧になったはずです。スマートフォンの Pixel 7 と Pixel 7 Pro に加えて、2 つの最新フォーム ファクタを紹介しました。それが、Google Pixel Tablet1 (Google のまったく新しいタブレット、2023 年発売予定)と、Wear OS by Google を搭載した最新デバイス Google Pixel Watch です。 このスマートウォッチ販売が始まった今こそ、これからのホリデーシーズン中に多くの消費者の手に渡ることになる新しいスマートウォッチにアプリが対応する絶好のタイミングです。ここでは、Wear OS の最新アップデート、皆さんのアプリの体験を向上する方法、美しく効率的な Wear OS アプリの開発に着手する方法についてお知らせします。
Google Pixel Watch には Wear OS が搭載されており、プラットフォームの最新アップデートである Wear OS 3.5 が含まれています。この最新バージョンの Wear OS を利用できる Wear OS デバイスは他にもあります。新しい Wear OS は、スムーズかつ簡単に操作できるように設計されており、タップやスワイプ、音声コマンドで必要な情報にアクセスできます。また、刷新された UI と高度な通知機能が搭載されているので、ユーザーが一目で確認できる情報が増えました。
こうした新機能をベースとして存分に活用しながら開発を進められるというメリットを実感していただくため、少ない開発時間とコード行数でアプリを実行できる最新の宣言型 UI ツールキット、Compose for Wear OS を2022 年にすでにリリースしています。すべて Kotlin で構築されており、API が安定版であり、開発に利用できることを示すバージョン 1.0 (英語) になっています。1.0 リリースの内容は次のとおりです。
Wear OS 向けのアップデートに含まれるもう 1 つのうれしい内容は、短時間でタイルを作成できる Tiles Material ライブラリ (英語) のリリースです。Tiles Material ライブラリには、Wear OS 向けの最新マテリアル デザインに対応した既製のマテリアル コンポーネントやレイアウトが含まれています。この使いやすいライブラリには、ボタン用コンポーネントや進捗状況を示すアークなどが含まれているため、ゼロからコンポーネントを作る必要がなくなります。さらに、既製のレイアウトが使えるので、タイル開発を大幅に加速でき、タイル向けのマテリアル デザイン ガイドラインに確実に従うことができます。
また、先日リリースされた Android Studio Dolphin にはさまざまな Wear OS 機能が追加されているので、アプリ、タイル、ウォッチフェイスがすべての Wear OS 3 デバイスに対応することができます。Wear OS エミュレータ ツールバーのアップデート、直感的なペア設定アシスタント、ウォッチフェイスやタイル、ウォッチフェイスの追加機能をすばやくテストできる新しいダイレクト サーフェス起動機能などが含まれ、WearOS 向けの高度なアプリをこれまでになく簡単かつ効率的に作れるようになっています。
皆さんのアプリをはじめとして、Google アプリや Spotify、Strava、Bitmoji、adidas Running、MyFitnessPal、Calm など、さまざまなアプリが Wear OS 向けにすばらしい体験を提供しています。2022 年は、Todoist (英語) 、PeriodTracker、Outdooractive (英語) がアプリを Compose で再構築し、アプリの開発をシンプルかつ効率的にできるツールや API のメリットを活用しています。Outdooractive は、Compose for Wear OS を使うことで、チームの開発時間を 30% 削減できました。
Google Pixel Watch の発表と合わせて、Google 製アプリによる新たな体験 も提供します。ここでは、すばらしいユーザー エクスペリエンスを実現するもう 1 つの方法として、新しいハードウェア機能が使われています。Google フォトでは、お気に入りの写真を Google Pixel Watch のウォッチフェイスに設定できるようになります。Google Pixel Watch にはカスタマイズ可能な 19 個のウォッチフェイスが搭載されており、各ウォッチフェイスで、たくさんのカスタマイズ オプションが提供されています。Google アシスタント (英語) も搭載されているので、Google Pixel Watch ユーザーは Wear OS アプリや内蔵の Google アシスタント機能を使ってお気に入りのアプリを操作できます。たとえば、Google Home の最新アップデートでは、Wear OS アプリを使うか、時計に「Hey Google」と話しかけることで、スマートホーム デバイスを簡単に制御できます。また、温度を調整したり、来客や配達があったときに Nest ドアベルから通知を受け取ったりすることなど、あらゆる操作が可能です。2
最新の Wear OS プラットフォームやハードウェアのアップデートを活用すれば、健康&フィットネス アプリにたくさんのチャンスが生まれます。Google Pixel Watch には、プロセッサ レベルに至るまで最適化されたオンデバイス機械学習による正確な心拍数トラッキングなど、Fitbit のすばらしい健康&フィットネス機能が含まれており、Google Pixel Watch で呼吸数、心拍数の変動、睡眠の質といった主要な指標を把握できます。このようにデータの質が向上しているので、健康&フィットネス アプリが有意義な情報や体験をユーザーに提供できる場面が増えています。
Wear OS と Google Pixel Watch のアップデートや機能強化により、目に見える形でアプリを差別化できるようになっています。さまざまなアプリが、こういった機能を使ってユーザーを喜ばせています。皆さんもぜひお試しください。
すばらしいデバイスがすでにそろっている Wear OS エコシステムに、最新デバイスの Google Pixel Watch が加わります。API やツールの改善から刺激的な新しいハードウェアまでがそろった今こそ、Wear OS アプリの開発に着手する絶好のチャンスです。Compose for Wear OS 向けの開発を始めるには、こちらの学習パスの順を追った説明をご覧ください。それからクイック スタートガイドなどのドキュメントを確認し、Wear OS 向けの Compose の Codelab でハンズオン形式での実習に挑戦しましょう。
さらに詳しい情報については、Google I/O の Wear OS セッション (動画/英語) をご覧ください。また、まもなく開催される Android Developer Summit (英語) の基調講演やテクニカル セッションで、Wear OS の最新の重要な情報をお聴きください。*日本語字幕は、YouTube の自動字幕機能から日本語を選択してください
Made by Google についてのお知らせをいち早く知りたい方は、こちらの公式ブログ (英語) をご覧ください。Pixel エコシステムに加わるもう 1 つのすばらしいフォーム ファクタである Google Pixel Tablet 向けに開発を始めたい方は、タブレット向けにアプリを最適化する方法 (英語) をご覧ください。
免責事項 :
1. Google Pixel Tablet は、米連邦通信委員会などの規制機関の規則によって義務づけられている認可を受けていません。このデバイスは、義務づけられている法的な認可が得られるまで、販売などの方法で流通されない可能性があります。
2. 対応するスマートホーム デバイス(別売)が必要です。
この記事は Kat Kuan による Android Developers Blog の記事 " Learn Jetpack Compose at a Compose Camp near you! " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。日本で開催される Compose Camp の詳細はこちらをご確認ください。
Jetpack Compose は、Android の UI 開発をシンプルにする Android の最新ツールキットです。Twitter、Airbnb (英語)、Google Play など、すでに世界中の多くのアプリで使われています。まだ使っていない方は、今が使い始める絶好のチャンスです。もっと簡単に Compose を学習していただくため、対面とバーチャルに対応したセッションとして、各地で Compose Camp (英語) を始めました。 (※ 日本で開催される Compose Camp の詳細はこちらをご確認ください。) Jetpack Compose を使って Android アプリを開発する方法を仲間と一緒に学ぶことができます。さっそく「キャンプ道具」を集めて、近くの Compose Camp (英語) に参加する方法を確認しましょう!
Jetpack Compose を使うと、コードの使用量と保守作業が少なくなるため、短期間でアプリを開発できます。また、API も直感的で強力なので、Android の最高の機能を使って優れたユーザー エクスペリエンスを提供できます。Google は、あらゆる人が Android 開発を学べるチャンスを増やせるようにする努力を続けており、その一環として、最新のベスト プラクティスをさまざまな学習スタイルで学んでいただけるようにしています。グループで学習を進めると、とても楽しく効果的に学べるという意見をたくさんの方からいただいています。それを受け、世界各地で Compose Camp (英語) を開催することにしました。ガイドしてくれる仲間や「キャンプ リーダー」のサポートを受けながら、Compose で Android アプリを開発する方法を学びましょう。
Android 開発が初めての方やプログラミングを始めたばかりの方は、Beginner トラックをご覧ください。基本的なプログラミングの考え方や、Jetpack Compose でユーザー インターフェースを作成する方法などのアプリ開発の基礎を学ぶことができます。
ビューから Compose に移行する方法を学びたい、あるいは高度な機能を使って UI を構築する方法を知りたいという Android デベロッパーには、Experienced トラックがおすすめです。Jetpack Compose のポイントから始めて、Compose のさまざまなトピックを掘り下げます。
他の人と一緒に学ぶと、コミュニティの一員としてアドバイスやサポートを受けられて楽しいという声がたくさんの方から寄せられています。Google デベロッパー コミュニティ (英語) は、同じ業界の学習者や仲間とつながりを持つ絶好のチャンスです。協力して技術的な難題に向かったり、お互いに技術を学び合って直接プロジェクトに活用したりできます。これからの数か月間、こういったコミュニティが世界中で Compose Camp を開催しますので、近くのイベントを探してみてください。 (※ 日本で開催される Compose Camp の詳細はこちらをご確認ください。)
イベントを開催して参加者に教えるのも、専門性を育む絶好のチャンスです。皆さん自身が「キャンプ リーダー」になる (英語) こともできます。学習に役立つ教材、セッションの進め方についてのガイド、サンプル スライド、参加グループを募るための資料など、Compose Camp を開催するために必要なものは、すべて揃えてあります。
「ソロキャンプ」の方が好きだという方は、自分のペースで学べるオンライン コースを確認しましょう。Android 開発を始めたばかりの方には、Android Basics with Compose コースがおすすめです。すでに Android 開発の知識をある程度お持ちの方は、Jetpack Compose for Android Developers コースをご覧ください。
ここで紹介したリソースが、Android 開発と Compose の学習に役立つことを願っています。Compose Camp (英語) で皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。
この記事は Jolanda Verhoef による Android Developers Blog の記事 " Jetpack Compose 1.2 is now stable! " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
2022 年 7 月 27 日、Android の最新ネイティブ UI ツールキットである Jetpack Compose のバージョン 1.2 をリリースしました。そして、引き続きロードマップを構築しています。今回のリリースには、ダウンロード可能なフォント、遅延グリッドといった新機能に加え、フォーカス、マウス、入力ハンドリングの改善といった、タブレットや Chrome OS 向けの機能強化が含まれています。
スマートフォン、タブレット、折りたたみ式向けに新しい Android アプリを開発する場合、私たちは Compose を推奨しています。今回は Compose for Wear OS 1.0 (英語) もリリースしたので、Wear OS アプリ開発でも Compose が最適な手段になります。
Twitter エンジニアリング チームなどのデベロッパーは、Compose を使って開発のスピードを上げています。
「Compose によって生産性が劇的に向上しました。コンポーズ可能な関数を書くのは、カスタムビューを作成するよりもはるかに簡単で速く、デザイナーの要件もたやすく満たせます」
Compose 1.2 には、スマートフォン、タブレット、折りたたみ式向けのたくさんのアップデートが含まれています。試験運用版から安定版になった新しい API があり、新しいバージョンの Kotlin もサポートされています。サンプル、Codelab、Accompanist ライブラリ、MDC-Android Compose Theme Adapter はすでにアップデートされ、Compose 1.2 対応になっています。
注 : Compose Compiler ライブラリを 1.2 にアップデートするには、Kotlin 1.7.0 が必要です。今後、Compiler のリリースは他の Compose ライブラリのリリースから切り離されます。この点に関する詳しい説明は、Jetpack Compose ライブラリが独立したバージョニングに関するブログ記事をご覧ください。
複数の機能や API が安定版として追加されました。主なものを紹介します。
Compose に新機能を導入する作業も続いています。いくつかの主な機能を紹介します。
@OptIn (英語) を使って新しい API を試し、フィードバックをお寄せください!
コミュニティから報告されたたくさんの問題を修正しました。主なものを紹介します。
Issue Tracker にバグレポートや機能リクエストをお送りいただき、大変感謝しています。Compose の改善や、皆さんに必要な API を作るうえで役立っています。Compose をより良いものにするために、今後もフィードバックをお願いします!
次に登場するのは何でしょうか。現在検討中または作業中の機能は、更新版のロードマップで確認できます。たとえば、項目の遅延追加や遅延削除時のアニメーション、フロー レイアウト、テキスト編集の改善などです。
Jetpack Compose は、皆さんから寄せられた要望をもとに進化し続けます。すでに多くのアプリで Jetpack Compose が本番環境として使われているのを見て、とてもうれしく思っています。そして、Jetpack Compose でアプリ開発がどのように改善したかを、皆さんの多くが共有しています。皆さんの次のアプリのリリースを楽しみにしています!
Compose をお楽しみください!
この記事は Jolanda Verhoef による Android Developers Blog の記事 " Independent versioning of Jetpack Compose libraries " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
2022 年 6 月 29 日より、さまざまな Jetpack Compose ライブラリが独立したバージョニング スキームに移行します。これにより、androidx.compose.compiler や androidx.compose.animation などのサブグループが個別のリリース サイクルに従えるようになります。
androidx.compose.compiler や androidx.compose.animation
これらのライブラリに独立したバージョニングを導入することで、これまで暗黙的に結合されていた依存関係が切り離されます。そのため、アプリの段階的なアップグレードがしやすくなり、最新の Compose 機能を維持できるようになります。
バージョンが 1 つになっていた Compose から最初に切り離されるライブラリは、Compose Compiler です。2022 年 6 月 29 日より、Kotlin 1.7.0 をサポートする 1.2.0 安定版をリリースしました。このリリースには、Compose UI ライブラリおよび Compose Runtime ライブラリとの下位互換性と上位互換性の両方が備わっています。つまり、Compose Compiler を 1.2.0 安定版にアップグレードして Kotlin 1.7.0 を使いつつ、他の Compose ライブラリは 1.1.0 安定版などの現行バージョンのままにすることができます。
アプリで使っている Compose Compiler のバージョンをアップグレードするには、build.gradle ファイルで kotlinCompilerExtensionVersion を指定します。
build.gradle
kotlinCompilerExtensionVersion
android { composeOptions { kotlinCompilerExtensionVersion = "1.2.0" }}
android {
composeOptions {
kotlinCompilerExtensionVersion = "1.2.0"
}
Compose と Kotlin は密接に結びついており、Kotlin のバージョンをアップグレードするために Compose Compiler のアップデートが必要になるというフィードバックがありました。Compose と Kotlin の両方で最も優れた最新の機能(とバグの修正)を使っていただけるように、Compose Compiler の安定版は頻度を上げてリリースする計画です。つまり、Compose Compiler のバージョン番号は、他のほとんどの Compose ライブラリよりも上がるペースが早くなります。Compose Compiler では上位互換性と下位互換性の両方が確保されるので、新しいバージョンがリリースされたら、すぐにアップグレードできます。
Compose Compiler は Kotlin コンパイラ プラグインなので、お使いの Kotlin のバージョンと互換性のあるバージョンの Compose Compiler を使う必要があります。Compose-Kotlin 互換性マップを参考に、プロジェクトに合ったバージョンを選んでください。
Compiler ライブラリを異なるバージョニング スキームに移行することは、Compose ライブラリ グループ間のバージョン依存を解消するための第一歩です。今後、他の Compose ライブラリでも新しい安定版リリースが公開され、Compose Compiler とは別にそれぞれのリリース サイクルに従うことになります。
独立したバージョニングに対応し、さっそく最新バージョンの Compose Compiler と Kotlin (英語) を使ってみましょう。
皆さんが Compose で作るアプリを楽しみにしています。
この記事は Amanda Alexander による Android Developers Blog の記事 " Google I/O 2022: What’s new in Jetpack " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
Android Jetpack は、最新の Android 開発の重要な柱とも言えるものです。これは 100 以上のライブラリ、各種ツール、ガイドをまとめたスイートで、デベロッパーはベスト プラクティスに従ったり、ボイラープレート コードを減らしたり、Android のあらゆるバージョンやデバイスで一貫して動作するコードを書いたりしやすくなるため、アプリ独自の機能の構築に専念できるようになります。
Jetpack は Google Play のほとんどのアプリのアーキテクチャに使用されており、現在、上位 1,000 アプリの 90% 以上で使用されています。
こちらは、I/O での「Jetpack の新機能」 (動画/英語) の拡大版として、Jetpack の最新アップデートのハイライトを紹介したものです。
以下では、次の 3 つの主要な Jetpack アップデートについて取り上げます。
最後に、いくつかの重要な機能更新を紹介します。
アプリ アーキテクチャ ライブラリとコンポーネントを使うと、堅牢で、テストや保守がしやすいアプリを構築できます。
Room は、SQLite の抽象化レイヤを提供する、推奨のデータ永続性レイヤです。プラットフォームのユーザビリティと安全性を高めることができます。
Room 2.4 では、Kotlin Symbol Processing (KSP) のサポートが安定版になりました。当社の Kotlin コードのベンチマークでは、KSP の処理速度は KAPT の 2 倍に向上しています。Room 2.4 には enum と RxJava3 の組み込みサポートも追加され、Kotlin 1.6 に完全対応しています。
Room 2.5 には、Kotlin への完全な書き換えの最初の部分が含まれます。これにより、Java プログラミング言語で書かれた旧バージョンとのバイナリ互換性も確保しながら、今後の Kotlin 関連の機能向上の基盤を提供します。また、room-paging アーティファクトを利用した Paging 3.0 の組み込みサポートにより、Room クエリで PagingSource オブジェクトを返せるようになります。さらに、マルチマップ(ネストしたマップや配列)型戻り値を使用するリレーショナル クエリ メソッドがサポートされるので、デベロッパーは追加のデータ構造を定義せずに、JOIN クエリを実行できるようになります。
@Query("SELECT * FROM Artist JOIN Song ON Artist.artistName = Song.songArtistName")fun getArtistToSongs(): Map<Artist, List<Song>>
@Query("SELECT * FROM Artist
JOIN Song ON Artist.artistName =
Song.songArtistName")
fun getArtistToSongs(): Map<Artist, List<Song>>
AutoMigrations のアップデートによってデータベースの移行がシンプルになり、新たなアノテーションとプロパティのサポートも追加されます。@Database アノテーションの新しい AutoMigration プロパティを使うと、移行元や移行先のバージョンを宣言できます。また、Room でテーブルや列の変更に関する追加情報が必要な場合も、@AutoMigration アノテーションを使用して入力を指定できます。
Database( version = MyDb.LATEST_VERSION, autoMigrations = { @AutoMigration(from = 1, to = 2, spec = MyDb.MyMigration.class), @AutoMigration(from = 2, to = 3) })public abstract class MyDb extends RoomDatabase { ...
Database(
version = MyDb.LATEST_VERSION,
autoMigrations = {
@AutoMigration(from = 1, to = 2,
spec = MyDb.MyMigration.class),
@AutoMigration(from = 2, to = 3)
)
public abstract class MyDb
extends RoomDatabase {
...
DataStore ライブラリは、SharedPreferences の問題に対処する堅牢なデータ ストレージ ソリューションです。これは、さまざまな SharedPreferences のユースケースを置き換えることができる強力な仕組みです。使い方を詳しく知りたい方は、最新の Android 開発スキル : DataStore (英語) の動画シリーズと記事をご覧ください。アプリでこのライブラリを使用できるかどうかを確認する方法、依存関係の注入と合わせて使用する方法、SharedPreferences から Proto DataStore への移行などに関するガイドを提供しています。
Paging ライブラリを使うと、データの小さなチャンクを読み込んで表示することで、ネットワークやシステム リソースの消費を抑えることができます。アプリのデータは、RecyclerView や Compose の Lazy リストで、少しずつ段階的に読み込むことができます。
Paging 3.1 は Rx と Guava 統合の安定したサポートを提供します。Paging は Kotlin コルーチンをネイティブに使用していますが、これらの統合はその Java による代替機能を提供します。このバージョンでは、無効なデータや古いデータを表す新しい戻り値の型、LoadResult.Invalid が追加され、無効化の競合状態の処理が向上しました。また、新しい onPagesPresented API と addOnPagesUpdatedListener API によって、no-op 読み込みや空ページに対する操作の処理も向上しました。
Paging 3 についての詳細は、新しくシンプルになった、Android デベロッパー サイトの Paging の基本 Codelab をご覧ください。リストを表示するアプリに Paging ライブラリを組み込む方法を確認できます。
Navigation ライブラリは、アプリ内のさまざまなコンテンツ間を移動するためのフレームワークです。
今回、新しい navigation-compose (英語) アーティファクトによって、Navigation コンポーネントが Jetpack Compose に統合され、アプリでコンポーズ可能な関数を遷移先として使用できるようになりました。
また、複数バックスタック機能が改善され、状態を記憶しやすくなりました。NavigationUI で、ポップされた遷移先の状態の保存と復元が自動的に行われるようになったので、デベロッパーはコードを変更せずに複数のバックスタックをサポートできます。
navigation-fragment アーティファクトにより大画面サポートが拡張され、構築済みの 2 ペイン レイアウト実装が AbstractListDetailFragment で提供されます。このフラグメントは SlidingPaneLayout を使用して、一覧ペイン(サブクラスにより管理される)と詳細ペイン(NavHostFragment を使用)を管理します。
すべての Navigation アーティファクトは Kotlin で書き換えられ、ジェネリクスを使用するクラス(NavType のサブクラスなど)の null 可能性に関する改善が行われています。
最新の Android 開発のベスト プラクティスを取り上げたさまざまな動画と記事で、主要なアーキテクチャ ライブラリの詳しい使い方を説明しています。最新の Android 開発スキル : アーキテクチャ (動画/英語) シリーズをご覧ください。
パフォーマンス ライブラリを使用すると、パフォーマンスの高いアプリを構築したり、高パフォーマンスを維持するための最適化方法を特定したりして、エンドユーザーのエクスペリエンスを向上できます。
特にインストール直後にアプリを使用するときなど、アプリのスピードはユーザー エクスペリエンスに大きく影響します。そのような初回エクスペリエンスを向上するために、ベースライン プロファイルを作成しました。ベースライン プロファイルを使うと、アプリやライブラリが Android ランタイムにコードパスの使用方法に関するメタデータを提供します。ランタイムは、それを使って Ahead-Of-Time コンパイルの優先順位を判断します。このプロファイル データはライブラリ全体で集計され、baseline.prof ファイルとしてアプリの APK に保存されます。そしてインストール時に、アプリとその静的にリンクされたライブラリ コードの一部を事前コンパイルするために使用されます。これによってアプリの読み込みが速くなり、ユーザーがアプリを初めて利用する際のフレーム ドロップを減らすことができます。
Google ではベースライン プロファイルをすでに活用しています。ベースライン プロファイルを採用することで、Google Play ストアアプリの検索結果ページの最初のレンダリング時間は 40% 短縮しました。ベースライン プロファイルは Fragment や Compose などの一般的なライブラリにも追加されており、エンドユーザーのエクスペリエンスが向上しています。独自のベースライン プロファイルを作成するには、Macrobenchmark ライブラリを使用する必要があります。
Macrobenchmark ライブラリは、Jetpack のベンチマーク対象をより複雑なユースケース(アプリの起動、RecyclerView のスクロールやアニメーションの実行といった組み込み UI 操作など)に拡大することで、デベロッパーがアプリのパフォーマンスを深く理解できるようにします。Macrobenchmark は、ベースライン プロファイルの生成に使うこともできます。
Macrobenchmark がアップデートされ、テストのスピードが向上し、新たな試験運用版機能が加わりました。また、TraceSectionMetric を使用したトレースベースのカスタム時間測定もサポートされ、デベロッパーが特定のコード セクションをベンチマーク測定できるようになりました。さらに、AudioUnderrunMetric によるオーディオ バッファ アンダーランの検出が可能になり、オーディオのジャンクを分析しやすくなりました。
BaselineProfileRule は、ランタイム最適化に役立つプロファイルを生成します。BaselineProfileRule は他のマクロ ベンチマークと同じように機能し、デベロッパーはユーザー アクションをラムダ式のコードで表します。以下は、コンパイラが事前に最適化すべき重要なユーザー アクションが、コールド スタート(ランチャーからアプリのランディング アクティビティを開く)である場合の例です。
@ExperimentalBaselineProfilesApi@RunWith(AndroidJUnit4::class)class BaselineProfileGenerator { @get:Rule val baselineProfileRule = BaselineProfileRule() @Test fun startup() = baselineProfileRule.collectBaselineProfile( packageName = "com.example.app" ) { pressHome() // This block defines the app's critical user journey. Here we are // interested in optimizing for app startup, but you can also navigate // and scroll through your most important UI. startActivityAndWait() }}
@ExperimentalBaselineProfilesApi
@RunWith(AndroidJUnit4::class)
class BaselineProfileGenerator {
@get:Rule
val baselineProfileRule = BaselineProfileRule()
@Test
fun startup() = baselineProfileRule.collectBaselineProfile(
packageName = "com.example.app"
) {
pressHome()
// This block defines the app's critical user journey. Here we are
// interested in optimizing for app startup, but you can also navigate
// and scroll through your most important UI.
startActivityAndWait()
Macrobenchmark でのベースライン プロファイルの生成と使用に関する詳細と完全なガイドについては、Android デベロッパー サイトのガイドをご覧ください。
新しい JankStats ライブラリを使うと、アプリの UI のパフォーマンス上の問題の追跡や分析をすることができます。これには、一般に「ジャンク」と呼ばれる、レンダリング フレームのドロップに関するレポートが含まれます。JankStats は、FrameMetrics などの既存の Android プラットフォームを利用していますが、API レベル 16 以降で使用できるようになっています。
このライブラリは、プラットフォームに組み込まれている機能以外に、新たな機能も提供しています。フレーム ドロップの原因の特定に役立つヒューリスティック、レポートに UI の状態を含めることによる追加コンテキストの提供、分析用データのアップロードに使用できるレポート コールバックなどです。
この 3 つの JankStats の主要機能について説明します。
Tracing ライブラリは、トレース イベントをシステム バッファに書き込み、アプリのパフォーマンス プロファイリングができるようにします。Tracing 1.1 は、API レベル 14 以降のデバッグ不可ビルドのプロファイリングをサポートしています。これは、API レベル 29 で追加された <profileable> マニフェスト タグに似ています。
UI ライブラリにいくつかの変更が加えられ、大画面の互換性、折りたたみ、絵文字のサポートが向上しました。
ネイティブ UI を作成するための Android の最新ツールキット、Jetpack Compose の 1.2 ベータ版がリリースされました。ダウンロード可能なフォント、lazy layout、ネストされたスクロールの相互運用性など、いくつかの機能が追加され、より高度なユースケースをサポートするようになります。詳しくは、ブログ投稿 Jetpack Compose の新機能をご覧ください。
新しい WindowManager ライブラリは、デベロッパーがアプリをマルチウィンドウ環境や新しいデバイスのフォーム ファクタに対応させる際に役立ちます。このライブラリは、API レベル 14 以降でサポートされる共通 API サーフェスを提供します。
最初のリリースは、折りたたみ式デバイスのユースケースが対象で、コンテンツの表示方法に影響する物理特性の照会などが含まれています。
Jetpack の SlidingPaneLayout コンポーネントがアップデートされ、WindowManager のスマート レイアウト API を使用できるようになりました。ヒンジをまたぐ場合など、オクルージョン領域にコンテンツが配置されないようにすることができます。
新しい DragAndDrop ライブラリも、新しいフォーム ファクタとウィンドウ モードの対応に役立ちます。デベロッパーは、アプリ内外からのデータのドラッグ&ドロップを受け入れることができます。DrapAndDrop には一貫したドロップ ターゲット アフォーダンスが含まれ、API レベル 24 以降がサポートされます。
AppCompat ライブラリを使うと、旧 API バージョンのプラットフォームで新しい API にアクセスできます。これにはダークモードなどの UI 機能のバックポートも含まれます。
AppCompat 1.4 には、Emoji2 ライブラリが統合されています。API レベル 14 以降の AppCompat でサポートされるすべてのテキストベース ビューで、新しい絵文字がデフォルトでサポートされます。
カスタム ロケール選択が API レベル 14 以降でサポートされるようになりました。アプリを再起動しても失われないロケール設定の手動永続化と、サービス メタデータ フラグによる自動永続化をサポートしています。この機能は、同期的にロケールを読み込み、必要に応じて実行中のアクティビティを再作成することをライブラリに指示します。API レベル 33 以降では、プラットフォームが永続化を管理します。これによってオーバーヘッドが増加することはありません。
Annotation ライブラリは、ツールや他のデベロッパーがアプリのコードを理解するために役立つメタデータを公開します。@NonNull のような一般的なアノテーションが提供されます。こういったアノテーションを lint チェックと組み合わせて使用することで、コードの正確性とユーザビリティを向上できます。
アノテーションは現在 Kotlin に移行中で、Kotlin を使用するデベロッパーには、より適切なアノテーション ターゲット(@file など)が表示されるようになります。
要望の多かったいくつかのアノテーションが、対応する lint チェックと共に追加されています。これには、メソッドや関数のオーバーライドに関するアノテーションや、@DeprecatedSinceApi アノテーションが含まれます。@DeprecatedSinceApi は、@RequiresApi を補うもので、特定の API レベル以上で使用を推奨しないことを示すアノテーションです。
現在、GitHub で 100 以上のプロジェクトを公開しています。以下のモジュールは、標準の GitHub ベースのワークフローを通じてデベロッパーの皆さんからのサポートを受け付けています。
Pull リクエストの処理方法と Jetpack ライブラリの開発について詳しくはウェブサイトをご覧ください。
以上は、過去数か月間に行われた Jetpack のすべての変更に関する概要です。各ライブラリの詳細については、AndroidX のリリースノートをご覧ください。API ピッカーを使用して簡単にライブラリを検索することもできます。また、その他のハイライトについては、Google I/O トーク (動画/英語) を視聴してください。
Java は Oracle および / またはその関連会社の商標または登録商標です。
Reviewed by Mari Kawanishi - Developer Marketing Manager, Google Play
この記事は Maru Ahues Bouza による Android Developers Blog の記事 " 13 Things to know for Android developers at Google I/O!" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
何かを作ってすぐ、スマートフォンだけでなく、テレビ、自動車、タブレット、スマートウォッチを含め、世界の数十億の人々に届けることができるプラットフォームは多くはありません。今年の Google I/O では、このチャンスを最大限に活用していただけるように、Android がたくさんの方法で皆さんをサポートしていることを説明しました。また、最新の Android 開発が、可能な限り多くの共通性をもたせることで、日常生活で使用するあらゆる場面に適したエクスペリエンスを短時間で、かつ簡単に作成できるようになっていることにも触れました。
ここでは、Android デベロッパーが知っておくべきことの上位 13 をまとめています。Jetpack Compose やタブレット、Wear OS、そしてもちろん Android 13 も含まれています! Android の I/O プログラムには、26 のテクニカル セッションと 4 つのワークショップが含まれています。さらに、もう 1 つの #TheAndroidShow (動画/英語) のエピソードとして、Android ライブ Q&A も開催しました。#AskAndroid を使って質問されたツイートはエキスパート チームがライブ配信 (動画/英語) で回答しました。
Android の最新 UI ツールキットである Jetpack Compose は、ダウンロード可能フォント、LazyGrids、ウィンドウ インセット、ネストされたスクロールの相互運用性など、さらに高度なユースケースを実現する API を提供し続けています。また、Live Edit、再コンポーズのデバッグ、アニメーション プレビューといった機能を搭載したツールもサポートします。詳細はブログ投稿をご覧ください。
Android Studio Dolphin ベータ版と Electric Eel Canary を使うと、より多くのことを短時間で行うことができます。Android Studio Dolphin には、Jetpack Compose や Wear OS 開発向けの新機能や機能改善が搭載されています。また、Logcat の操作も新しくなっています。Android Studio Electric Eel には、新しい Google Play SDK Index や Firebase Crashlytics との連携機能が追加されます。さらに、大画面でアプリをテストするための新しいサイズ変更可能なエミュレータや、コンポーズ可能な関数内のコードの変更を即座にデプロイできる新機能 Live Edit も提供されます。Android 開発ツールの新機能 (動画/英語) に関するセッションを視聴し、こちらの Android Studio I/O ブログ投稿をお読みください。
インストール直後のアプリのスピードは、ユーザーの維持率に大きく影響します。そのスピードを高めるために、ベースライン プロファイルを作成しました。ベースライン プロファイルを使うと、アプリやライブラリが Android ランタイムにコードパスの使用方法に関するメタデータを提供できます。ランタイムは、それを使って Ahead-Of-Time コンパイルの優先順位を判断します。コードを一切変更せず、ベースライン プロファイルを追加するだけで、アプリの起動時間が最大 30% 短縮されます!ベースライン プロファイルは、すでに Jetpack の内部で使われています。私たちは、Fragments や Compose といった人気のライブラリにベースラインを追加して、エンドユーザーのエクスペリエンスを向上させています。アプリ フレームワークの新機能 (動画/英語) を視聴し、こちら (英語) の Jetpack ブログ投稿をお読みください。
Google は全力を挙げてタブレットに対応しています。前回の I/O 以降、大画面の最適化に注力した Android 12L をリリースしました。Android 13 にはその機能改善がすべて含まれているだけでなく、さらなる機能追加も行われています。また、来年登場する Pixel タブレットについてもお知らせしました。すばらしい新ハードウェア、アップデートされたオペレーティング システムと Google アプリ、改善されたガイドラインとライブラリ、そして刺激的な Google Play ストアの変更がそろった今こそ、アプリを見直して大画面と Android 13 に対応する絶好のタイミングです。今年の I/O で 4 つのセッションと 1 つのワークショップ (動画/英語) を開催し、大画面のデザイン (動画/英語) から実装 (動画/英語) まで、詳しく説明しているのはそのためです。
Wear OS の最新アップデートが行われた今、ウェアラブルの開発でできることを再考できます。Jetpack Compose for Wear OS は現在ベータ版です。これを使うと、これまでよりも少ないコードで、美しい Wear OS アプリを作成できます。健康とフィットネス関連のデベロッパー コミュニティに大きなイノベーションをもたらすヘルスサービスも、現在ベータ版になっています。そして今回は、Google Pixel Watch を発表しました。Fitbit と Wear OS の長所を合わせ持つもので、今秋発売予定です。ウェアラブルの期待のアップデートの詳細については、Wear OS テクニカル セッション (動画/英語) をご覧いただくか、Jetpack Compose for Wear OS のお知らせ (英語) をお読みください。
Health Connect は、Google と Samsung が密接に連携して作り上げた新しいプラットフォームです。これを使うと、簡単にアプリ同士を接続して、ユーザーの健康とフィットネスに関するデータに安全にアクセスしたり、それらのデータをすべてのアプリとデバイスで共有したりできるようになり、少ない作業で多くのユーザーに簡単にアプローチできます。5 月 11 日より、Jetpack Health から Health Connect にアクセスできるようになりました。詳しくは、お知らせ (英語) を確認するか、I/O のセッション (動画/英語) をご覧ください。
Android for Cars と Android TV OS が、米国やその他の国で拡大を続けています。ネットワークに接続しながら運転したりテレビを見たりするユーザーが増える中、今年は自動車やテレビ向けの開発がさらに簡単になる新機能を導入します。詳しくは、2 日目 (5 月 12 日) に開催された、Android for Cars の新機能 (動画/英語) や Google TV と Android TV の新機能 (動画/英語) に関するセッションをご覧ください。
Android for Cars の Shortcuts API にアクセスできるデベロッパーを拡大することにより、Google アシスタントを搭載したさまざまなデバイスで、音声を使って簡単にアプリにアクセスできるようにしています。この機能は、Wear OS (英語) アプリでも今年中にサポートされる予定です。また、Smarter Custom Intents (英語) を使ってこのようなエクスペリエンスを簡単に開発できるようにしています。具体的には、手間がかかる NLU トレーニングなしに、アシスタントが ML を通してさまざまな形態のユーザークエリを検出できるようにします。加えて、モバイルで音声を使ってアプリを見つけやすくする改善もしています。まずは、Brandless Queries によって、ユーザーが明示的にアプリの名前を話さなくてもアプリを使用できるようにします。また、まだアプリをインストールしていない場合には、App Install Suggestions が表示されてインストールを提案します。こちらの機能 (動画/英語) は、5 月 11 日より既存の App Actions で自動的に有効になりました。
Google Play を活用して皆さんのビジネスを拡大する新しい方法について、Google Play の最新情報をご覧ください。特に重要なのは、ディープリンクや最大 50 個のカスタム掲載情報を作成できる機能、Google Play ストアに掲載したいコンテンツを送信できるデベロッパーを拡大する LiveOps ベータ版、そして柔軟性が増したサブスクリプション販売などです。以上の最新情報の詳細は、ブログ投稿 (英語) をご覧ください。
新しい Google Play SDK Index で、SDK がアプリに適切かどうかを評価しましょう。この新しいパブリックポータルは、特によく使われている 100 以上の商用 SDK が登録されており、SDK がアプリのどんなパーミッションを要求するのか、SDK を使っているアプリの統計、どのバージョンの SDK が最もよく使われているのかといった情報が公開されています。ブログ (英語) 記事を確認し、Google Play の新機能 (動画/日本語字幕付き) や Android 開発ツールの新機能 (動画/英語) についてのセッションを視聴しましょう。
Android のプライバシー サンドボックス (英語) は、無料のコンテンツやサービスへのアクセスを危険にさらすことなく、ユーザーのプライバシーを強化した新しい広告ソリューションを実現する仕組みです。先日、Android のプライバシー サンドボックスの初めてのデベロッパー プレビュー版 (英語) を公開したので、SDK ランタイムと Topics API をいち早く確認できます。これら新技術を予備テストし、どのようにソリューションに採用できるかを評価し、フィードバックを提供してください。
新しい Google Wallet を使うと、Android や Wear OS から日常的に使用する機能に高速で安全にアクセスできます。私たちは、以前 Google Pay Passes API と呼ばれていた Google Wallet API を強化し、汎用パスやパスのグループ化とミックス(イベント チケットとバウチャーをまとめるなど)のサポート、そしてバックエンド統合なしにアプリからパスを直接保存できる新しい Android SDK のリリースしました。詳細については、詳細なブログ記事 (英語) を読むか、セッション (動画/英語) をご覧ください。また、developers.google.com/wallet のドキュメントを確認することもできます。
Android 13 の 2 回目のベータ版が 5 月 11 日にリリースされました。新しい通知パーミッション、プライバシーを保護する写真ピッカー、近くのデバイスとペア設定したり、メディア ファイルにアクセスしたりするパーミッションの改善など、アプリをプライバシーとセキュリティの最新機能に対応しましょう。また、アプリ別の言語設定やテーマ対応アプリ アイコンなどの機能で、アプリを強化しましょう。HDR 動画や Bluetooth LE オーディオなど、最新の標準を使って開発することもできます。こちらから Pixel デバイスを登録すると、すぐに試してみることができます。Android 13 ベータ版は、パートナー製の一部のスマートフォンやタブレット、折りたたみ式デバイスでも利用できます。詳細は、developer.android.com/13 をご覧ください。
ここで紹介した内容は、今年の Google I/O の Android デベロッパー向けハイライトの一部にすぎません。ぜひ Android の新機能 (動画/日本語字幕付き) セッションを視聴して、Google I/O での Android テクニカル トラックの全容を把握してください。全部で 26 のセッションと 4 つのワークショップがあります。ぜひご利用ください!
この記事は Jolanda Verhoef , Anna-Chiara Bellini による Android Developers Blog の記事 " What's new in Jetpack Compose " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
Jetpack Compose 1.0 がリリースされてからほぼ 1 年が経過し、その間にコミュニティによる積極的な採用が進んでいます。簡潔な Kotlin の構文と、UI についてすばやく簡単に検討できる宣言型アプローチは高く評価されています。
多くの企業が Compose を大々的に採用し、アプリの新機能や目玉機能を開発しています。たとえば、私たちはかなり早い段階から Compose の実験を始めていた Google Play ストアチームと密接に連携し、Compose を使うと開発が楽しくなるだけでなく、デベロッパーの生産性も上がることを発見しました。チームのメンバーはこのように話しています。「Play ストアのすべての新機能は、このフレームワークを使って構築しています。Compose は、アプリの開発速度向上やスムーズな導入に役立っています」。また、Twitter のチームも、アプリのさまざまな部分で Jetpack Compose を使っており、その成果について、「Compose を使うと、独自のコンポーネントをとてもに簡単に定義でき、API コントラクトの明示性、柔軟性、直感性が向上します」と述べています。Airbnb (英語) チームも Compose を採用し、「Jetpack Compose は技術戦略上欠かすことのできない部分です。これによって向上する生産性は計り知れません」と語っています。
うれしいことに、こういったチームが大規模で複雑な本番環境で慎重に Compose を評価した結果、UI 開発が楽しくわかりやすいものになっただけでなく、さまざまなエンジニアリング上のメリットを得ることもできました。そして、それは一例に過ぎません。なぜなら、Play ストアのトップ 1,000 アプリのうち 100 以上がすでに Compose を使っているからです。
このような緊密な共同作業や、幅広い Android コミュニティからのフィードバックに慎重に耳を傾けることは、常に私たちの開発プロセスの中核であり、ロードマップの実現に向けた鍵でもあります。現在は、新しい API や機能の改善、Compose での開発を今まで以上に簡単にする新ツールを通して、さらに高度なユースケースをサポートする作業を重点的に進めています。Compose が UI の構築方法を根本的に変革するものであることはわかっています。すばらしい見栄えの高性能なアプリを作成するには、考え方の転換が必要です。そのためのサポートとして、ガイド、高度なトピックに関するセッションや Codelab、詳細な解説動画をさらに公開します。以下は、新機能の紹介です。
2022 年 5 月 11 日、たくさんの機能や改善が含まれている Compose 1.2 最初のベータ版をリリースしました。
includeFontPadding をカスタマイズ可能なパラメータにすることで、Issue Tracker で特に要望の多かったバグ (英語) に対応しました。この値は、false に設定することをお勧めします。それにより、レイアウト内のテキストの配置をより厳密に調整できるようになります。今後のリリースでは、これをデフォルト値にすることを検討しています。値を false に設定するとアプリで問題が起きる場合は、前述の Issue でぜひお知らせください。また、includeFontPadding を false に設定した場合、lineHeightStyle パラメータを設定して Text コンポーザブルの行の高さを適合させることができます。これを組み合わせると、次のようになります。
includeFontPadding
false
lineHeightStyle
Text( text = myText, style = TextStyle( lineHeight = 2.5.em, platformStyle = PlatformTextStyle( includeFontPadding = false ), lineHeightStyle = LineHeightStyle( alignment = Alignment.Center, trim = Trim.None ) ))
Text(
text = myText,
style = TextStyle(
lineHeight = 2.5.em,
platformStyle = PlatformTextStyle(
includeFontPadding = false
),
lineHeightStyle = LineHeightStyle(
alignment = Alignment.Center,
trim = Trim.None
Compose 1.2 では、Compose にダウンロード可能なフォントが導入されます。複雑な設定を行わずに、Compose の新しい API を使って Google Fonts に非同期的にアクセスしたり、フォールバック フォントを定義したりできます。ダウンロード可能なフォントを使うと、プロバイダを通して複数のアプリで同じフォントを共有できるので、APK のサイズを小さく保ち、ユーザーのシステムの健全性を向上させることができます。
Android のテキストは、テキストを選択しやすくする拡大鏡ウィジェットを提供しています。今回、Compose がテキスト拡大鏡をサポートします。
選択ハンドルをドラッグすると、拡大鏡が表示されて指の下にあるものが見やすくなります。Compose 1.1.0 では、テキスト フィールドで選択をする際の拡大鏡が導入されました。今回の Compose 1.2.0 では、テキスト フィールドと SelectionContainer (英語) の両方で拡大鏡がサポートされます。この拡大鏡は、ビューの Android 拡大鏡の動作とも完全に一致するように拡張されています。
SelectionContainer
Lazy レイアウトがさらに進化します。グリッド API の LazyVerticalGrid (英語) と LazyHorizontalGrid (英語) が試験運用版を終了して正式版になり、独自のカスタム Lazy レイアウトを実装できる LazyLayout (英語) という試験運用版 API が新たに追加されます。これらの API の詳細については、I/O セッション動画 Compose の Lazy レイアウト (英語) をご覧ください。
LazyVerticalGrid
LazyHorizontalGrid
ビューシステムからスクロール可能なコンポーザブルを CoordinatorLayout に埋め込む際に、スクロール動作の相互運用性を確保できるようになります。これにより、折りたたみ可能なツールバーをはるかに簡単に設定できるようになります。この動作は、試験運用版の新しい rememberNestedScrollInteropConnection メソッドを呼び出した結果を nestedScroll 修飾子に渡すことでオプトインできます。この新機能のデモは、こちらのサンプルでご確認ください。
CoordinatorLayout
rememberNestedScrollInteropConnection
nestedScroll
Accompanist の insets ライブラリ (英語) が正式版として Compose Foundation ライブラリに追加され、WindowInsets (英語) クラスから利用できるようになりました。詳しくは、既存の UI に Compose を組み込む方法を説明したドキュメントをご覧ください。
WindowInsets
サイズ変更可能なレイアウトの設計、開発、テストを容易にするため、綿密に検討されたビューポートの一連のブレークポイントであるウィンドウ サイズ クラスをリリースしました。これはマテリアル 3 ライブラリ セットの一部で、現在、新しいライブラリ material3-window-size-class でアルファ版を利用できます。サイズクラスの詳細については、異なる画面サイズをサポートするためのドキュメントで参照できるほか、Crane でサンプル実装を確認することもできます。
material3-window-size-class
アプリのパフォーマンスの理解と改善に役立てていただけるよう、新しいパフォーマンス関連のツールやガイドにいっそう注力しています。この対応により、アプリが遅くなっている理由や場所を、はるかに簡単に理解できるようになります。
Android Studio Dolphin より、Layout Inspector でコンポーザブルの再コンポーズ発生頻度を確認できるようになります。再コンポーズの回数が異常に多い場合は、そのコンポーザブルを最適化する余地があることを示している可能性があります。さらに、Android Studio Electric Eel には再コンポーズのハイライト表示機能が追加され、どのコンポーザブルでいつ再コンポーズが発生したかを視覚的に確認できるようになっています。これらの新ツールについては、Android Studio の新機能ブログをご覧ください。
Compose は、根本的なレベルで UI の記述方法を変革します。そのため、アプリのパフォーマンス向上に役立ついくつかのベスト プラクティスがあります。新たに公開されたドキュメント ページには、最高のパフォーマンスを実現するための Compose アプリの記述方法や設定方法を掲載しています。I/O セッション動画 Jetpack Compose の一般的なパフォーマンスの落とし穴 (英語) では、Compose チームがパフォーマンス関連のよくある失敗例とその修正方法について説明します。
パフォーマンスは、私たちが引き続き重点を置いている領域です。現在、ツールやガイドの改善や追加に懸命に取り組んでいます。それと合わせて、これまでの作業に対するフィードバックもお待ちしています。Issue Tracker (英語) でバグを報告するか、KotlinLang Slack グループ (英語) で質問してください。
これまでの改善をベースに、Compose の効率アップを図る新ツールの最新情報をお知らせします。現在ベータ版の Android Studio Dolphin (英語) では、Compose 開発にすばらしい機能が追加されます。再コンポーズの回数に加え、すべてのアニメーションを一度に確認できる Animation Coordination や、複数の画面サイズに対応する開発に役立つ MultiPreview アノテーションなどの新ツールが導入されます。また、反復処理を高速化できるように、Android Studio Electric Eel Canary に LiveEdit を追加します。
完全な情報は、Android 開発ツールの新機能 (英語) に掲載されています。また、Compose に必要なツールのサポートを実現するため、ぜひフィードバックを共有してください。
もし Compose よりも優れたものがあるとすれば、それはもう 1 つの Compose です。Compose for Wear OS がベータ版になりました。Compose for Wear OS は、他の Jetpack ライブラリと同じ考え方に従っており、ベータ版になったことは、機能が完成して API が安定版になったことを意味します。そのため、本番環境に対応できるアプリの開発を始めることができます。さっそくブログ記事 (英語) を読んで、開発にとりかかりましょう!
Compose に関するたくさんのガイドを追加、刷新しました。
これらの新機能を私たちと同じ用に皆さんにも気に入ってもらえることを願っています。まだ Jetpack Compose を使ったことがない方は、速度やデベロッパーの生産性向上によるあらゆるメリットを享受できるように、チームや開発プロセスでどのように利用できるかをこのタイミングで学びましょう。ぜひ Compose を使ってみてください!
この記事は Andrew Flynn & Jon Boekenoogen による Android Developers Blog の記事 " Play Time with Jetpack Compose " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
2020 年、Google Play ストアのエンジニアリング チームのリーダー陣は、ストアのショーウィンドウにあたる部分全体の技術スタックを再構築するという大きな決断を下しました。既存のコードは 10 年以上前のもので、無数の Android プラットフォーム リリースや機能アップデートを経て、大きな技術的負債を抱えていました。デベロッパーの生産性やストア自体のユーザー エクスペリエンスとパフォーマンスに悪影響を与えることなく、数百名のエンジニアが開発できるようにスケールアップできる新しいフレームワークが必要でした。
ネットワーク レイヤからピクセルのレンダリングに至るまで、ストアのあらゆるものを更新するため、複数年にわたるロードマップを作成しました。その一環として、インタラクティブ性とユーザーの快適さを目標とした最新の宣言型 UI フレームワークも採用したいと考えました。さまざまな選択肢を分析した結果、まだアルファ版にもなっていなかった Jetpack Compose を使うという、(当時としては)大胆な決断をすることになりました。
それ以来、Google の Google Play ストアチームと Jetpack Compose チームは、ストアの具体的なニーズを満たせるバージョンの Jetpack Compose を実現するため、非常に密接な連携のもと、リリースや改善を重ねてきました。この記事では、移行のアプローチやその過程で明らかになった課題や利点について説明し、多くのエンジニアが関わるアプリで Compose を採用するとはどういうことかについて共有したいと思います。
新しい UI レンダリング レイヤとして Jetpack Compose を検討するときの最優先事項は次の 2 つでした。
Google Play ストアはすでに 1 年以上 Jetpack Compose で UI のコードを記述しており、Jetpack Compose によって UI 開発がこれまで以上にシンプルになっていることを実感しています。
特にうれしいのは、UI の記述に必要なコードがかなり減ったことで、場合によってはコードが最大 50% 少なくなったことです。これが実現できたのは、Compose が宣言型 UI フレームワークであることに加え、簡潔な Kotlin を活用できるからです。カスタムの描画やレイアウトを作成する際も、ビューをサブクラス化してたくさんのメソッドをオーバーライドする必要はなく、シンプルな関数呼び出しで実現できます。
評価テーブルを例に説明しましょう。
ビューを使う場合、このテーブルは以下の要素で構成されます。
Compose を使う場合、このテーブルは以下の要素で構成されます。
@Composable
「そうは言っても、ライブラリの依存関係でビューが提供される場合どうすればいいのか」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。たしかに、すべてのライブラリ所有者が Compose ベースの API を実装しているとは限りません。私たちが最初に移行をしたときは特にそうでした。しかし、Compose では ComposeView と AndroidView API によって、ビューを簡単に利用できる相互運用性が実現されています。ExoPlayer (英語) や YouTube の Player などの人気ライブラリは、この方法によって問題なく統合できました。
Google Play ストアチームと Jetpack Compose チームは、Compose がビュー フレームワークと同じくらい速くジャンクなしで動作できるようにするため、密接に連携しました。Compose は Android フレームワークの一部というよりはアプリにバンドルされるものなので、これは難しい要件でした。画面上の個々の UI コンポーネントのレンダリングは高速でしたが、アプリが Compose フレームワーク全体をメモリに読み込むために必要な時間をすべて合わせれば、かなりの時間になりました。
Google Play ストアで Compose を採用するうえで、特に大きなパフォーマンス改善に貢献したのはベースライン プロファイルの開発でした。以前から利用できたクラウド プロファイルもアプリの起動時間の短縮に役立ちますが、これが利用できるのは API 28 以降に限られ、頻繁な周期で(毎週)リリースされるアプリにとっては効果的ではありません。この問題に対応するため、Google Play ストアチームと Android チームが連携して、ベースライン プロファイルの開発にあたりました。ベースライン プロファイルは、デベロッパーが定義し、アプリの所有者が指定してバンドルできるプロファイルです。アプリに同梱され、クラウド プロファイルとは完全な互換性があり、アプリレベルに限定して定義することも、ライブラリレベルで定義することもできます(Compose を採用すると、このプロファイルもついてきます!)。ベースライン プロファイルをロールアウトすることで、Google Play ストアの検索結果ページの最初のレンダリング時間は 40% 短縮されました。これは大きな成果です。
Compose は、特にスクロールの際に効率的なレンダリングをします。その中核をなす仕組みとなっているのが、UI コンポーネントの再利用です。Compose は、スキップできることがわかっている Composable の再コンポーズをできる限りスキップしようとします(不変である場合など)。しかし、すべてのパラメータが @Stable (英語) アノテーション要件を満たしている場合は、デベロッパーが強制的に Composable をスキップ可能にすることもできます。Compose のコンパイラでも、特定の関数をスキップできない理由を説明した便利なガイドが提供されています。Google Play ストアでは、スクロールが発生する状況で頻繁に再利用される UI コンポーネントを作りましたが、不要な再コンポーズが積み重なってフレーム時間が足りなくなり、ジャンクにつながるという状況が発生しました。そこで、デバッグ設定でもそのような再コンポーズを簡単に見つけることができるように、Modifier を作成しました。この手法を UI コンポーネントに適用することで、ジャンクを 10-15% 減らすことができました。
@Stable
Modifier
Modifier による再コンポーズの視覚化の例。青(再コンポーズなし)、緑(1 回の再コンポーズ)
Google Play ストア アプリの Compose を最適化するうえで、もう 1 つの重要な要素となったのが、アプリ全体の一連の移行戦略を詳細に作成したことです。最初に組み込みの実験をしたとき、「二重スタック問題」に直面しました。これは、1 つのユーザー セッション内で Compose とビューの両方のレンダリングを実行すると、特にローエンドのデバイスにおいて、メモリに大きな負荷がかかるという問題です。これはコードを同じページに展開した場合だけでなく、異なるスタックのそれぞれに 2 つのページ(Google Play ストアのホームページと検索結果ページなど)が存在する場合にも発生しました。これに起因する起動の遅さを解消するには、ページを Compose に移行する順番やスケジュールについて、具体的な計画を立てることが重要でした。さらに、アプリが完全に移行されるまでの穴埋めとして、よく使うクラスの短期的なプリウォーミングを追加することも有用であることがわかりました。
Compose は Android フレームワークにバンドルされていないので、Google Play ストアチームが Jetpack Compose に直接的に関与する手間も少なくすみました。その結果、短い時間でデベロッパーに役立つ改善をすることができました。Jetpack Compose チームとの共同作業で、LazyList のアイテムタイプのキャッシュのような機能追加をしたり、無駄なオブジェクトの割り当てなどに関する簡単な修正をすばやくしたりすることもできました。
Google Play ストアで Compose を採用したことで、チームのデベロッパー満足度は大幅に上昇し、コードの品質と健全性も大きく向上しました。Google Play ストアの新機能は、すべてこのフレームワーク上に構築されています。Compose はアプリの速度向上や利便性に貢献しています。Compose への移行戦略の性質上、APK サイズの変化やビルド速度は細かく測定できませんでしたが、可視化できたものについてはすべて順調に進んでいます。
Compose は Android UI 開発の未来です。Google Play ストアの事例から言うと、これ以上すばらしいものはありません!
この記事は Florina Muntenescu による Android Developers Blog の記事 " Jetpack Compose 1.1 is now stable! " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
私たちは、Android の最新ネイティブ UI ツールキット、Jetpack Compose のロードマップを実現する作業を続けており、2022 年 2 月 9 日にバージョン 1.1 をリリースしました。今回のリリースには、フォーカス処理の向上、タッチ ターゲットのサイズ調整、ImageVector のキャッシュ、Android 12 のストレッチ オーバースクロールのサポートなどの新機能が含まれています。さらに、Compose 1.1 では、これまで試験運用版だったたくさんの API が安定版になっているほか、より新しいバージョンの Kotlin もサポートされています。すでにサンプル、Codelab、Accompanist ライブラリもアップデートしており、Compose 1.1 と合わせて利用できるようになっています。
Compose 1.1 に ImageVector のキャッシュ機能を導入し、パフォーマンスを大幅に向上させています。painterResource API にキャッシュ機構を追加しており、解析した ImageVector のすべてのインスタンスを、与えられたリソース ID やテーマと合わせてキャッシュできるようになっています。このキャッシュは、構成が変わると無効になります。
Compose 1.0 と比較した場合、マテリアル コンポーネントのレイアウトでは、マテリアルのアクセシビリティ ガイドライン(英語)に記載されているタッチ ターゲット サイズ(英語)を満たすようにレイアウト領域が拡大されます。たとえば、RadioButton のタッチ ターゲットは、最小サイズの 48x48 dp に拡大されます。RadioButton のサイズをそれ以下に設定した場合も同様です。これにより、Compose のマテリアルとマテリアル デザイン コンポーネントの動作が一致し、ビューと Compose が共存しても、動作の一貫性が保たれます。また、この変更により、Compose のマテリアル コンポーネントを使って UI を作成すれば、タッチ ターゲットのアクセシビリティ最低要件が確実に満たされるようになります。
この変更によって既存のレイアウト ロジックが壊れる場合は、LocalMinimumTouchTargetEnforcement (英語) を false に設定することで、この動作を無効化できます。ただし、アプリのユーザビリティが低下する可能性があることを認識したうえで、慎重に利用するようにしてください。
RadioButton のタッチ ターゲットの更新
左 : Compose 1.0、右 : Compose 1.1
いくつかの API が試験運用版から安定版になっています。主なものを紹介します。 (以下、リンク先はすべて英語)
@OptIn (英語) を使うと、新しい API を試すことができます。ぜひフィードバックをお願いします!
注 : Compose 1.1 を使うには、Kotlin 1.6.10 が必要です。詳しくは、Compose と Kotlin の互換性マップをご覧ください。
次に登場するのは何でしょうか。現在検討中または作業中の機能は、更新版のロードマップで確認できます。たとえば、遅延項目アニメーション、ダウンロード可能フォント、移動可能コンテンツなどです。
Jetpack Compose は安定版で、本番環境で利用できます。また、要望が寄せられた機能を追加する作業も続いています。すでに多くのアプリで Jetpack Compose が本番環境として使われ始めているのを見て、とてもうれしく思っています。皆さんが開発したアプリを見るのが、待ち遠しくてたまりません。
アルファ版やベータ版を通して Issue Tracker (英語) にバグレポートや機能リクエストをお送りいただき、大変感謝しています。Compose の改善や、皆さんに必要な API を作るうえで役立っています。Compose をよりよいものにするために、今後もフィードバックをお願いします!
この記事は Marcel Pintó Biescas による Android Developers Blog の記事 " Announcing Jetpack Glance Alpha for app widgets " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
Android 12 では、多くの Android ユーザーにとって重要な機能であるアプリ ウィジェットを刷新し、より便利で美しく、そして見つけやすくしています(84% のユーザーが少なくとも 1 つのウィジェットを使っています)。先日、アプリ ウィジェットの構築をさらに容易にするために、Jetpack Glance の最初のアルファ版をリリースしました。Jetpack Glance は、Jetpack Compose のランタイムをベースに作られた新たなフレームワークで、ホーム画面などで利用できるアプリ ウィジェットをすばやく簡単に構築できるように設計されています。
ぜひ試してみて、フィードバックをお寄せください。
Glance は、Jetpack Compose と同じように最新の宣言型 Kotlin API を提供し、美しくレスポンシブなアプリ ウィジェットを少ないコードで実現します。
Glance の “Hello World” ウィジェット サンプル
class GreetingsWidget(private val name: String): GlanceAppWidget() { @Composable override fun Content() { Text(text = "Hello $name") }} class GreetingsWidgetReceiver : GlanceAppWidgetReceiver() { override val glanceAppWidget = GreetingsWidget("Glance")}
class GreetingsWidget(private val name: String): GlanceAppWidget() {
override fun Content() {
Text(text = "Hello $name")
class GreetingsWidgetReceiver : GlanceAppWidgetReceiver() {
override val glanceAppWidget = GreetingsWidget("Glance")
Glance は、“Glanceables” (一目で把握できる)な操作を作成する Composable の基本セットを提供します。今回はまず、アプリ ウィジェットのコンポーネントを提供しますが、今後さらに追加する予定です。Glance は、Jetpack Compose ランタイムを使って Composable (英語) を実際の RemoteView (英語) に変換し、それをアプリ ウィジェットに表示します。
図: Glance の構造
つまり、Glance を使うには Compose を有効にする必要があります。ランタイム、グラフィック、ユニット UI の各 Compose レイヤーを使用しますが、Jetpack Compose の他の既存の UI 要素を直接使うことはできません。ただし、アプリの状態などのロジックは、Glanceables UI を作成する際に共有できます。
今回の初回リリースでは、アプリ ウィジェットを構築するためのメイン API を導入します。また、既存の RemoteView との相互運用性が提供されます。
以下に、このライブラリが提供する内容の概要をまとめます。
GlanceAppWidget
GlanceAppWidgetReceiver
Box
Row
Column
Text
Button
LazyColumn
Image
Spacer
GlanceModifier
Action
actionStartActivity
actionRunCallback
actionStartService
actionStartBroadcastReceiver
ActionParameters
SizeMode.Single
SizeMode.Exact
SizeMode.Responsive
GlanceStateDefinition
GlanceAppWidget state
LocalContext
LocalState
LocalGlanceId
LocalSize
RemoteViews
AndroidRemoteViews
現在は、デフォルト テーマや Android Studio サポートの強化など、さらなる機能の追加作業を進めています。今後の新規リリースにご期待ください。
注: minSDK は 21 ですが、現在は SDK v23 までの互換性しかサポートしていません。
クイックスタートとして、GitHub のサンプルをご覧ください。Glance は最新の安定版 Android Studio (英語) で動作しますが、Compose のランタイムを使っているので、まず Jetpack Compose ドキュメントの手順に従ってセットアップを行ってください。
また、さらに詳しい説明を見たい方は、AndroidX リポジトリのデモをご覧ください。
ResponsiveAppWidget.kt デモ
アルファ版は API に皆さんの要望を反映させるチャンスなので、フィードバックを通して感想をお寄せください。
ぜひ Glance と Compose を使ってみてください!