この記事は Tom Grinsted による Android Developers Blog の記事 " Google Play @ Google I/O - 3 updates you need to know " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
※ 諸事情により Google I/O 関連記事の投稿のタイミングが前後してしまいました。申し訳ありません。
Google Play チームは、インストール数の増加、エンゲージメントの向上、収益化の加速など、常にデベロッパーの皆さんのビジネス成長に役立つ新たな方法に取り組んでいます。そこで、見逃してしまった方のために、2022 年の Google I/O で発表したビジネス成長に寄与する新しい方法トップ 3 を紹介します。
ストアのカスタム掲載情報 が大幅にアップデートされ、ユーザーごとに適切なメッセージを表示できるようになっています。これにより、優れた第一印象を与えられる新たな方法を提供できました。
カスタム掲載情報への一意なディープリンクを生成できるので、ユーザーがどのチャンネルやサイトからアクセスしてきたかによって掲載情報を変えることができます。さらに、Google Play Console でカスタム掲載情報ごとに分析情報を確認できるため、それぞれの効率性を把握し、徐々に最適化することもできます。
すべてのデベロッパーが最大 50 個のストアのカスタム掲載情報を作成でき、これまで以上にユーザーに合ったストーリーを伝えることができます。また、掲載情報 1 つにつき 5 つまでの実験ができることから、大きな最適化の余地が生まれます。
LiveOps は、Google Play ストアでゲームやアプリの期間限定イベント、特典、メジャー アップデートを宣伝するためのセルフサービス マーチャンダイジング ユニットです。ベータ版に参加しているデベロッパーは、インストールの促進、エンゲージメントの向上、販売増進に役立つコンテンツを送信できます。
さらに、ディープリンクを使ってユーザーをアプリやゲームの最適な部分に直接誘導し、Google Play Console の新しい LiveOps レポーティング ダッシュボードで成果を確認できるようになっています。このレポートでは、各イベントのパフォーマンス指標を細かく確認したり、経時的な結果や、獲得、オープン、アップデートなどの実績ごとの結果を表示したりできます。
LiveOps の詳しい情報やベータ版プログラムへの参加申請は、こちらをご覧ください。
定期購入のビジネスモデルが進化するにつれて、多くのデベロッパーから、定期購入を販売する方法の柔軟性を向上させて複雑さを低減してほしいという声が寄せられています。そこで、大きなアップデートとして新しい定期購入機能 (英語) をリリースし、定期購入ごとに複数のベースプランとオファーを設定できるようにしました。複数のオファーを作成してサブスクリプション ライフサイクルのさまざまな段階をサポートすることで、新しい登録者を獲得したり、アップグレードを推奨したり、既存の登録者を維持したりできます。同時に、増える一方だった SKU を管理するコストと複雑さを大幅に減らすことができます。
さらに、期間限定でアクセス可能なプリペイド プランも利用できるので、従量課金が一般的な地域や、まだ自動更新プランに登録するほど熱心でないユーザー向けに優れた選択肢となります。アクセス期間は、期限が切れる前にアプリ内や Google Play ストアの定期購入画面からいつでも簡単に延長できます。
ここでは、Google Play で皆さんの成長と発展を支援するために行った多くのアップデートの中から 3 つを紹介しました。他の項目について知りたい方は、Google I/O の Google Play 関連の全プレイリスト (日本語字幕は YouTube の自動翻訳機能で日本語を選択してください) をご覧ください。
この記事は Sarah Karam による Android Developers Blog の記事 " Notes from Google Play: making Play work for everyone " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
こんにちは。
私は Google Play のグローバル アプリ パートナーシップ チームのリーダーとして、皆さんのビジネスを成功させて拡大する方法に関して、すばらしいアイデアとフィードバックを共有してくださるたくさんの企業と出会う機会に恵まれました。
今回の Notes from Google Play の最新号では、Google が大いに刺激を受けた皆さんのアプリやゲームに加えて、私や私たちのチームが最も重視していることについて紹介したいと思っています。私にとってそれは、すべての人が Google Play を活用できるようにすることです。つまり、アプリやゲームを支えている皆さん全員が簡単にビジネスを拡大し、あらゆる場所にいるあらゆる人により良いサービスを提供できるように、Play を改善するということです。
まずは、今年私がときめいた数多くのアプリの中から OLIO のストーリーを紹介します。OLIO は食品廃棄を減らす活動を進めるコミュニティ向けのアプリで、近くの人に簡単に食品を提供することができます。この仕組みを作った Tessa Clarke さんと Saasha Celestial-One さんには、世界中で地域密着型の食品共有ネットワークを作り、価値あるものが一切無駄にならないようにするという目的がありました。Tessa さんと Saasha さんは、英国でこのアプリを立ち上げたあと、その信念に基づいて 62 か国に展開し、世界中の店と連携しながら無駄をなくすことに取り組んでいます。
あらゆる人と地球のために作られた OLIO アプリの成功は、異なる背景と同じ夢を持つ 2 人の女性の物語です。私にとって重要なのは、すべての人が世界の人々に貢献するビジネスの成功を達成するための確かな土台作りをすることです。
この目的を念頭に置きつつ、最近リリースされたすてきなツールやプログラムをいくつか、詳しく紹介します。
Google は、あらゆる規模の企業が、情報に基づいた意思決定に役立つ分析情報やツールを使えるようにし、最終的には、アプリやゲームのビジネスを簡単に構築したり改善したりできるようにしたいと考えています。例として、重要なトピックであるプライバシーとセキュリティについて考えてみましょう。
また、多様なニーズを抱えた企業のためのプログラムも用意しています。これらのプログラムの対象は、あらゆるデバイスで動作するアプリを開発しているメディア企業から、インドの Appscale Academy (英語) の最初のメンバーとして地域の問題の解決にあたっているスタートアップ企業まで多岐にわたります。これらの有望なスタートアップ 100 社は、インド中、世界中の人々に使ってもらえる高品質なアプリを作る意欲と創造性にあふれており、私たちはすでに、彼らのイノベーションに何度も驚かされています。
また Googleは、企業の規模に関係なくビジネスを拡大するためのプログラムへの注力も続けています。3 月に始まった Google Play パートナー プログラムもその 1 つで、これは大規模なゲームビジネスが拡大目標や実績目標を達成できるようにするための取り組みです。2022 年 6 月には、Indie Games Accelerator とIndie Games Festival (英語) プログラムへの申請も始まりました。2021 年の修了メンバーは、特に印象的な成果を残しています。Google Play コーヒー ブレイクの最初のエピソードでは、親切心、コミュニティ構築、寛容さを推奨するゲームを作成したイスラエルの Jimjum Studios の話を直接聞くことができます。
アプリやゲームは、企業の規模とは関係なく、人が開発し、人が運営するものです。そのため、エコシステムの多様性を推進するプログラムへの注力を続け、次世代のアプリやゲーム制作者を育む取り組みを進めています。Change the Game (英語) のようなプログラムやゲーム業界に前向きな変化をもたらす組織 (動画/日本語字幕あり) への投資は、私が特に誇りに思っているプログラムです。
Google は、すべての人がすばらしいアプリやゲームに簡単にアクセスできるべきだと考えています。それが人々の生活の向上と、皆さんのビジネスの拡大につながります。
そのためのサポートとして、誰もが適切な価格でアプリやゲームに簡単にアクセスできるようにするために、最近いくつかのアップデートをしました。これにより、皆さんのアプリやゲームの収益化が向上します。たとえば、定期購入販売の柔軟性を高めて複雑さを軽減してほしいという要望にお応えし、新しい定期購入機能 (英語) をリリースしました。定期購入ごとに複数のベースプランとオファーを作成できるようになったので、増える一方だった SKU を管理するコストと煩雑さを大幅に軽減できます。新規ユーザーとのつながりを深めたい場合やロイヤル ユーザーを維持したい場合に、あらゆる人のためのオファーを作成できます。
さらに、皆さんの収益化を改善できるように、ユーザーが最適な手段でアプリやゲームの決済ができるようにする新たなツールを用意しています。Google Play Commerce は 170 か国以上の購入者をサポートしていますが、決済手段ライブラリの充実化によって 70 か国の 300 以上の地域固有の決済手段を含めることで、さらなる拡大を図っています。また、地域の購買力に適応しやすくするため、すべてのマーケットで 5 米セント相当から始まる低価格設定オプションを追加する変更をしました。
まずはじめに、アプリの領域への新規参入者が生み出したビジネスでありながら、世界に肯定的な影響をもたらすことに成功した OLIO を紹介しました。これは、たくさんの刺激的な事例の 1 つでしかありません。先日公開した #WeArePlay (英語) は、アプリやゲームを支えている世界のコミュニティの皆さんと、その唯一無二のストーリーを称える新たなキャンペーンです。あらゆる規模のチームが存在し、コーディングを長い間続けてきた方が設立したチームもあれば、新たにテック業界に参入した方が設立したチームもあります。また、大都市に住む方のチームも、小さな町に住む方のチームもあります。ここで紹介するのは、問題を解決するアプリや、世界中の人々に喜びをもたらすゲームを作成してきた一人ひとりの道のりを伝えるショート ストーリーです。
皆さんがこれからもすばらしいアプリやゲームを作り続け、ビジネスを拡大して、ユーザーを夢中にする様子を見るのを楽しみにしています。皆さん自身とその成果のために、これからも一歩一歩の前進とささやかな成功を祝福し続けましょう。それが私たち全員の成長につながります。
皆さんの健康をお祈りしています。
Sarah Karam
Google Play グローバル アプリ パートナーシップ ディレクター
この記事は Newzoo による Android Developers - Medium の記事 " Data and Insights Into Mobile Gamers in Western Europe " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
この記事は、Newzoo と Google とのコラボレーションの一環です。ここで説明されている市場規模の推定や予測はすべて、Newzoo が 2022 年 1 月に更新した “Global Games Market Report” に基づいています。
西ヨーロッパは収益額において(東アジアと北米に次ぐ)第 3 位のモバイル ゲーム市場で、2021 年のユーザー課金額は 70 億ドルを超えています。この記事では、このエキサイティングな市場に関する “Global Games Market Report” (英語) のデータの一部を紹介し、西ヨーロッパのモバイル ゲーマーの属性、支出額、好みのジャンル、ゲーム コンテンツの視聴行動に関する消費者分析 (英語) データに注目したいと思います。
2021 年末時点で、西ヨーロッパのモバイル ゲーマー数は約 2 億 900 万人に達しています。2022 年 1 月に更新された “Global Games Market Report” によると、西ヨーロッパにおけるプレーヤー数の増加は他の成熟したモバイル ゲーム市場を上回る見込みです。2019 年から 2024 年にかけて、西ヨーロッパのモバイル ゲーマーの数は、+2.3% の年平均成長率(CAGR)で増加すると見られています。これは、北米の +0.8% や東アジアの +2.2% よりも高い数値です。
東南アジア、南米、インド、中東、アフリカといった新興市場が急成長しているため、世界全体の成長率はさらに高くなっています(2019-2024 年 CAGR:+4.4%)。重要な点としては、西ヨーロッパには(高額)支出者が多いため、大きな収益が期待できる点です。
西ヨーロッパでは 2021 年、モバイル ゲームへのユーザーによる課金から生じた収益は 72 億ドルに上ります(広告収益を除く)。2020 年〜2021 年の期間にも収益は伸びてはいましたが、伸び率はその前の同時期よりも小さくなっています。
2020 年から 2021 年にかけてモバイル収益の伸びが鈍化しているのは、西ヨーロッパだけの現象ではありません。2020 年は、新型コロナウイルスによるロックダウンの影響で多くの新規プレーヤーやリピーターが集まり、ゲーム業界全体にとって歴史に残る 1 年となりました。
西ヨーロッパのモバイル ゲーム市場は健全です。Apple が 2021 年第 2 四半期に IDFA を廃止したことや新型コロナウイルス関連などの課題により、iOS のユーザー獲得数に影響が生じたものの、図からわかるように、2020 年から 2021 年にかけて西ヨーロッパのモバイル収益とプレーヤー数は拡大を続けています。西ヨーロッパで Android モバイル ゲームが 2021 年も安定した増加を続けた理由は、次のとおりです。
西ヨーロッパのモバイル ゲーム市場は長期的にさらに成長し、2024 年には 86 億ドルに達する見込みです。以下に挙げる要因が、この成長の原動力となっています。
ここまでは、西ヨーロッパのゲーム市場の概要についてお伝えしてきましたが、その原動力となっているのはどんなプレーヤーなのでしょうか。どのような属性の人々がどのくらいの額を費やしているのでしょうか。それでは、見ていきましょう。
西ヨーロッパのプレーヤーの行動と動機を把握するため、フランス、イギリス、ドイツ、イタリア、スペイン、オランダ、ベルギー、スウェーデン、フィンランドの 1 万人以上のモバイル ゲーマーを対象にアンケートを実施しました。ここでは、課金額に基づいて、西ヨーロッパのモバイル ゲーマーを次の 4 つのグループに分けています。
課金額が多いグループほど、男性の比率が増加します。下の図からわかるように、高額課金ユーザーの 62% が男性です。それに対して、平均的な課金額のユーザーは 60%、少額しか課金しないユーザーは 58%、全く課金しないユーザーは 47% が男性の比率です。
課金額が多いほど、年齢は若くなります。高額課金ユーザーと平均的な額を課金するユーザーの平均年齢は 31.4 歳ですが、少額しか課金しないユーザーは 33.3 歳、全く課金しないユーザーは 36.5 歳です。
当然かもしれませんが、ゲームへのエンゲージメントが一番高いのは高額課金ユーザーです(そのため、プレイ時間も長くなります)。ゲームプレイ行動と課金の傾向を組み合わせて分析したところ、その結果は一目瞭然でした。
もちろん、一部のゲーム ジャンルではプレーヤーはより長い時間を費やします。
西ヨーロッパのモバイル ゲーマーに、過去半年の間に最も長い時間プレイしたジャンルを尋ねました。特に課金額が多いゲーマーは、シューティング、アドベンチャー、格闘、バトル ロワイヤル、ロールプレイングなど、コアで複雑なジャンルのゲームを挙げる傾向にありました。パズルなどのカジュアル ゲームの人気が高かったのは、モバイルゲームに 1 か月当たり 25 ドル以上は使わない非高額課金ユーザーでした。
当然ながら、このようなジャンルの好みはモバイル ゲーマーが購入するコンテンツの種類にも現れています。
高額課金ユーザーはすべてのカテゴリで課金する可能性が高くなっています。高額課金ユーザーの間では、他のグループに比べて、装飾やスキンへの支出が一般的に行われています。少なくともこの一因として、平均的な額を課金するユーザーや少額の課金しか行わないユーザーが楽しんでいるカジュアル ジャンルには、装飾品やスキンを購入する選択肢が少ないことが挙げられます。カジュアル ゲームのゲーム内のアイテム課金の目的は、主に追加ライフや技、パワーアップなどです。
上の図からわかるように、高額課金ユーザーと平均的な額を課金するユーザーでは、ゲーム内通貨、新コンテンツ、パワーアップ、コンテンツ パス、タイムセーバーにつながるアイテムを強く好む傾向も見られます。
シーズン パスやバトル パスなどに代表されるコンテンツ パスは、モバイルゲームで特に人気が高まっており、パブリッシャーにとっては予測可能な定期収益源になっています。このような収益化は、Call of Duty Mobile や Clash of Clans など、西ヨーロッパで特に人気の高いコアなモバイル ゲームでよく行われています。
4,700 万人の視聴者に支えられている西ヨーロッパの e スポーツシーンは、2021 年に 2 億 960 万ドルの収益を生み出しました。2021 年のライブストリーミング視聴者(過去半年の間に 1 度でもライブストリーミング配信されるゲーム コンテンツを視聴したことがある人)は、9,130 万人に達しました。
西ヨーロッパのモバイル ゲーマーの間では、ゲームのストリーミング コンテンツへの関心が高まっています。私たちのユーザー分析によれば、モバイル ゲーマーの 45% がゲーム コンテンツのライブストリーム配信を視聴しています。また、同じくらいの比率のゲーマーが、収録されたゲーム コンテンツを視聴しています。
西ヨーロッパのモバイル ゲーマーの間で圧倒的な人気を誇っているゲーム ストリーミング プラットフォームは YouTube です。ゲーム コンテンツ視聴者のうち 90% 以上が週に 1 度以上 YouTube を見ると答えています。一方で、ライバルの Twitch、Facebook、Twitter、TikTok でも、50~60% の視聴者が週に 1 度以上視聴しています。
西ヨーロッパのモバイルゲーム市場についてさらに詳しく知りたい方は、こちら (英語) か questions@newzoo.com までご連絡ください。
この記事は Dan Galpin による Android Developers Blog の記事 " 3 things to know about Android Privacy, Platform & Security from Google I/O'22 " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。※一部 I/O 関連記事の翻訳が遅れております。内容が前後してしまい、申し訳ありません。
Google I/O では実にさまざまなことが紹介されましたが、その中でプライバシー、セキュリティ、Android プラットフォームに関して大きな発表がありました。以下で説明しますが、ぜひ YouTube (英語) でこのトピックのプレイリストもご覧ください。
2022 年 4 月に、Android のプライバシー サンドボックスの初めてのデベロッパー プレビュー (英語) 版を公開したので、SDK ランタイムと Topics API をいち早く確認できます。これは、無料のコンテンツやサービスへのアクセスを危険にさらすことなく、ユーザーのプライバシーを強化した新しい広告ソリューションの実現に向けた仕組みです。
これら新技術の予備テストをして、どのようにソリューションに採用できるかを評価してください。そしてフィードバックの提供をお願いします。詳しくは、Android のプライバシー サンドボックスの概要 (動画/英語) を説明したセッションをご覧ください。
新しい Google Play SDK Index は、特によく使われる 100 以上の商用 SDK を掲載したパブリック ポータルです。SDK がリクエストするアプリのパーミッション、使われているアプリの統計情報、最もよく使われている SDK のバージョンといった情報が含まれており、SDK がビジネスやユーザーにとって適切かどうかを評価できます。Android Studio Electric Eel では、Google Play SDK Index に基づいた依存関係インサイトを見ることができます。ライブラリの作成者が特定のバージョンに「古いバージョン」のマークを付けている場合、その依存関係定義を確認しようとすると、対応する lint 警告が表示されます。ブログ記事を確認し、Google Play の新機能 (英語) や Android 開発ツールの新機能 (英語) についてのセッションを視聴しましょう。
Android 13 の 2 回目のベータ版が公開 (英語) されています。アプリごとの言語設定のサポートやテーマ別アプリアイコンなどの Android 13 の機能でアプリを強化できます。システムの「戻る」の基本 (動画/英語) についてのセッションでは、Android 13 の新しいオプトイン API について説明しています。この API により、「戻る」を扱うことを事前にシステムに伝えることで、予想可能でスムーズな「戻る」操作を実現できます。
ユーザーのプライバシーを中心としたアプリの開発 (動画/英語) についてのセッションは、新しい通知パーミッション、プライバシーを保護する写真ピッカー、近くのデバイスとのペア設定やメディア ファイルへのアクセスの際の権限の改善など、アプリをプライバシーとセキュリティの最新機能に対応させる際の参考になります。
Android メディアの新機能 (動画/英語) に関するセッションは、HDR 動画や Bluetooth LE オーディオなどの最新の標準を組み込む際に役立ちます。また、Android カメラの新機能 (動画/英語) に関するセッションでは、動画キャプチャや WYSIWYG カメラ コントロールのサポートなど、現在 CameraX で行っていることの「スナップショット」についてお話しします。
こちらから Pixel デバイスを登録すると、すぐに試すことができます。Android 13 ベータ版は、ASUS、Lenovo、Nokia、OnePlus、Oppo、Realme、シャープ、TECNO、Vivo、Xiaomi、ZTE など、さまざまなデバイスでテストできます。詳しくは developer.android.com/13 (英語) をご覧ください。
ここで紹介したのは、私たちが行っている Android プラットフォーム、ユーザーのプライバシー、セキュリティの改善のごく一部です。詳しくは、プレイリスト (動画/英語) をご覧ください。
この記事は Jolanda Verhoef による Android Developers Blog の記事 " Independent versioning of Jetpack Compose libraries " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
2022 年 6 月 29 日より、さまざまな Jetpack Compose ライブラリが独立したバージョニング スキームに移行します。これにより、androidx.compose.compiler や androidx.compose.animation などのサブグループが個別のリリース サイクルに従えるようになります。
androidx.compose.compiler や androidx.compose.animation
これらのライブラリに独立したバージョニングを導入することで、これまで暗黙的に結合されていた依存関係が切り離されます。そのため、アプリの段階的なアップグレードがしやすくなり、最新の Compose 機能を維持できるようになります。
バージョンが 1 つになっていた Compose から最初に切り離されるライブラリは、Compose Compiler です。2022 年 6 月 29 日より、Kotlin 1.7.0 をサポートする 1.2.0 安定版をリリースしました。このリリースには、Compose UI ライブラリおよび Compose Runtime ライブラリとの下位互換性と上位互換性の両方が備わっています。つまり、Compose Compiler を 1.2.0 安定版にアップグレードして Kotlin 1.7.0 を使いつつ、他の Compose ライブラリは 1.1.0 安定版などの現行バージョンのままにすることができます。
アプリで使っている Compose Compiler のバージョンをアップグレードするには、build.gradle ファイルで kotlinCompilerExtensionVersion を指定します。
build.gradle
kotlinCompilerExtensionVersion
android { composeOptions { kotlinCompilerExtensionVersion = "1.2.0" }}
android {
composeOptions {
kotlinCompilerExtensionVersion = "1.2.0"
}
Compose と Kotlin は密接に結びついており、Kotlin のバージョンをアップグレードするために Compose Compiler のアップデートが必要になるというフィードバックがありました。Compose と Kotlin の両方で最も優れた最新の機能(とバグの修正)を使っていただけるように、Compose Compiler の安定版は頻度を上げてリリースする計画です。つまり、Compose Compiler のバージョン番号は、他のほとんどの Compose ライブラリよりも上がるペースが早くなります。Compose Compiler では上位互換性と下位互換性の両方が確保されるので、新しいバージョンがリリースされたら、すぐにアップグレードできます。
Compose Compiler は Kotlin コンパイラ プラグインなので、お使いの Kotlin のバージョンと互換性のあるバージョンの Compose Compiler を使う必要があります。Compose-Kotlin 互換性マップを参考に、プロジェクトに合ったバージョンを選んでください。
Compiler ライブラリを異なるバージョニング スキームに移行することは、Compose ライブラリ グループ間のバージョン依存を解消するための第一歩です。今後、他の Compose ライブラリでも新しい安定版リリースが公開され、Compose Compiler とは別にそれぞれのリリース サイクルに従うことになります。
独立したバージョニングに対応し、さっそく最新バージョンの Compose Compiler と Kotlin (英語) を使ってみましょう。
皆さんが Compose で作るアプリを楽しみにしています。
Google Play は、ユーザーとデベロッパーの皆さんのプライバシーと安全が、最も重要であると考えています。 そのため、大きなポリシーの改定に伴い、デベロッパーの皆さんに対応いただくことが必要となる場合に、その情報を広くお伝えするためのウェビナーを開催しています。
2022 年 8 月 17 日に開催されたポリシー ウェビナーでは、 2022 年 7 月末に適用となったポリシー変更の内容を中心にお伝えしました。本ウェビナーは、Google Play ストアに向けたアプリの開発やパブリッシングを担う企業や個人の皆さまを対象にした、オンライン ウェビナーで、事前にいただいた質問に回答する場も設けております。
この記事では、イベント内で解説した内容と、ご紹介した関連動画やリソースをまとめます。
アプリで定期購入アイテムを販売する場合、ユーザーが定期購入を管理または解約する方法を明確に開示しなければなりません。また、定期購入をオンラインで簡単に解約できる手段にアプリ内からアクセスできるようにすることも必要です。この要件を満たすには、アプリのアカウント設定(または同等のページ)に次の項目を追加してください。
または
審査プロセスを妨げ、不承認の理由ともなる、アプリのログイン認証の欠落のような、一般的な違反を回避するために、Google Play Console を通じて情報を送信する場合には、必ず以下のことを行ってください。
ユーザーがアプリに投稿したコンテンツが他のユーザーにも、または少なくともアプリユーザーの一部にも表示される、またはアクセスできるようになる場合、それをユーザー作成コンテンツ(UGC)といいます。アプリが UGC カテゴリに該当する場合、必要なモデレーションを実施しレポートシステムを実装する必要があります。
UGC ポリシー違反の例
UGC アプリに性的なコンテンツが表示されている場合でも、(1)主に性的でないコンテンツへのアクセスを提供しており、(2)性的なコンテンツを積極的に宣伝または推奨していない場合は、「偶発的」な性的コンテンツと見なされます。ただし、適用される法律で違法と定義されている性的なコンテンツや、児童を危険にさらすコンテンツは、「偶発的」とは見なされず許可されません。
以下のすべての要件を満たしている場合、その UGC アプリには偶発的な性的コンテンツが含まれている可能性があります。
以下にて、UGC ポリシーの要件について確認しましょう。UGC が含まれるアプリや UGC を提供するアプリは、次の項目を守る必要があります。
2021 年末 Google Play の「性的なコンテンツと冒とく的な表現に関するポリシー」をアップデートしました。Google は、ユーザーにとっての性的なコンテンツの許容範囲が国によって違うことを認識しています。このアップデートでは、対象となるコンテンツが許容される一部の国ではアプリを公開できるが、対象となるコンテンツが許容されない国ではアプリを公開できなくなるということをポリシーに明記しました。
また、これに伴い、日本での文化的背景を鑑みた結果、これまで Google Play で禁止されてきたウェブ漫画における偶発的な性的描写を日本の Google Play ストアでは許可する旨のポリシーのアップデートを行いました。
今回のアップデートは、成人向けコンテンツを許容するものではございません。以下に該当する場合のみ、漫画アプリにおける性的描写が許容されます。
引き続き、性的なコンテンツをアクティブにプロモーションする行為、違法な性的コンテンツや児童を危険にさらすコンテンツは許可されません。
イベント内では、その他のアップデートに関しても説明を行いました。アーカイブ配信は、こちらのウェブサイトから登録後、いつでもご視聴いただけますので、イベントを見逃した方は、ぜひアーカイブ配信もご活用ください。
今後もお寄せいただいたご意見には真摯に向き合い、ポリシーの改善を続けていきます。引き続き Google Play を安全で、信頼できるプラットフォームにするために、ご協力をお願いします。
この記事は Patricia Correa による Android Developers Blog の記事 " #WeArePlay | Discover the people building apps & games businesses " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
毎月 25 億以上のユーザーが Google Play にアクセスし、世界中の数百万もの企業によって作成されたアプリやゲームを見つけています。
#WeArePlay (英語) は、これらの企業を支える人々のグローバル コミュニティである皆さんを称えるものです。
皆さんが作成するアプリやゲームには、それぞれ特別なストーリーがあります。子どもの頃からコーディングを続けている方もいれば、人生の後半でテック業界に参入した方もいらっしゃいます。また、生活のペースが目まぐるしい大都市に住んでいる方も、もう少しゆったりした小さな町に住んでいる方もいらっしゃいます。しかし、どのような方でも、どのように異なるストーリーを持っていても、皆さんに共通しているのは、アイデアをビジネスに変えて、世界中の人々にインパクトを与えたいという情熱を持っていることです。
2022 年 6 月 22 日からの数か月にわたって、#WeArePlay で皆さんのそうしたストーリーを共有し、祝福します。
シリーズの第一弾として、ロンドン在住の母娘、 Yvonne さんと Alyssa さんのストーリーをお送りします。この 2 人は、アフリカやカリブ海地域のさまざまなヘアスタイルを表現する着せ替えゲーム 「Frobelles」 (英語) を開発しました。
さらに、「Hand Talk Translator」 を開発した Ronaldo さん、Carlos さん、Thadeu さん(私の母国であるブラジル)、「DailyArt」 を開発したアート愛好家 Zuzanna さん(ポーランド)、「TravelSpend」 を開発した旅行愛好家カップルの Ina さんと Jonas さん(ドイツ)のストーリーもご覧ください。
アプリやゲームのビジネスに関わっているすべての皆さん、Google Play コミュニティの一員になってくださり、ありがとうございます。皆さんの献身的な努力と向上心により、何百万人のユーザーが学習したり、つながり合ったり、くつろいだり、運動したり、仕事を見つけたり、還元したり、笑ったり、楽しんだり、空想の世界に逃れたりすることが可能になっています。
g.co/play/weareplay (英語) では、他にもたくさんのストーリーをご覧いただけます。
Reviewed by Tamao Imura - Developer Marketing Manager, Platforms and Ecosystems
この記事は Fred Chung による Android Developers Blog の記事 " Privacy Sandbox Developer Preview 3: Support for conversion measurement, custom audiences, and ad selection " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
Android のプライバシー サンドボックスは、ユーザーのプライバシーを保護しながら、アプリの効果的でパーソナライズされた広告エクスペリエンスを実現する新しいソリューションを開発することを目的としています。私たちは、最初のデベロッパー プレビュー (英語) 以降も、Google は、プロジェクトの進捗に関する最新情報をお伝えするとともに、デベロッパー プレビューのタイムライン、トピックの分類、SDK のバージョン管理など、あらゆることについて業界と連携を続けています。皆さんのフィードバックに感謝しています。
2022 年 6 月 22 日に、デベロッパー プレビュー 3 をリリースしました。これには、コンバージョン測定やリマーケティングのユースケースに対応する API やデベロッパー リソースが含まれています。以前リリースした SDK ランタイムや Topics API のプレビューに加え、今回初めて Android 版のプライバシー サンドボックスのすべての主要 API のテストと影響の評価を開始することができます。
これらの API により、広告のクリック イベントやビューイベントがコンバージョン(新しいゲームのダウンロードなど)につながるタイミングを測定できます。これらの API は、アプリとウェブを横断するアトリビューションの主要なユースケースをサポートし、クロスパーティのユーザー識別子への依存を排除することで、ユーザーのプライバシーを向上させます。
今回のリリースには、アトリビューション レポート ワークフローの主要部分に関するクライアント側とサーバー側のセットアップとインタラクションを理解するのに役立つ、デベロッパー ガイドとサンプルアプリが含まれています。
テストをしやすくするため、今回のリリースには報告期間を上書きできる ADB コマンドが含まれています。Android クライアント API の詳細については、API リファレンスをご覧ください。
これらの API は Android 版 FLEDGE の一部で、サードパーティのデータ共有なしで、過去のアプリのエンゲージメントに基づいてカスタマイズされた広告をユーザーに提供するためのビルディングブロックを提供します。以下のことを実現できます。
詳細については、Custom Audience API と Ad Selection API (英語) リファレンス ページや、 リリースノートをご覧ください。
初めてデベロッパー プレビューを試してみる方は、SDK ランタイムと Topics API のデベロッパー ガイドに記載されているサポート対象となる機能もご確認ください。
Android 版のプライバシー サンドボックスの主要テクノロジーを復習したい方には、こちらの概要の動画を視聴し、設計案を確認することをお勧めします。
(日本語字幕は YouTube の自動翻訳機能で日本語を選択してください)
2022 年 6 月 22 日のデベロッパー プレビュー リリースには、機能の早期テストを開始し、フィードバックを共有 (英語) するために必要なリソースが含まれています。開発を始めるには、エミュレータまたはサポート対象の Pixel デバイスで SDK とシステム イメージをセットアップする手順をご確認ください。
Android 版プライバシー サンドボックス デベロッパー プレビューの詳細については、デベロッパー サイトをご覧ください。ニュースレターに登録 (英語)すると、定期的に最新情報を受け取ることができます。
この記事は Sachiyo Sugimoto による Android Developers Blog の記事 " Developer-Powered CTS (CTS-D) " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
Android の強みは多様なデバイスからなるエコシステムにあります。世界中の数十億のユーザーが、市場に出回っている 2 万 4,000 種類以上のデバイスを使っています。Android では、デバイスが一貫性のある安定したアプリ環境を提供し続けることができるように、初期リリースのころから Android 互換性プログラムを推進しています。
このプログラムで重要な位置を占めるのが、互換性テストスイート (CTS) です。CTS は 200 万件以上のテストケースのコレクションで、デベロッパーのアプリがさまざまなデバイスで確実に動作し、ユーザーに一貫したアプリ体験を提供できるようにするために、Android デバイスの実装をチェックします。
デバイス メーカーは、開発プロセス全体で自社デバイスに対して CTS を実行し、早い段階でバグを見つけて修正しています。このスイートは、長年にわたって拡張が重ねられ、新しいテストケースが追加されています。現在の CTS には 200 万件を超えるテストが含まれていますが、その数はまだ増え続けています。Android が進化するにつれて網羅すべき新しい領域が増えており、まだ十分にカバーできていない部分もあるため、それを埋めるテストを追加する作業が続いています。
ほとんどの CTS テストは Android エンジニアが記述していますが、アプリ デベロッパーには実際のデバイスの互換性問題に対して独自の視点があることも事実です。そこで、アプリ デベロッパーからの優れた提案を活用して CTS を拡張するため、デベロッパーの皆さんが作成して実行できる CTS-D という新しいテストスイートを追加します。
CTS-D は、アプリ デベロッパーの皆さんに開発に加わっていただく斬新な CTS モジュールであり、アプリ デベロッパーが現場で目にしている問題点に重点を置いたものです。デベロッパーはテストケースを作成して CTS-D に提供することで、そういった問題を見つけやすくすることができます。また、自分で CTS-D スイートを実行して互換性を検証することもできます。長期的には、Android デベロッパー コミュニティと密接に連携して CTS-D スイートを拡張していく予定です。
すでに多くの皆さんが独自のテストを作成し、さまざまなデバイスで互換性の検証をしていることは承知しています。そこで、皆さんと連携してそのテストを AOSP に組み込みたいと考えています。コミュニティからの提供を受けた最初のテストスイートは、こちらの CTS-D の初回コミットから確認できます。
つまり、CTS-D を通してこういったテストを広く利用できるようにすることで、デバイス メーカーやアプリ デベロッパーが問題を効率的に特定して共有できるようにします。
CTS-D はオープンソースで、AOSP で公開されています。そのため、すべてのアプリ デベロッパーが CTS-D を検証ツールとして使うことができます。CTS-D によって、アプリ デベロッパー、デバイス メーカー、Google 間とのそれぞれのコミュニケーションのオーバーヘッドを最小限にとどめ、問題を効率的に解決できるようになります。
あるデバイスが CTS-D テストに合格しなかった場合は、こちらの Issue Tracker テンプレートを使って問題を報告してください。報告されたデバイスで問題を検証した後、その解決に向けてパートナーと連携して作業を進めます。デバイス メーカーの皆さんにも、CTS-D を使って問題を見つけ、対策することを強くおすすめします。
CTS-D について何かアイデアをお持ちの方は、テストコードを AOSP に提供する前に、こちらの Issue Tracker テンプレートを使ってテスト提案をお送りください。Android チームが皆さんの提案を確認し、テストの適格性を検証します。現在、私たちの一番の関心は、電源管理領域のテストケースを追加することにあります。
CTS と同じく、新しい CTS-D のテストケースも適格性要件を満たす必要があり、実行できるのは以下の内容のみに限られます。
CTS-D についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのチュートリアルをご覧ください。CTS-D に貢献する方法や、CTS-D の使い方を説明しています。なお、新しい CTS-D テストケースの審査には時間がかかる可能性がありますので、ご了承ください。皆さんが CTS-D を試してくださることを期待しています。Android の体験向上のために、ぜひご協力ください。
この記事は Oscar Rodriguez による Android Developers Blog の記事 " Boost the security of your app with the nonce field of the Play Integrity API " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
先日リリースされた Play Integrity API を使って、リスクや不正行為の可能性からゲームやアプリを保護する手段を講じるデベロッパーが増えています。
Play Integrity API は、アプリの整合性、デバイスの整合性、ライセンス情報に関する便利なシグナルに加えて、シンプルでありながら非常に便利な「ノンス」と呼ばれる機能を備えています。これを正しく使うと、Play Integrity API が提供する既存の保護をさらに強化できるほか、中間者 (PITM) 改ざん攻撃やリプレイ攻撃といった特定の種類の攻撃を軽減できます。
このブログ投稿では、ノンスとは何か、どのような仕組みで動作するのか、どのように使えばアプリの保護を強化できるのかについて、詳しく説明したいと思います。
暗号学やセキュリティ エンジニアリングにおいて、ノンス (number once) とは安全な通信の中で一度だけ使われる数を指します。ノンスは、認証、暗号化、ハッシュなど、さまざまなことに応用できます。
Play Integrity API でのノンスは、Base64 でエンコードされた暗号バイナリ blob です。API の整合性チェックを呼び出す前にこれを設定すると、API の署名付きレスポンスでその値がそのまま返されます。ノンスの作成方法、検証方法によって、Play Integrity API が提供する既存の保護をさらに強化したり、中間者 (PITM) 改ざん攻撃やリプレイ攻撃などの特定の種類の攻撃を軽減したりできます。
Play Integrity API が行うのは、署名付きレスポンスで実際のノンスデータをそのまま返すことだけです。そのため、有効な Base64 でさえあれば、どんな値でも設定できます。ただし、ノンスは、レスポンスをデジタル署名するために Google のサーバーに送られます。そのため、ノンスにはユーザー名、電話番号、メールアドレスなどの個人を識別できる情報 (PII) を一切設定しないことが非常に重要です。
アプリに Play Integrity API を設定したら、setNonce() メソッドを使ってノンスを設定します。または、Kotlin 版、Java 版、Unity 版、およびネイティブ版の API でも、同等の方法が提供されています。
setNonce()
Kotlin:
val nonce: String = ... // Create an instance of a manager.val integrityManager = IntegrityManagerFactory.create(applicationContext) // Request the integrity token by providing a nonce.val integrityTokenResponse: Task<IntegrityTokenResponse> = integrityManager.requestIntegrityToken( IntegrityTokenRequest.builder() .setNonce(nonce) // Set the nonce .build())
val nonce: String = ...
// Create an instance of a manager.
val integrityManager =
IntegrityManagerFactory.create(applicationContext)
// Request the integrity token by providing a nonce.
val integrityTokenResponse: Task<IntegrityTokenResponse> =
integrityManager.requestIntegrityToken(
IntegrityTokenRequest.builder()
.setNonce(nonce) // Set the nonce
.build())
Java:
String nonce = ... // Create an instance of a manager.IntegrityManager integrityManager = IntegrityManagerFactory.create(getApplicationContext()); // Request the integrity token by providing a nonce.Task<IntegrityTokenResponse> integrityTokenResponse = integrityManager .requestIntegrityToken( IntegrityTokenRequest.builder() .setNonce(nonce) // Set the nonce .build());
String nonce = ...
IntegrityManager integrityManager =
IntegrityManagerFactory.create(getApplicationContext());
Task<IntegrityTokenResponse> integrityTokenResponse =
integrityManager
.requestIntegrityToken(
.build());
Unity:
string nonce = ... // Create an instance of a manager.var integrityManager = new IntegrityManager(); // Request the integrity token by providing a nonce.var tokenRequest = new IntegrityTokenRequest(nonce);var requestIntegrityTokenOperation = integrityManager.RequestIntegrityToken(tokenRequest);
string nonce = ...
var integrityManager = new IntegrityManager();
var tokenRequest = new IntegrityTokenRequest(nonce);
var requestIntegrityTokenOperation =
integrityManager.RequestIntegrityToken(tokenRequest);
ネイティブ :
/// Create an IntegrityTokenRequest object.const char* nonce = ...IntegrityTokenRequest* request;IntegrityTokenRequest_create(&request);IntegrityTokenRequest_setNonce(request, nonce); // Set the nonceIntegrityTokenResponse* response;IntegrityErrorCode error_code = IntegrityManager_requestIntegrityToken(request, &response);
/// Create an IntegrityTokenRequest object.
const char* nonce = ...
IntegrityTokenRequest* request;
IntegrityTokenRequest_create(&request);
IntegrityTokenRequest_setNonce(request, nonce); // Set the nonce
IntegrityTokenResponse* response;
IntegrityErrorCode error_code =
IntegrityManager_requestIntegrityToken(request, &response);
Play Integrity API のレスポンスは、JSON Web Token (JWT) (英語) 形式で返されます。このペイロードは、次の形式の平文 JSON テキストです。
{ requestDetails: { ... } appIntegrity: { ... } deviceIntegrity: { ... } accountDetails: { ... }}
{
requestDetails: { ... }
appIntegrity: { ... }
deviceIntegrity: { ... }
accountDetails: { ... }
ノンスは requestDetails 構造に含まれており、次のような形式になっています。
requestDetails: { requestPackageName: "...", nonce: "...", timestampMillis: ...}
requestDetails: {
requestPackageName: "...",
nonce: "...",
timestampMillis: ...
nonce フィールドの値は、以前に API に渡した値と厳密に一致する必要があります。さらに、ノンスは Play Integrity API の暗号学的に署名されたレスポンスに含まれているため、レスポンスを受け取った後に値を改変することはできません。この特性を活用することで、ノンスを使ってアプリの保護を強化することができます。
悪意のあるユーザーが、オンライン ゲームでプレーヤーのスコアをゲームサーバーに報告する不正行為のシナリオについて考えてみましょう。この場合、デバイスは侵害されていませんが、プロキシ サーバーや VPN を使うと、ユーザーはゲームとサーバーとの間でネットワークに流れるデータを参照したり改変したりできます。そのため、悪意のあるユーザーは、実際のスコアはかなり低いにもかかわらず、高いスコアを報告できることになります。
この場合、Play Integrity API を呼び出すだけでは、アプリを保護することはできません。デバイスは侵害されておらず、アプリも正当なものなので、Play Integrity API が行うすべてのチェックに合格します。
しかし、Play Integrity API のノンスを使えば、操作の値をノンスにエンコードすることにより、ゲームのスコア報告という価値の高いアクションを保護できます。この実装は次のようになります。
この手順を示したのが次の図です。
保護すべき元のメッセージが署名結果と合わせて送信され、サーバーとクライアントの両方でノンスの計算にまったく同じメカニズムを使っている限り、メッセージが改ざんされていないことを示す強力な保証となります。
なお、このシナリオのセキュリティ モデルは、攻撃がデバイスやアプリではなく、ネットワーク上で行われることを前提としています。そのため、Play Integrity API が提供するデバイスとアプリの整合性シグナルも合わせて検証することが特に重要です。
別のシナリオについて考えてみましょう。ここでも、悪意のあるユーザーが Play Integrity API で保護されたクライアント サーバー アプリと不正な行為を行おうと、侵害したデバイスをサーバーが検出できないような形で使う場合です。
まず、攻撃者は正当なデバイスでアプリを使い、Play Integrity API で署名付きレスポンスを収集します。次に、侵害したデバイスでアプリを使い、Play Integrity API の呼び出しを傍受して、整合性チェックをする代わりに以前に記録した署名付きレスポンスを返します。
署名付きレスポンスは改ざんされているわけではないので、デジタル署名は問題なく見えます。そのため、アプリサーバーは正当なデバイスと通信していると誤解する可能性があります。これを リプレイ攻撃と呼びます。
このような攻撃に対する防御の第一線となるのは、署名付きレスポンスの timestampMillis フィールドを検証することです。このフィールドにはレスポンスが作成された時間を表すタイムスタンプが含まれており、たとえデジタル署名が正当であることが検証されても、古くて疑わしいレスポンスを検出する際に役立ちます。
timestampMillis
ただし、Play Integrity API のノンスを使ってレスポンスごとに一意な値を割り当て、レスポンスが以前に設定した一意な値と一致することを検証することもできます。この実装は次のようになります。
この実装があれば、サーバーがアプリに Play Integrity API の呼び出しを要求するたびに、毎回異なるグローバルに一意な値が使われることになります。そのため、攻撃者がこの値を予測できない限り、ノンスが期待される値と一致しないので、以前のレスポンスを再利用することはできなくなります。
上記の 2 つのメカニズムはまったく異なるメカニズムで動作しますが、アプリで両方の保護が同時に必要になる場合は、1 回の Play Integrity API 呼び出しで両方を組み合わせることができます。たとえば、両方の保護の結果を大きな Base64 ノンスに追加します。両方のアプローチを組み合わせた実装は、次のようになります。
ここで紹介したのは、ノンスを使って悪意のあるユーザーに対してアプリの保護を強化する方法です。アプリでプライベートなデータを扱っている場合や、アプリが不正使用に対して脆弱な場合は、Play Integrity API を使って脅威を軽減する措置を検討することをお勧めします。
Play Integrity API の詳細を知りたい方やこの API を使ってみたい方は、g.co/play/integrityapi のドキュメントをご覧ください。
Reviewed by Mari Kawanishi - Developer Marketing Manager, Google Play
この記事は Android Team による Android Developers Blog の記事 " eBay gets a 4.7 Google Play rating with tablet optimizations " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
eBay は、全世界で何百万人ものセラー (購入者) とバイヤー (販売者) が利用している巨大なオンライン マーケットプレイスです。売り上げを伸ばすには最適なユーザー エクスペリエンスが鍵となります。eBay のアーキテクチャ チームの Android エンジニアたちは、eBay アプリをタブレットや折りたたみ式デバイスなどの大画面デバイス向けにさらに最適化できる余地があることに気づきました。さまざまなデバイスでシームレスなエクスペリエンスを提供するために、一刻も早く対応する必要があることは明らかでした。その努力のかいあって、eBay アプリは Google Play でたちまち星 5 つ中の 4.7 を獲得しました。
チームがユーザー統計を分析したところ、 Android の大画面デバイスで eBay アプリにアクセスしているタブレット ユーザーが驚くほど多いことがわかりました。うれしいことにこの新しいデータは、タブレットを使っている eBay ユーザーが、スマートフォンで同アプリを使っているユーザーよりもアプリの利用時間が長めな傾向にあることを示していました。
「大画面デバイスへの対応は、デベロッパーが時間をかけて取り組む価値があります。これは、当社のパブリック フィードバック チャンネルではっきり示されています」と eBay のモバイル アーキテクチャ チームの Android エンジニアである Matthew Mossman 氏は話しています。大画面デバイス向けにアプリを最適化することで、eBay のデベロッパーはユーザー エクスペリエンスの質を高め、ユーザーの満足度は大きく向上しました。
eBay アプリには非常にたくさんの情報が詰め込まれているため、セラーやバイヤーの人気を維持するには、公開されているアイテムの全容や詳しい説明をユーザーに示すことが重要でした。eBay の Android エンジニアたちは、タブレットの広い画面領域を活用することでユーザーのブラウズや検索のエクスペリエンスを向上できると考え、リスト / 詳細パターン (英語) を使って UX フローを改善しました。
Mossman 氏は、Android の強力なリソース修飾子メカニズムを使い、さまざまなデバイスに最適なレイアウトを設定しました。そして eBay のスマートフォン アプリのユーザー インターフェース コンポーネントのライブラリを更新し、ノートパソコンやタブレットでも利用できるようにしました。また、eBay のアーキテクチャ チームと機能チームは、業界の Android 標準化ガイドラインを採用して、アプリのカスタマイズ プロセスを一致させました。それにより、改善をこれまで以上に迅速にユーザーに提供できるようになりました。
Mossman 氏とデベロッパー チームは、タブレット ユーザー向けに eBay アプリを改善した後、Google Play で好意的なレビューが急増し、その結果 eBay Android アプリの評価も星 5 つ中 4.7 に上昇することができました。また、マテリアル デザイン コンポーネント (英語) やダークテーマのサポートなど、直感的で目を引く機能をアプリに組み込むと、ユーザーの満足度が大きく向上すると、デベロッパー チームは結論付けました。
さらに、eBay のトラストチームと検索チームも、営業活動を通じてユーザー エンゲージメントが向上したことを確認しています。特定のデバイスへの対応を強化するためにアプリ バンドルと動的機能を有効化すると、コミュニティ サポート ネットワークでのエンゲージメントが 20% 上昇しました。これは、タブレット ユーザーが新たな関心を寄せていることを表しています。
引用カード :「私たちはデザインとエンジニアリングのレベルに注力し、タブレット固有のエクスペリエンスもサポートしました。その結果うれしいことに、Google Play で星 4.7 個の評価を獲得することができました」– eBay アーキテクチャ チームの Android エンジニア、Matthew Mossman 氏
今後のリリースでは、eBay の Android アプリにも最近導入された UI 構築ツールキット、Jetpack Compose の豊富な機能を十分に活用できるようにする予定です。Firebase (英語) の指標とレポートも、eBay アプリの拡大とユーザーのメリットにつながる改善の機会をピンポイントで特定することに役立ちました。
eBay は大画面デバイス向けの最適化を計画したことで、デバイス固有のエクスペリエンスに注力することが、ユーザーとデベロッパー双方のメリットにつながることを実証しました。
Android や Chrome OS デバイス向けに大画面ならではのエクスペリエンスを構築するときはこちらの説明をご覧ください。
Google Play l インディー ゲーム フェスティバル 2022 に多数ご応募いただきありがとうございました。厳正なる審査により以下の 20 作品が選出されました。入賞されたみなさま、おめでとうございます!
この中から、2022 年 9 月 3 日に開催するファイナル イベントでトップタイトルが決定します。
この機会に、トップ 20 作品をダウンロードして、あなたのお気に入りのゲームを見つけてみてください。各ゲームの感想や応援コメントを投稿される際はハッシュタグ #indiegamesfestivaljp をご活用ください。ファイナル イベントへの参加には、こちらからニュースレターにご登録ください。
皆さんのご参加をお待ちしております。
Posted by Tamao Imura - Developer Marketing Manager, Google Play
この記事は Android Developers Blog の記事 "3 things to know about Form Factors at Google I/O'22" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
現在、Android は 5 億台近くの自動車、テレビ、スマートウォッチ、ノートパソコンで動作しています。そのため、アプリがデバイスを超えてシームレスに動作することが今まで以上に重要になっています。今年の I/O では、フォーム ファクタに改めて注目し、Wear OS や大画面向けの重要なアップデートについて発表しました。ここでは、新機能の要点をお伝えするため、Google I/O で発表されたフォーム ファクタについて知っておくべき 3 つのことを紹介します。
I/O では、Compose for Wear OS のベータ版リリース (英語) を発表しました。Compose for Wear OS は、Wear OS でひときわ優れたユーザー エクスペリエンスを構築できる最新の宣言型 UI ツールキットで、Jetpack Compose の基礎と理念を共有しつつ、UI 開発をシンプルにして加速します。さらに、スマートウォッチ向けに最適化されたコンポーネントを含むマテリアル カタログを提供します。
Compose for Wear OS は、オープンソース コミュニティの協力のもと、そのフィードバックを受けながら開発しています。デベロッパー プレビュー以降も、ナビゲーション、Lazy リストのスケーリング、入力とジェスチャーのサポートなど、たくさんのコンポーネントの追加や改善をしました。現在の Compose for Wear OS は、まもなく公開される 1.0 リリースに向けて機能が完成しており、API は安定版になっています。そのため、本番環境に対応できる美しいアプリの開発を始めることができます。
さらに、つい先日、ヘルスコネクトをリリースしました。ヘルスコネクトを使うと、ユーザーは健康とフィットネスのデータをスマートフォンに安全に保存できるほか、お気に入りの健康とフィットネスのアプリに接続して保存したデータを共有することもできます。Samsung Health、Google Fit、Fitbit など、多くの健康とフィットネスの人気アプリがヘルスコネクトを利用しています。ヘルスコネクトは、健康データを Android スマートフォンに保存して共有するための共通の API セットです。デベロッパーは、オンデバイスのデータストアのデータを読み書きできます。スキーマと API の動作は標準化されているので、簡単にデータを利用できます。ユーザーの健康データのプライバシーがいかに重要であるかは承知していますので、パーミッションとプライバシー管理を一元化し、明確でシンプルな方法でデータを管理できるようにしています。
Google は、ハードウェアの革新、オペレーティング システムの最適化、アプリ エコシステムへの注力を通して、大画面に全力投球しています。今年最初の 4 半期には、アクティブな大画面ユーザーが 2 億 7,000 万人に達しており、タブレット、折りたたみ式、Chrome OS に最適化する絶好の機会を迎えています。
前回の I/O の後に、大画面向けに Android 12 を改善するフィーチャー ドロップ、Android 12L をリリースしました。Android 13 にはそのすべての機能が含まれているほか、さらに改善が追加されています。Android 12L と 13 では、タスクバー、マルチタスク、キーボードとマウスのサポート、アプリの互換性モードなど、大画面向けのたくさんの最適化が行われています。さらに、ガイド、テスト、ツールにもすばらしいアップデートがあります。大画面向けにアプリを最適化してテストする作業を感覚だけで行わなくてもいいように、一連の大画面品質ガイドラインと、さまざまなマテリアル デザインの正規レイアウトを作成しました。Jetpack ライブラリはこのガイドを実装しており、ドラッグ&ドロップなどの一般的な大画面開発タスクが組み込まれています。
ハードウェアの革新は、今年以降の Google の大画面への注力の土台となります。I/O では、2023 年に発売予定の Google Pixel タブレットについてお知らせしました。また、パートナーもすばらしいデバイスを作っており、Samsung、Lenovo、OPPO などの企業からタブレットや Chromebook、折りたたみ式デバイスが販売されています。
ハードウェアとオペレーティング システムの驚くべき革新とともに、これまで以上に多くのアプリが大画面向けに最適化されています。Facebook、TikTok、HBO Max、Zoom (動画/英語) などのアプリは、大画面ですばらしい見栄えを実現しています。Google は大画面のチャンスを認識しています。YouTube (動画/英語) 、Google マップ、Google フォト、Chrome など、多くの人気アプリで大画面向けの最適化がロールアウトされており、今後もさらに増える予定です。
こういったアプリやその他のアプリは Google Play ストアで公開されていますが、その Google Play ストアでもこれまでで最大級の効果があるアップデートがあります。具体的には、ユーザーが Google Play ストアで大画面に最適化された最高のアプリを見つけられるように、大画面に注目した新しい記事コンテンツを導入したり、大画面アプリのレビューと評価を分けたりしました。また、Google Play をアップデートして、タブレット、Chromebook、折りたたみ式デバイスでの見栄えを向上させています。
大画面と Wear OS のアプリをさらに改善できるように、徹底解説コンテンツを作成しました。アプリをさまざまな種類の入力、画面サイズ、デバイスに対応する方法について説明します。
異なるフォーム ファクタ向けに開発やテストする際の生産性を上げることができるように、Android Studio Dolphin ベータ版と Electric Eel Canary には、Wear OS と大画面向けの新機能を追加しています。詳しくはこちらをご覧ください。
これから始めようと思っている方のために、皆さんをサポートするすばらしい I/O のコンテンツを紹介します。
この記事は Amanda Alexander による Android Developers Blog の記事 " Google I/O 2022: What’s new in Jetpack " を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。
Android Jetpack は、最新の Android 開発の重要な柱とも言えるものです。これは 100 以上のライブラリ、各種ツール、ガイドをまとめたスイートで、デベロッパーはベスト プラクティスに従ったり、ボイラープレート コードを減らしたり、Android のあらゆるバージョンやデバイスで一貫して動作するコードを書いたりしやすくなるため、アプリ独自の機能の構築に専念できるようになります。
Jetpack は Google Play のほとんどのアプリのアーキテクチャに使用されており、現在、上位 1,000 アプリの 90% 以上で使用されています。
こちらは、I/O での「Jetpack の新機能」 (動画/英語) の拡大版として、Jetpack の最新アップデートのハイライトを紹介したものです。
以下では、次の 3 つの主要な Jetpack アップデートについて取り上げます。
最後に、いくつかの重要な機能更新を紹介します。
アプリ アーキテクチャ ライブラリとコンポーネントを使うと、堅牢で、テストや保守がしやすいアプリを構築できます。
Room は、SQLite の抽象化レイヤを提供する、推奨のデータ永続性レイヤです。プラットフォームのユーザビリティと安全性を高めることができます。
Room 2.4 では、Kotlin Symbol Processing (KSP) のサポートが安定版になりました。当社の Kotlin コードのベンチマークでは、KSP の処理速度は KAPT の 2 倍に向上しています。Room 2.4 には enum と RxJava3 の組み込みサポートも追加され、Kotlin 1.6 に完全対応しています。
Room 2.5 には、Kotlin への完全な書き換えの最初の部分が含まれます。これにより、Java プログラミング言語で書かれた旧バージョンとのバイナリ互換性も確保しながら、今後の Kotlin 関連の機能向上の基盤を提供します。また、room-paging アーティファクトを利用した Paging 3.0 の組み込みサポートにより、Room クエリで PagingSource オブジェクトを返せるようになります。さらに、マルチマップ(ネストしたマップや配列)型戻り値を使用するリレーショナル クエリ メソッドがサポートされるので、デベロッパーは追加のデータ構造を定義せずに、JOIN クエリを実行できるようになります。
@Query("SELECT * FROM Artist JOIN Song ON Artist.artistName = Song.songArtistName")fun getArtistToSongs(): Map<Artist, List<Song>>
@Query("SELECT * FROM Artist
JOIN Song ON Artist.artistName =
Song.songArtistName")
fun getArtistToSongs(): Map<Artist, List<Song>>
AutoMigrations のアップデートによってデータベースの移行がシンプルになり、新たなアノテーションとプロパティのサポートも追加されます。@Database アノテーションの新しい AutoMigration プロパティを使うと、移行元や移行先のバージョンを宣言できます。また、Room でテーブルや列の変更に関する追加情報が必要な場合も、@AutoMigration アノテーションを使用して入力を指定できます。
Database( version = MyDb.LATEST_VERSION, autoMigrations = { @AutoMigration(from = 1, to = 2, spec = MyDb.MyMigration.class), @AutoMigration(from = 2, to = 3) })public abstract class MyDb extends RoomDatabase { ...
Database(
version = MyDb.LATEST_VERSION,
autoMigrations = {
@AutoMigration(from = 1, to = 2,
spec = MyDb.MyMigration.class),
@AutoMigration(from = 2, to = 3)
)
public abstract class MyDb
extends RoomDatabase {
...
DataStore ライブラリは、SharedPreferences の問題に対処する堅牢なデータ ストレージ ソリューションです。これは、さまざまな SharedPreferences のユースケースを置き換えることができる強力な仕組みです。使い方を詳しく知りたい方は、最新の Android 開発スキル : DataStore (英語) の動画シリーズと記事をご覧ください。アプリでこのライブラリを使用できるかどうかを確認する方法、依存関係の注入と合わせて使用する方法、SharedPreferences から Proto DataStore への移行などに関するガイドを提供しています。
Paging ライブラリを使うと、データの小さなチャンクを読み込んで表示することで、ネットワークやシステム リソースの消費を抑えることができます。アプリのデータは、RecyclerView や Compose の Lazy リストで、少しずつ段階的に読み込むことができます。
Paging 3.1 は Rx と Guava 統合の安定したサポートを提供します。Paging は Kotlin コルーチンをネイティブに使用していますが、これらの統合はその Java による代替機能を提供します。このバージョンでは、無効なデータや古いデータを表す新しい戻り値の型、LoadResult.Invalid が追加され、無効化の競合状態の処理が向上しました。また、新しい onPagesPresented API と addOnPagesUpdatedListener API によって、no-op 読み込みや空ページに対する操作の処理も向上しました。
Paging 3 についての詳細は、新しくシンプルになった、Android デベロッパー サイトの Paging の基本 Codelab をご覧ください。リストを表示するアプリに Paging ライブラリを組み込む方法を確認できます。
Navigation ライブラリは、アプリ内のさまざまなコンテンツ間を移動するためのフレームワークです。
今回、新しい navigation-compose (英語) アーティファクトによって、Navigation コンポーネントが Jetpack Compose に統合され、アプリでコンポーズ可能な関数を遷移先として使用できるようになりました。
また、複数バックスタック機能が改善され、状態を記憶しやすくなりました。NavigationUI で、ポップされた遷移先の状態の保存と復元が自動的に行われるようになったので、デベロッパーはコードを変更せずに複数のバックスタックをサポートできます。
navigation-fragment アーティファクトにより大画面サポートが拡張され、構築済みの 2 ペイン レイアウト実装が AbstractListDetailFragment で提供されます。このフラグメントは SlidingPaneLayout を使用して、一覧ペイン(サブクラスにより管理される)と詳細ペイン(NavHostFragment を使用)を管理します。
すべての Navigation アーティファクトは Kotlin で書き換えられ、ジェネリクスを使用するクラス(NavType のサブクラスなど)の null 可能性に関する改善が行われています。
最新の Android 開発のベスト プラクティスを取り上げたさまざまな動画と記事で、主要なアーキテクチャ ライブラリの詳しい使い方を説明しています。最新の Android 開発スキル : アーキテクチャ (動画/英語) シリーズをご覧ください。
パフォーマンス ライブラリを使用すると、パフォーマンスの高いアプリを構築したり、高パフォーマンスを維持するための最適化方法を特定したりして、エンドユーザーのエクスペリエンスを向上できます。
特にインストール直後にアプリを使用するときなど、アプリのスピードはユーザー エクスペリエンスに大きく影響します。そのような初回エクスペリエンスを向上するために、ベースライン プロファイルを作成しました。ベースライン プロファイルを使うと、アプリやライブラリが Android ランタイムにコードパスの使用方法に関するメタデータを提供します。ランタイムは、それを使って Ahead-Of-Time コンパイルの優先順位を判断します。このプロファイル データはライブラリ全体で集計され、baseline.prof ファイルとしてアプリの APK に保存されます。そしてインストール時に、アプリとその静的にリンクされたライブラリ コードの一部を事前コンパイルするために使用されます。これによってアプリの読み込みが速くなり、ユーザーがアプリを初めて利用する際のフレーム ドロップを減らすことができます。
Google ではベースライン プロファイルをすでに活用しています。ベースライン プロファイルを採用することで、Google Play ストアアプリの検索結果ページの最初のレンダリング時間は 40% 短縮しました。ベースライン プロファイルは Fragment や Compose などの一般的なライブラリにも追加されており、エンドユーザーのエクスペリエンスが向上しています。独自のベースライン プロファイルを作成するには、Macrobenchmark ライブラリを使用する必要があります。
Macrobenchmark ライブラリは、Jetpack のベンチマーク対象をより複雑なユースケース(アプリの起動、RecyclerView のスクロールやアニメーションの実行といった組み込み UI 操作など)に拡大することで、デベロッパーがアプリのパフォーマンスを深く理解できるようにします。Macrobenchmark は、ベースライン プロファイルの生成に使うこともできます。
Macrobenchmark がアップデートされ、テストのスピードが向上し、新たな試験運用版機能が加わりました。また、TraceSectionMetric を使用したトレースベースのカスタム時間測定もサポートされ、デベロッパーが特定のコード セクションをベンチマーク測定できるようになりました。さらに、AudioUnderrunMetric によるオーディオ バッファ アンダーランの検出が可能になり、オーディオのジャンクを分析しやすくなりました。
BaselineProfileRule は、ランタイム最適化に役立つプロファイルを生成します。BaselineProfileRule は他のマクロ ベンチマークと同じように機能し、デベロッパーはユーザー アクションをラムダ式のコードで表します。以下は、コンパイラが事前に最適化すべき重要なユーザー アクションが、コールド スタート(ランチャーからアプリのランディング アクティビティを開く)である場合の例です。
@ExperimentalBaselineProfilesApi@RunWith(AndroidJUnit4::class)class BaselineProfileGenerator { @get:Rule val baselineProfileRule = BaselineProfileRule() @Test fun startup() = baselineProfileRule.collectBaselineProfile( packageName = "com.example.app" ) { pressHome() // This block defines the app's critical user journey. Here we are // interested in optimizing for app startup, but you can also navigate // and scroll through your most important UI. startActivityAndWait() }}
@ExperimentalBaselineProfilesApi
@RunWith(AndroidJUnit4::class)
class BaselineProfileGenerator {
@get:Rule
val baselineProfileRule = BaselineProfileRule()
@Test
fun startup() = baselineProfileRule.collectBaselineProfile(
packageName = "com.example.app"
) {
pressHome()
// This block defines the app's critical user journey. Here we are
// interested in optimizing for app startup, but you can also navigate
// and scroll through your most important UI.
startActivityAndWait()
Macrobenchmark でのベースライン プロファイルの生成と使用に関する詳細と完全なガイドについては、Android デベロッパー サイトのガイドをご覧ください。
新しい JankStats ライブラリを使うと、アプリの UI のパフォーマンス上の問題の追跡や分析をすることができます。これには、一般に「ジャンク」と呼ばれる、レンダリング フレームのドロップに関するレポートが含まれます。JankStats は、FrameMetrics などの既存の Android プラットフォームを利用していますが、API レベル 16 以降で使用できるようになっています。
このライブラリは、プラットフォームに組み込まれている機能以外に、新たな機能も提供しています。フレーム ドロップの原因の特定に役立つヒューリスティック、レポートに UI の状態を含めることによる追加コンテキストの提供、分析用データのアップロードに使用できるレポート コールバックなどです。
この 3 つの JankStats の主要機能について説明します。
Tracing ライブラリは、トレース イベントをシステム バッファに書き込み、アプリのパフォーマンス プロファイリングができるようにします。Tracing 1.1 は、API レベル 14 以降のデバッグ不可ビルドのプロファイリングをサポートしています。これは、API レベル 29 で追加された <profileable> マニフェスト タグに似ています。
UI ライブラリにいくつかの変更が加えられ、大画面の互換性、折りたたみ、絵文字のサポートが向上しました。
ネイティブ UI を作成するための Android の最新ツールキット、Jetpack Compose の 1.2 ベータ版がリリースされました。ダウンロード可能なフォント、lazy layout、ネストされたスクロールの相互運用性など、いくつかの機能が追加され、より高度なユースケースをサポートするようになります。詳しくは、ブログ投稿 Jetpack Compose の新機能をご覧ください。
新しい WindowManager ライブラリは、デベロッパーがアプリをマルチウィンドウ環境や新しいデバイスのフォーム ファクタに対応させる際に役立ちます。このライブラリは、API レベル 14 以降でサポートされる共通 API サーフェスを提供します。
最初のリリースは、折りたたみ式デバイスのユースケースが対象で、コンテンツの表示方法に影響する物理特性の照会などが含まれています。
Jetpack の SlidingPaneLayout コンポーネントがアップデートされ、WindowManager のスマート レイアウト API を使用できるようになりました。ヒンジをまたぐ場合など、オクルージョン領域にコンテンツが配置されないようにすることができます。
新しい DragAndDrop ライブラリも、新しいフォーム ファクタとウィンドウ モードの対応に役立ちます。デベロッパーは、アプリ内外からのデータのドラッグ&ドロップを受け入れることができます。DrapAndDrop には一貫したドロップ ターゲット アフォーダンスが含まれ、API レベル 24 以降がサポートされます。
AppCompat ライブラリを使うと、旧 API バージョンのプラットフォームで新しい API にアクセスできます。これにはダークモードなどの UI 機能のバックポートも含まれます。
AppCompat 1.4 には、Emoji2 ライブラリが統合されています。API レベル 14 以降の AppCompat でサポートされるすべてのテキストベース ビューで、新しい絵文字がデフォルトでサポートされます。
カスタム ロケール選択が API レベル 14 以降でサポートされるようになりました。アプリを再起動しても失われないロケール設定の手動永続化と、サービス メタデータ フラグによる自動永続化をサポートしています。この機能は、同期的にロケールを読み込み、必要に応じて実行中のアクティビティを再作成することをライブラリに指示します。API レベル 33 以降では、プラットフォームが永続化を管理します。これによってオーバーヘッドが増加することはありません。
Annotation ライブラリは、ツールや他のデベロッパーがアプリのコードを理解するために役立つメタデータを公開します。@NonNull のような一般的なアノテーションが提供されます。こういったアノテーションを lint チェックと組み合わせて使用することで、コードの正確性とユーザビリティを向上できます。
アノテーションは現在 Kotlin に移行中で、Kotlin を使用するデベロッパーには、より適切なアノテーション ターゲット(@file など)が表示されるようになります。
要望の多かったいくつかのアノテーションが、対応する lint チェックと共に追加されています。これには、メソッドや関数のオーバーライドに関するアノテーションや、@DeprecatedSinceApi アノテーションが含まれます。@DeprecatedSinceApi は、@RequiresApi を補うもので、特定の API レベル以上で使用を推奨しないことを示すアノテーションです。
現在、GitHub で 100 以上のプロジェクトを公開しています。以下のモジュールは、標準の GitHub ベースのワークフローを通じてデベロッパーの皆さんからのサポートを受け付けています。
Pull リクエストの処理方法と Jetpack ライブラリの開発について詳しくはウェブサイトをご覧ください。
以上は、過去数か月間に行われた Jetpack のすべての変更に関する概要です。各ライブラリの詳細については、AndroidX のリリースノートをご覧ください。API ピッカーを使用して簡単にライブラリを検索することもできます。また、その他のハイライトについては、Google I/O トーク (動画/英語) を視聴してください。
Java は Oracle および / またはその関連会社の商標または登録商標です。